金玉をけられることによって生じる  加速度的走馬灯とキング牧師との出会い

今日は、テコンドーに行く日。
運動にもなるし、何よりも刺激になる。

しかし、今日は全く別の意味合いで刺激的であった。
金玉をけられたのだ。
「オーマイガー!」

金玉の痛みは全くもって納まっていたのだが、
僕は、わざとらしく金玉をおさえて、痛がっているふりをしていた。
僕は、いまこんなにもみじめなんですよ、誰にも害を与えませんよ、
という風に。
これは自分の癖なのかもしれない。
自虐的にふるまうことで、その場になじもうとする。
(それは、自分に自信がないから?)
そんなこと考えていると、自分が気持ち悪くなってきて、
結局、部員の誰とも挨拶をせずに、
「拙者、帰るでござりゅ」と小声で言って帰った。
そんな風にしか自分を表現できないなんて、
どこか、周りの人を本気に考えていないのかもしれない。
薄情なのかもしれない。


家に帰るとキング牧師は僕を叱った。

「まずはそこに座れ。
 お前は何がしたい?
 将来ピエロにでもなるつもりか?
 誰がおまえを責めたことがある?
 誰が自分を疑えとおしえた?
 誰が自分を嫌えとおしえた?
 いいか、きついことを言うかもしれないが、
 私はピエロを育てるために会社へ行っているのではない。
 私だって職場でいろいろ悩み事はあるのだ。
 このあいだだって、友人のマルコムxに演説文を書いてくれといって
 pdfファイルを頼んだのに、
 powerpointでよこしてきやがった。
 おかげで、そのスライド一枚一枚をpdfに変換するのがどれほど
 めんどうだったことだろう。
 マルコムxにはそんなことわざわざいわないがね。」

僕は物欲しそうに、まだ物足りないという風に
じーっと、
キング牧師を見つめた。
すると、ねちっこく思われたのか
「ああー、、、私は君にかまってやりたいのもやまやまだが、
 何分、予定がパンパンでね。
 マルコムには内緒にしておいてくれよ。
 将来のピエロ君。」

彼はからかい交じりに僕にこう言いながら、
1960年代のアメリカ、
それは本来彼が実在すべきところ、
に帰っていった。
もっと、欲しがらずに、対等に話ができたらよかった。
そうしたら、キング牧師に気に入られたかもしれないのに。

談笑するキング牧師


今では、キング牧師がスピーチで放った言葉、
I have a dream (私には夢がある)
は誰もが知っている。















この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?