見出し画像

19.高尚様とてエモーション


 専門職や歴史を題材にしたドラマやなんかの作品で、現実との差に本職や専門家の方が突っ込んだりイライラしたりという状況は散見されますね。

 よく調べなさいよと思う反面、存外素人だとどこが変かも分からんままぼんやり観れてしまったりしてしまう。
 調べれば調べるほどきちんとした作品にはなるんでしょうが、荒唐無稽な部分がないと物語として面白くない、あるいは展開が立ち行かなくなるなんてことになる。

 善し悪しというか、どちらが正しいと言うよりかは作品としてどっちに振り切るかですよね。
 その職業のリアリティを突き詰めてとにかくもうドキュメンタリーのように描くか、フィクションなんで許してねと物語としての面白さや派手さに舵を切るかの差なんだと思います。僕はどちらにせよもう本当に思いっきり極振りなんが好きです。

 つまり何が言いたいかって、どっちが偉いとかではないんです。

 学生時代の知人に面倒くさい歴史オタクがおって、歴史を題材に扱った作品で少しでも史実と違う部分があると気に食わんと言う。
 近代史ならともかく三国時代だの弥生時代だのその辺ですよ。
 友達から借りた横山先生の「三国志」読んでたらなんや知らんが馬鹿にしてそんなふうに言うてきたもんで僕も少し頭きて。
 学者先生の間でも真偽わからんかったり実在すらあやふやな人がいる中、なーにが「史実と違う」や偉そうに素人風情がよと小馬鹿にしたところ取っ組み合いの喧嘩になってめちゃくちゃ大人たちに囲まれて大説教食らったことがある。

 あれだけは僕はいまだに自分が悪かったと思ってへんのですが、彼は今どうしてるんやろうな。
 まだ片っ端から三国志関連の作品のアンチしてるんかなぁ。

 畢竟僕はテキトーにその職業の上澄みをすくって、スナック感覚に軽めのエモさをつまみ食いするだけでもええと思うんですよ。
 僕は芸人しつつたまに売文業なぞのお仕事をいただいて生活しているんですが、僕から言わせれば消費者にそこまでの負荷を強いるくらいなら書かん方がラクです、お互いに。

 それはそれとして、外部の人間が専門的なことに真正面から真剣に向き合って、理解と知識を必死に深めてかき集めて成り立つ作品をとても尊いとも思いますけどね。

 僕が学生時代に大揉めした歴史オタクの彼のような、自分が好きなものがとにかく穢されてはならぬ、大衆に消費されるような軽いものではない、と強く思う人を「高尚様」と揶揄することを今日知りました。

 なんでも構いませんけど、高尚様とてお好きでしょ? 推しのエモいとこ。
 エモは言葉こそ軽くてもエモと表現されるその感情は個々人により計り知れない。
 自分の感情をわざわざ言葉の響きの軽さに寄せる必要はないと思いますよ。

 今日はそんなこと考えつつ仕事の合間に過去の名作映画をオレンジジュース片手に観てました。ラインナップはLEON、初代ゴジラ、モンスターズインク。ほーんまエモい♡

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?