【毎週ショートショートnote】メガネ冠婚葬祭

眼鏡屋の二階は居住スペースになっている。
吸い寄せられるように一階のシャッターに手をかける相方を急いで止めた。

「俺から眼鏡を奪うな!」
「深夜にシャッターがらがら開けたら、目立つだろ。裏手に勝手口があるから、そっから入るぞ」

だだをこねる相方をひきずりながら、眼鏡屋の一階に入る。
相方が真っ先に入ろうとしたので止めた。

「なんで!」
「防犯センサー解除すんのが先だ」

さっさともろもろの防犯センサーを切り、ようやく相方は眼鏡にありつく。

「ああ…、素晴らしい。冠婚葬祭で4つ以上はほしい」
「てめえは馬鹿か」
「トランプよりも眼鏡だよな」
「俺はトランプの方がいい」
「そうか」

相方は眼鏡天国から離れ、家探しをはじめた。

「なに探してんだ」
「トランプだよ。で、俺が選んだ眼鏡をかけたお前とポーカーする。俺が勝ったら、眼鏡を変えてもう一戦」
「俺が勝ったら、ゲームをせずにトランプにつきあってもらう」
「へ? ずっとつきあうつもりだけど」

調子が狂う。