【毎週ショートショートnote】迷鑑定バディハイキング

「おつかれ! ボディビル!」
「ああ、帰ってたの」

探偵事務所に帰った名探偵ボディビルディングは、助手であるバディにつれない返事をした。

「帰ってたのって、ひどい!」
「いや、好きな人ができたの~とか言って、もう帰りません! とか言ってたじゃない」
「好きな人に恋人がいたの」
「あんたそういうところは疎いわよね。迷鑑定だわ本当に」
「だってえ、好きになっちゃったんだもん。もうやだー、ハイキング行きたい!」
「それはやめて。せめて三日後にして」
「なんで止めるのよ」

名探偵はバディに神妙な面持ちで語りかける。

「いいかしら。あんたはハイキングするたびに、事件にまきこまれるの。毎回あんたがなぜか、つかまるの。あんたはなぜか、つかまっているのになぜか、一人で私の事務所に帰っているの。ねえ、どうしてかしら?」
「さあ?」
「せめて、あんたが助けてもらった人を好きにならなければ、いいのにね」
「無理だよ!」

ボディビルは、皺が寄った眉間を指で触る。