なろう系にも独り立ちの日が来る

なろう系にも独り立ちの日が来る

なろう系、追放系、悪役令嬢など、フォーマットが確立した小説にも、いつか面白さ一本で勝負しなければならないときが来る。

フォーマットで保証されている面白さには、期限があるからだ。

例えば、追放系なら「主人公を追放したコミュニティが、主人公のありがたみを知り、呼び戻そうとするがもう遅い」という展開までは、面白さが保証されている。

しかし、その後、主人公が何をして、周囲がどう動くかは作者の自由だ。それまで、フォーマットに則って動かしていたところを、急に自由度が上がってしまい、作者のストーリーライターとしての技量が試されるのである。言うならば、中学校で成績の良かったやつが進学校に行って、周囲のレベルの高さに挫折するようなものだ。

残念なことに、燃え尽きてしまう作品も少なくない。同じ展開を繰り返したり、どうでもいいことに時間を費やしたり、いきなり実力が物を言う世界に放り込まれれば、そうなってしまう人がいるのも無理のないことだろう。

逆に、フォーマットの加護が切れた状態で面白い小説を書ける人は、フォーマットに頼らなくても面白いものを書ける人だ。書いているうちに成長したのか、それとももともと実力があったが、話題性のある題材なのでフォーマットを借りたか。そういう人は次回作も楽しみになる。

フォーマットの加護が切れたあとの展開は、作者にとっての正念場となる。どうやってここまで惹きつけてきた読者を、失わないようにするか。ここに、作家生命がかかっているといっても良いかもしれない。

注目してみてみよう。


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