【毎週ショートショートnote】 肋骨貸す魔法
はー、はははあ。
いーい、天気だ。こりゃ。
散歩したいがぁ、今日は無理だろおなぁ。
「囚人48番、面会だ」
「久しぶりね『遺品芸術家』」
「べぇつに、無理して、そんなあ、ふうに呼ばなくてえ、いぃんだあよ?」
「無理してないわよ。それより、あんた、どうやって弟子を育ててるのかしら?」
「あの子はぁ、元気かぁい?」
「アンタに教えるわけないでしょ」
「あの子はぁ、ほんとぉに、いい子だぁよ。俺ぇに、肋骨のぉ、一つを貸してあげるうって、言って、手術もぉ、痛かったあ、ろおに」
「教えないって、言ってるでしょ!」
「はぁはぁっはあ、まだまだぁ、だ。探偵よぉ。俺ぇが、口を割ぁると、本気でぇ、思ってえるのかぁ?」
「話す気がないようね。また、来るわ」
「『作品目録』『No689』『首飾り』」
「は?」
「調べろぉ」
あの子ぉに、めんじて、教えてやるぅ。
手術を魔法ってえ、嘘ついたぁ、あの子のためになぁ。
肋骨はぁ、きれいなきれいな、ネックレスにぃ、なったあよ。