【小説11】勘違い女神の弊害(異世界転生したオレはスキル<コピペ>で人生を謳歌する)
11 ログハウスが建った
〔ううわ~ 立派なログハウス! 素敵~~~~〕大喜びのイブキ。
思ったより大きな家が一瞬で建った。コアすげー。
そのコアに持ってた宝石を全て魔界の商人に売り払われ、家を買わされた。
宝石は相当な額のはずだ。おつりはないのか。
「ボッタクリじゃないの? ログハウスだよ?」
「中に入ればわかりまス。お値打ち品。」
扉を開けると光の粒が飛びついてきた。
「きゃぁぁぁぁ マスター宜しくね! 私はベルル。」
ティンカーベルのような姿をした小粒の妖精とメイド服を着た人型のゴーレムが1体いた。
「よろしくね。ハウスキーパーって君たちなの?」
「ベルルは家令よ、この子はメイド、ゴーレムのキーパーちゃん。
ベルルが命令しないと動かないの。」ゴーレムのキーパーちゃんがお辞儀をした。
「僕の眷属のイブキとクロだ。 主にイブキの面倒を頼むよ。」
部屋は1階がキッチンとダイニング リビング とかなり広い。
個室はバストイレ付が5部屋。
天井が高く、メッチャ広い、中二階のロフトに、亜空間のストレージルーム。
各部屋の設備も全て完璧。キーパー付きで確かにお買い得だ。
ベルルが魔法、キーパーちゃんが力仕事だ。
部屋割をして、ストレージルームに荷物を放り込んでいるとイブキがやって来た。
〔こっちに来てず~~っと、困ってることがあるの・・・・〕真剣な顔だ。
〔わかるよ、トイレでしょう?〕
〔あうぅぅぅ…耐えられない…〕
早々に<クリーン&デリート>覚えなきゃダメだな。取り合えず王都に向かうのが最優先だ。
翌日、クロとイブキを残し1人王都に向かう街道に戻る。
ロキシーの<変貌>を使い平凡な少年に化けている。俺は赤毛のニトだ。
すぐにサルサの街に到着、乗り合い馬車を探すが見当たらない。
ここから盗賊の討伐応援に警備隊が出たはずだ。
昨日でお祭りも終わったのだろう。街は平常に動いてる。
歩いているとギルドの看板発見。興味本位で中に入ると横手に大きな掲示板があり男たちがわいわい騒いでいる。
掲示板には指名手配犯の似顔絵が。
その中ゴードンとロキシーの絵が✕で消されていた。
賞金合計が金貨300枚。3千万円程度だ。
「ダニーが賞金首取ったんだって? 大したもんだ。」
「Aクラス入り決定らしいぜ。」
「ガウロの護衛のAクラス冒険者たちがゴードン達に深い傷を負わせてたんじゃないのか? 便乗成敗さ。あの酔っ払いダニーだぜ。俺は信じられないね。」
「でもここに首を持ち込んだのはダニー達のPT”青い疾風”だ。金貨300枚羨ましいぜ。」
「ダニーはどうしてる? 今夜、奢らせるか、ははは」
「王都にガウロの遺品を届けるんだと。さっき外にいたぜ。」
「ところで、少年少女がまだ見つからないようだな。」
「逃げた手下が連れ去ったんだ。可哀そうに。」
昨日の事件が冒険者たちの噂になっている。
青い疾風とはカインといたあの4人組だろう。
俺が毒殺した後、首を取って賞金をゲットしたようだ。
ちょっと納得いかないぜ・・・・・
外に出ると近くにガウロの幌馬車と馬車が止まっていた。
青い疾風の3人が立ち話している。
「ダニーまだかよ。」「二日酔いと下痢でまだトイレに籠ってる。」
「見てくるわ~」
女性が走って近くの宿屋に入っていくので俺も透明化してついて行くと、2階の端部屋のドアをドンドン叩いて「ちょっとダニーー まだなのぉーー」
「うっせえ。もうちぃっと外で待ってろ!」と返事があり、女性は階段を下りて行った。
俺は部屋に入り、椅子に腰かけてダニーがトイレから出るのを待った。
ガチャっとドアが開き、げっそりした顔のダニーが出てきた。
「うおぅ なんだ小僧、勝手に人の部屋に入るんじゃねぇよ。」
「英雄のダニーさんにお願いがあって来ました。王都に連れて行ってください。」
「はぁ?? なんで俺が 小僧誰だ。」
俺の前まで来て、俺の顎を指でクイっと上げた。
「超猛毒」と唱えるとダニーは後ろにひっくり返って苦しみだした。
「あがぁぁぁあああ しぬー」
立ち上がって俺は治癒士にチェンジし解毒してやった。
「こ、こ殺す気か! あ、漏れそう・・・・」
ダニーはまたトイレによろよろ入っていった。
トイレのドアの前「さっきの毒で僕は2人を殺しました。お願い聞いてくれますよね。」
「脅迫か! あ、腹いててて・・・」
「治癒してあげるから出てきなよ。」
のそっとダニーが出てきて俺は体調不良を治してやった。
ダラしない印象のこの男、30歳前後だろうか無精ひげでよくわからない。
肩まで適当に切りそろえた黒髪にフケが付いてて不潔だ。
「金髪碧眼、お前行方不明の少年か。」
「うん。渡り人の少女も匿ってる。」
「そうか無事だったか。」と笑うダニーは悪人ではなさそうだ。
「どうせ首を切り離すのは無理だったから賞金はいいんだ。王都まで頼む。」
「むぅ、それは助かる結構借金があってな。ガウロの馬車を届けるんだ、
一緒に行こう。」
「助かるよ。僕の事は内緒でお願いします。おかしなマネはしないでね。」
そう言ってニトに変貌する。
「おぅ、約束する。不思議な坊主だな。体調も良くなった、ありがとな。」
外に出て仲間と合流するとダニーが「この坊主も連れて行く。名前はなんだ?」
「ニトです。宜しくお願いします。」頭を下げると皆、手を挙げて応えてくれた。
ガウロ所有だった幌馬車の中にカインがいた。
仲間を失い相当落ち込んでいるようだ。
夜には王都に着くらしい。馬車酔いが始まると女性のオリビアが薬をくれ、飲むと直ぐに眠くなってきた。
ゴトゴトと揺れながら俺の意識は深く沈んでいった。
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