公務災害の後遺障害認定方法について

はじめに


後遺障害とは、筆者の場合は腰椎のしびれが残っていたりすると後遺障害認定されます。例えば、交通事故や職場のパワハラなどで、うつ病を発症した場合は公務災害に認定されるとともに後遺障害認定される可能性が出てきました。今までは精神的なものについてはかなり厳格にみられていて、公務災害と直接的な因果関係が客観的に認められないと難しい部分がありました。
筆者の場合は、骨や筋肉に明らかな医学的所見が見られなかったものの、継続して病院へ通院したこと、リハビリも兼ねた接骨院へ通院したこと、そして交通事故発症前に不眠症に悩まされていなかったことを必要書類をそろえて提出したところ、後遺障害14級を認定され、百万円単位の給付金を得ることができました。

ここで了承いただきたいのは、お金の額が問題なのではなく、きちんと自分の主観でもいたかったりつらいということを主張することが大事だという意味でnoteを書いていきます。では、はじめます。


後遺障害認定の流れ


後遺障害認定は治療してから症状がこれからもよくもならないし悪くもならない、いわゆる症状固定と医師から判断されたことから始ますが、以下の手続きの流れに沿って説明します。

〇医師から症状固定を診断される

〇残存障害認定診断書を書いてもらう

〇自賠責保険会社へ残存障害認定申請書を提出する

〇基金へ残存障害認定申請書を提出する(この時公務災害で認定された症状以外の症状を主張することはできない)

〇障害認定


・医師から症状固定を診断してもらう

通院してだいたい半年くらいたつと、医師または保険会社から症状の経過について聞かれます。基金だと半年に一度か三か月に一度、症状等の経過報告をしなければなりません。所定様式に、保険会社とのやり取りや症状の状態を記入します。所属長の確認印が必要ですので、事実と主張があまりにも乖離していると指摘されますので注意しましょう。ここら辺はまた後日書いていきたいと思います。
骨折や大きな損傷は半年ではなくて年単位でリハビリをするのですが、それ以外はたいてい半年程度を目安に医師から「もう通院しなくても、症状が悪くもならないしよくもならない」いわば症状固定の状態を言い渡されます。かすり傷程度で半年も通院されたら過剰ですし詐欺を疑われてしまいますし、患者みずから「症状固定ですよね?」とはっきり言うと、いやな気分になる医師もいるので、「これまで対症療法で痛み止めをもらっていたが、疼きや痛みがとれない。もうこれ以上痛み止めを飲んでもよくもならないし悪くもならないのでしょうか」と質問してみましょう。現在の症状が良くも悪くもなっていないが、通院しなければならないのかどうか打診してほしいというスタンスで医師に伺いを立てると、医師から残存障害認定診断書を書いてもらうようになります。

・残存障害認定診断書を書いてもらう

先ほどのお話と重複する部分がありますが、残存障害認定診断書は医師しか書けません。これまでのカルテの履歴を踏まえて、部位の損傷であれば可動範囲や生活の支障の有無などが記載されます。主に外傷なので、精神的なものは別の様式によって記載されます。
病院によりますが、リハビリテーション科のある病院は理学療法士の方が可動域などを確認し記載します。その内容を医師の署名により証明されるという流れです。なので、リハビリテーション科がある病院に通院するならそこも通っておいたほうが、医師だけではなく理学療法士との意思疎通を行うことで、自分の痛みなどを正確に書いてもらえると思います。

残存障害認定認定書には通院の実績も記入されますので、毎日通院することが難しくても一週間に一度は通うようにしましょう。この実績がどれくらいの痛みでつらかったのかを示す指標になりますので、医師から一か月に一度でいいですよと打診されない限りは、毎日とはいかないまでもいつもと違う感覚だったり痛みが続くようなら通っておいたほうがいいです。(かすり傷で毎日通院されたら迷惑になるので、医師からどれくらいの頻度で通えばいいか打診してもらいましょう)
決して自己判断で通院するのを止めてはいけません。相手方保険会社や基金に「これくらい軽傷だったんだな」と思われてしまいます。痛いのを我慢しながら通院しなければなりませんが、今後の大事な要素となります。
接骨院等へリハビリを兼ねて通院した場合、これまでは残存障害認定の要素とはなっていませんでしたが、リハビリのためということであれば、医師の判断で了承が得られれば判断要素とされます。
筆者の場合は、整形外科では月に一度の通院で、対症療法として痛み止めしか処方してもらえなかったため、接骨院へ行ってリハビリをしたいと医師に相談したところ、承諾してもらいましたので接骨院を毎日通っていました。
大事なのは、自己判断で接骨院に通院しないことです。接骨院は柔道整復師が経営しており、医師資格者ではありません。原則医療機関とされていますので、保険会社や基金の判断次第では接骨院はNGとされます。しかし、医師から接骨院に通う必要があると判断されれば話は別ですので、かならず医師に相談しましょう。
残存障害認定診断書は文書料がかかります。障害認定されると基金から補償してもらえますので、障害認定申請書と一緒に文書料請求書も提出します。

