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抹茶味のプロテイン

俺は中学生、もしくは高校生になった。
日々、ここから、やり直そうと思っている。

そろそろ、忌引きになるかもな。
弟が、ガンで死ぬ。それは医者からの宣告だ。

「私はどうしたらいい?」「死んだあとは?」
「新しく生れる子になんて説明すればいい?」
弟の代わりに新しく、子が生れる。
母はまくし立て、さらに問う。今のバイトを辞めるか、西で、囲碁をするのを辞めるか。

弟と旅館に泊まって、一日か数日が、過ぎていると気付く。
一緒の布団に寝たり、寝なかったりをしたとわかるので、数日過ごしたと、追って、わかられる。
弟は、抹茶味のプロテインを飲んでいる。
なんのために飲んでいるんだろう?ガンで死ぬのに。
つい、そこまで思ってしまい、もう、誤魔化せなった。
弟はいつも通り元気そうだ。

弟の胸元から、肌が見えている。浴衣を着ているためよく、見える。
乾燥し、ただれ、血が滲んでいた。
笑っているけど、しんどいに違いない。
胸元を触るとたしかに、熱い。
「しんどいんやったら寝とき」
弟も、昔の姿にもどっていた。黒髪にもどっていたのが、とくに嬉しかった。

肌のただれは、胸元から鎖骨のあいだまでのびている。
そこは、ガン細胞に、侵されている場所だとわかる。
弟を抱きかかえ眠る。
ただれた肌を感じる。
血が付くのに少し、抵抗を感じる。
ガンが、うつるかもしれない。
そう思ってしまったのが嫌だった。

「新しくこちら側に来る子には、タイミングがきたら、ありのままのことを言うしかない。」
数日が過ぎ、それ以外にどうしようもないとわかる。

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