【毎週ショートショートnote】建設の頓珍漢

好きという気持ちが家なら、きっと私は建てかたを間違えた可能性が高い。

「こっちが好きなタイプ教えたんだから、林檎ちゃんだって答える義務がある。だから、教えてくださいお願いします」
「必死か」
「僕だけ教えて不公平だもん」

家を建てる前にすることは、間取りを決めることだと思う。
部屋はどのくらいとか、キッチンはここ、風呂はここでトイレはここ。外装を先に決めるという手もあるかもしれないが、それは立地に影響を受けているせいだ。

「逆に聞くけど、知ってどうすんだ」
「え」

考えなしに家を建てると取り返しのつかないことになる。

「ちょっと待って。もしかして林檎ちゃんの好きなタイプって、言いにくい感じなの。例えば、可愛い子とか」
「まあ、可愛いといえば可愛いな」
「聞きにくいことを聞きますが」
「なんだ」
「女の子ですか?」
「違うよ」

鎌犬は喜ぶべきなのか迷っているようだった。

家を建てるとき、人任せにしないようにしよう。
恋という名の家の場合に限る。