見出し画像

28.喫煙所は僕らの小宇宙でした


 僕が喫煙者やった期間は大体4年間くらいしかないんですが、喫煙所でのエピソードとか思い出って存外多いんですよね。

 知らんおばちゃんにライター貸してくれてって言われて、人から貰った高いジッポ貸したくないなぁという貧乏性で断ったら態度豹変してブチギレからのおにぎり投げつけられたこととか。
 ちっちゃいおじいちゃんがなんでか銘柄違う煙草を2本咥えてたこととか。
 泥酔してて喫煙所入ってくると同時にめちゃくちゃ吐いたあんちゃんが今すごい売れてる後輩やったりとか。

 ガラス張りの、煙たい臭いあの空間はほんの少しだけ異世界ですね。
 あそこにだけ存在する小宇宙。善悪はともかく確実に知っててもそこにいてもなんの得もない世界がある。

 僕は一時期何もかも無気力になってしまって、起き上がってあのガラスの扉を開けることすら億劫で、それが喫煙に対する欲求を上回ってしまいそれっきりです。

 今はもう吸いたいとも特に思わなくなってしまったんですが、あのしょうもない、こぢんまりとした異空間は時おり恋しくなる。

 今も喫煙所ではああいうことがあるんやろうか。
 喫煙所自体減ってしまっているからなぁ、もうあんまないんかな、そういうことは。

 ただ1個だけ納得いっていないのが、僕はなんでか「マルボロを吸っている」という理由で女友達から袋叩きに遭ったことがあるんですがあれはほんまになんやったん。

 謝ってくれやあの時の僕に。
 別に禁煙したとてモテるわけでもないし。

 僕があのおばちゃんやったら君達全員顔面おにぎりですよ、まったく。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?