チョコレートブラウンの板塀のある家 7
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雲ひとつない空は恐ろしくさえ感じる
いつもと変わらない景色の中を風が泳いでいる。明日は雨なのだろうか、小鳥が車の屋根スレスレに滑空して行く。
母の旅立
施設に入所して15年目、母のアキヨは旅立った。
肺炎を患い急遽入院するも、処置の甲斐もなく、長子が見守る中寂しい生涯を閉じた。
職場にいた雄介の携帯に、呼吸器をつけた母が表情を歪めながらピースする写真が送られてきた。淋しさからか、否、苦痛からか目尻に白く光るものが見えた。雄介と愛理が駆けつけた時、既に母は愛す