【毎週ショートショートnote】壁持ち強襲女

「では、次のパターン。壁を持った女性が車を襲ってくるパターン」
「そんなパターンあんの!?」
「しーっ。静かに」

教室の黒板には、天井から吊り下がった白いホワイトボードにスライドが写される。

「こちら、みなさんなら、ご存知かとは思いますが。壁を車にむかって投げてくる女性です。仮にカベジョさんとしましょうか。カベジョさんが、正面に壁を配置した場合の正しい対応の仕方を…高嶺さんお願いします」

「はい。まず、正面衝突するので、車の中から早急に出なければいけませんわ。ですけど、エアバッグが出てから対応しなくてはなりません。エアバッグ後、シートベルトを外し、車の正面にむかいます。なぜなら、カベジョさんは正面衝突の際は、正面にはいないはず。よって、正しい対応は、車の正面にむかったのち、ゆっくりと後ずさりながら、車から離れていくことですわ」

「ご名答。さすが、高嶺グループのご息女です」
「恐縮ですわ」

わたしは、なぜ、ここにいるのだろう。