チョコレートブラウンの板塀のある家 5
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突如現れた板塀
遠い昔に思いを馳せながら、雄介は獣道かと思われる坂を草を掻き分けながら登って行った。
突然視界が開けた先には、アスファルトで舗装された広い道の向こう側に、チョコレートブラウンの板塀に囲まれた大きな白い家が建っていた。
雄介は頭の中に幾つものクエスチョンマークを散らばせねばならなかった。四駆を乗り捨てた辺りには(大きな道らしきものは無かった筈だが?)と、辺りを見回しても他に家はない。道に迷ったのだろうか?
雄介が幼いころの赤木家は、生け垣に囲ま