日本よ、日本代表よ


何年も何年も、国中が弾むような明るいニュースなんてひとつもなかった日本に。小躍りするようなことなんてひとつもなかった日本に。全力で躍進を祈らせてくれて、予想もしていなかった勝利を収めて私たちを踊らせてくれたチームよ、ありがとう。あんな気持ちは主催国だった東京オリンピックですら、なかった。

スペインになんか絶対に勝たないだろうと思っていたら、勝った。
雨降りのニューヨークのほとんど客のいないカフェで観ていた。
私はサッカーの細かいルールすら知らないような門外漢だけれど、クロアチア戦は仕事もほっぽって自宅で全力で観た。
PK戦は般若心経を唱えながら観た。選手の泣く姿を見て泣いた。
「何をゴールに決めて 何を犠牲にしたの 誰も知らず
歓声よりも長く 興奮よりも速く 走ろうとしていたあなたを」
というユーミンの歌詞を思ったら、また泣けた。
あの場に到達するまでに、どんな幾千幾万の朝が夜があったことだろう。

頑張っても頑張っても、そんなにいいことなんかないんだという気持ちが普通になっているこの世界に。
今まで何年もかけて何十年もかけて夢見てきた努力が、いつかは未来の一条の光に続くのだということを。
あなたが毎日人知れず続ける努力は、決して裏切らないのだという事実を。小さな頃から世界で活躍する選手を見るのが当たり前の世代が、いかに定説を覆すのかということを。
教えてくださって、ありがとうございました。
遠く離れた場所にいる日本人にも、そんな日本を教えてくれたこと自体が、すでに勝利だ。

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