聖子と孝蔵の恋想そしてキミカゲの遺想 2鈴
《 出会い 》
『おはモニン( ´ ▽ ` )ノ今日は俊君にいい報告がありま~す! 期待しててね、それでは今日も一日頑張ってo(^▽^)o』
程なく返事が返ってきた。いつもながら返事が早い。
『おはよ~( ´ ▽ ` )ノどんな報告かな~期待してるぞ。舞ちゃんも頑張れ!』
舞ちゃんとは《舞紫》飛騨翔のSNSでの源氏名である。
『いい報告…それはね~……
会ってもいいよ! 少しだけなら(//∇//)』
また直ぐに返信が来る
『えぇ~! (゚o゚;;ビックリ なんでまた突然に…』
『GWにいっぱい心配してくれたお•れ•い(≧∇≦)』
色々と考えた結果夢で希美瀬が言った様に?俊樹と会ってみる事にした、会ってもしなんかあればその時はその時。
会ってみれば何かが変わるかも知れない、突然女になった理由が分かるかも知れない。
でも、何も変わらないかも知れないし、もしかしたら男に戻れるかも知れないし…最悪運が悪ければ本当に死ぬのかも知れない。
とにかく会ってみなければ前に進まない気がした、その一方で本気で〝会いたい〟という気持ちが強くなっている自分がいた。
待ち合わせの駅に一時間半近くも早く来た、待ち合わせの時間より早く着くのは昔からのマイルールだったが、それでも一時間半も早く着くのは余程気持ちが高ぶらないとない事だった。自分でもビックリするくらいドキドキしている、男と会うだけなのに…初めて彼女と会う時以上にドキドキしていた。
思えば今日も朝から何時もの様にメールしていたが、着信がある度に何故か激しいくらいドキドキし、いつも早い返信が凄く遅い気がしてメールが待ち遠しく感じていた。
そして今…メールが中々来ない事に心配になっていた、会う前に写メを交換しようと言われ送った後もう4時間近く返信がなかったから…
まさか、見た目アウトだった?でも今まで続けてきたメールから俊樹はそんな人じゃないと考えながら、まるで恋人を待っているかの様な自分が何故か妙な感じだ。
着信もないのに着信があった気がして携帯を見ては辺りを見回す事を何度も繰り返していた。
30分くらい前になってようやく着信があった『返信が遅くなってホントごめんよ』とだけ、普段の俊樹からは考えられないくらいそっけない返信だった、が写メは添付されていた。意外と普通な人なんだなと思っていると…
「見た感じはどう?」
突然後ろから声を掛けられ驚いて振り向くと、俊樹が笑顔で立っていた。
ビックリして少し後退りしてしまった
「驚かしてゴメン、会うのは初めまして! 舞ちゃん、待たせてごめんよ」
「あっ…は、初めましてっ、全然待ってないですよ」
「いやいやメールの事ね、ホントごめんよ」
「あっ、そっちね…ダイジョブです…」
「それにしても早く来て待ってたんやね」
「ちょっとだけ早く着いただけ…」
「そか、実は俺も早めに着いてたんやけど、待ってる様子が面白いから暫く見てたんやけどな」
「面白いって…」
少しムっとしたが俊樹はあんまり可愛いいからみとれてたんやと笑った。
そして近くのファミレスへ移動した、何を話す訳でもなく暫く俊樹はじっと見つめていた。目のやり場に困りながらモジモジしていると「可愛いね、男やなくて安心した」一瞬言った意味が分からないで「えっ?何?」思わず聞き返したが「ごめん、なんでもない」と笑った。
「あっ!」
「どした?急に?」
驚く俊樹の横に立つと奥に行くよう手で促すと照れながら隣に座った。
初めてファミレスに行った時の事、席に着くと希美瀬が横に立って奥に詰めるよう両手で押すように合図する、促されるまま詰めると希美瀬が照れながら隣に座った。
チラッと横目で見ると「向かい合うのは嫌…」
恥ずかしそうに小声で言った。
照れて少し俯いたその横顔が印象的で今でも忘れられなかった…
「舞ちゃん考え事かい?」
「あっ!ごめんなさい…」
「それはそうと、長いことメールだけやったけど、初めて会った気がせぇへんな」
「…ですね」
「実体はもの凄く可愛いくて良かった」
「実体って…」
「実体は実体やん、メールの中の舞ちゃんはちょっと暗くてマイナス思考で線の細い女の子をイメージしてたから」
「何それ~…って言いたいけど、悩み事の相談が多かったもんね~、病気の話とか…」
「やな、会いたいって話しする度に病気したりケガしてたもんな、ウソやとは思ってたけどな」
「やっぱり?…」
「この話しはこれくらいで置いといて…メールと一緒で暗くなってまう…さて、これからの話しでもしょっか」
そして2時間程楽しく過ごした後その日は別れた。
家に帰ると俊樹の言った事を考えた『男やなくて良かった』その時は笑って聞き流したが、やっぱり男だとバレてたの?とちょっと焦った。
それでも3年以上もメールを続けてたのは、男と疑いながらもやっぱり女だと思ってたから?
ファミレスでの会話がフト過る…
『メールしてて何度かネカマかと思った』
『ネカマ?』
『ネットの中で男やのに女のフリしてる奴の事』
自分と同じ様に女のフリしてる人が他にもいたなんて…その人達はなんで女のフリしてるんだろ?自分と同じ様に男を騙して楽しんでる?なんにしても自分のやってた事はネカマだったと知り少し自己嫌悪になった。
《 初デート 》
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