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中国を走る鉄道。大移動だ。内陸へ。
僕は、座席に座る。混んでいるような、混んでいないような。電車を想像したときに、想像される程度の人の量。
向かいの席に、同級生の、M君、S君。
僕に話かけているのに、気付いた。声がよく聞こえない。思っていたより人が多かったみたいだ。もしくは、前の駅で人が増えた?
少し、身を乗り出す。
二人は僕に、いやらしい笑いを向ける。心臓の存在に気付く。口角が震える。
彼らはすでに、初めから、いつからだろう、恐ろしい。
ずっと前から、僕の嘘を気付いていた。

僕は地べたにへたれ込む。電車はさらに、内陸へ。砂ぼこりが酷い。
顔を下げながら、体育座りするぼく。白いレースカーテンが肌に当たるのを感じる。心が落ち着く。
女学生三人がぼくの周りに坐っている。白地に紺の模様が入った、典型的な半袖のセーラー服。紺色の典型的なスカート。
女学生の、やや短めの半袖から出ている二の腕が、ぼくにふれている。
これが当たっていたのかと、気付く。
M君とS君はまだ笑っている。恥ずかしい。だけれども、ここは、安全だ。

駅に着く。
M君、S君が急いで降りて行く。他の同級生も降りて行った。
電車が発進する。ドアは開いたままだ。
次の駅が見えたように感じる。みんなと外れてしまうと、怖くなる。
急げば、まだ、間に合う。電車はまだ、同級生たちが降りて行った、駅のホームと、重なっていた。
三人の女学生を振り払い、窓からホームに飛び降りる。

僕は駅から降りるため、改札でお金を払おうとする。
しかし、僕は十分なお金を持っていなかった。
T君がそばに来て、代わりにお金を払ってくれる。
僕は、恥ずかしかった。

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