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30.虫の居所のお加減はいかがですか


 自分の機嫌は自分で取りなさい。
 というのがうちのおかんから唯一強く言い聞かせられたことでした。
 おかんがどうと言うよりかは祖父母がその思考を地で行く人達らしくて、母も姉も自然とそういう前提で生きていました。

 ただ、「不機嫌の尻拭いを他人にさせるな」と言われつつもあくまで「他人を頼るな」とは言われなかった。

 小崎の家に来て何年かはその教えに少し息苦しさを感じていたんですが。

 10年くらい前、当時大学生やったお姉ちゃんが「ちょっともう他人に八つ当たりしそうやからカラオケ付き合うてや」と誘ってきて、フリータイムでさんざんコールアンドレスポンスしたり逆に僕が歌ってるときに普段穏やかなお姉ちゃんがめちゃくちゃ踊ったり、結局8時間近く遊んだあとに「ありがとうね」とアイス奢ってもらったときにけっこう衝撃を受けました。

 虫の居所を伺うのを他人にさせない、自分の機嫌を自分で取る。
 その方法にとりあえず他人と大はしゃぎしたり、ありがとうねと弟にアイスを奢って笑うというのは"アリ"なのか、と。

 思えば別にお姉ちゃんは僕に不機嫌なそぶりを見せはしなかった。「他人に八つ当たりしそうやわ」と言った声音すら軽やかなものだったと思う。

 自分の機嫌は自分で取らねば、と思う人ほど自分1人で全部なんとかしようと思うのは、真面目ゆえに損していて悲しいですね。

 全部自己完結なんて大抵無理なんですから、程よく他人に寄りかかるんがええですよ。

 あと僕は自分の機嫌は自分で取れますが、同時に時おりなんでお前の機嫌まで取ってやらなアカンねんとも思ってるからな。
 1回だけそれでメンがヘラってたひろくんにビンタしたことあったな。今でもめちゃくちゃ反省してるし後悔してます。グーパン返ってきたけどね。

 そういうわけでみなさん明日も虫の居所に気をつけつつ気張りましょう。いえい。

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