※番外編 精神障害認定をしてもらいたい場合
筆者は腰の痛みと疼きで不眠症に陥り、メンタル的に不安定になりました。職場の保健師にも相談して、整形外科が処方できる向精神薬を飲み続けていましたが、よくならないためカウンセリングを行った結果「うつ状態」と言われ、療養休暇を取得しました。
月に一度別のメンタルクリニックに半年間通院していたので、念のため残存障害認定診断書を作っておいたのですが、ここでポイントなのは残存障害認定申請には、公務災害で認定された症状しか判断されないということです。
不眠症やうつ状態は交通事故発生前までは全くなかったものなので、通院先に精神科を加えられないか相談したところ、公務災害の症状認定を追加しなければならないためさらに時間がかかるといわれてしまいました。
あくまで基金が補償するのは、認定された症状に関してだけであるので、当然といえば当然ですが、それに起因して後発した症状については改めて公務災害認定が必要でさらに医師の診断書が必要であるといわれました。療養休暇取得に使った診断書を使えないか相談したところ、交通事故と直接因果関係が認められない(ようは、交通事故が原因で腰椎捻挫したのは直接的要因であるとわかるが、精神面はそれ以外のことも含まれるので、審査に時間がかかる)とのことでした。審査に時間がかかるのはごめんだったので、その時は仕方なくカウンセリングの面は自己負担しました。
ですが、整形外科で処方された向精神薬があるとのことで、それを処方されたので、それについては基金(筆者の場合は相手方保険会社)が負担してくれることとなりました。内容というよりは、科が別になるとダメのようです。

・自賠責保険会社へ残存障害認定申請書を提出する


ここからは自賠責保険会社のことを少し触れていきたいと思います。
なぜかというと、基金は残存障害認定をする場合必ず自賠責保険会社の判断をもとにするからです。なので、厳密にいうと残存障害認定申請を基金に先に出しても、担当者から「自賠責が先」と言われてしまいます。
ここらへんがちょっともやっとするところなのですが、あくまで自賠責保険でカバーしきれなかった分を基金が補償する「賠償先行」の制度ゆえかと思われます。

自賠責保険会社への残存障害の認定申請手続きは基本的に相手方保険会社を経由させます。これまでかかった通院費や文書料を記載したもの(保険会社所定の様式を送ってもらえます)、残存障害認定申請書と残存障害認定診断書を添付し提出します。
提出して二週間くらいすると、自賠責保険会社から書類の受理通知が届きます。ここから自賠責機構とよばれる機関が、私たちを診断した医療機関から提出された資料を基に判断していきます。だいたい1か月から3か月くらいかかります。
筆者の調べたところ、自賠責機構の残存障害等級の判断基準はブラックボックスですが、赤本と呼ばれる弁護士等が所持するマニュアル本によれば、医学的所見(レントゲンに不自然な影がみえるなど)が客観的にわからないと、等級はつかないとされます。とくに精神面は外傷がないためかなり基準が厳しく、なかなか等級がつかないようです。

筆者はダメ元でも14級くらいはもらえるかなと思っていたのですが、この等級が一番クラスの低いものになります。14級の考え方は「12級(症状が固定してしまいずっとその症状と付き合っていかなければならない)」とは言えないけど、ある程度症状が垣間見てとれるという、おこぼれ的な立ち位置のため、レントゲンやMRIで画像的所見がなければ等級非該当になる確率は非常に高いといわれています。

結果、自賠責機構による当初判断は「等級非該当」でした。
当該判断は不服申し立てが可能なので、もう一度チャンスがあります。
ただし、新たな画像所見などの資料を提出する必要があり、考え方が厳しすぎるからもう一度考えろとは言えないのです。
そこで筆者は、申し立てをするために必要な書類をそろえるため、保険会社に対し自賠責機構に提出した資料のコピーを請求しました。
実は、自賠責機構に行くまでの間、筆者の提出した書類のほかに保険会社の診断書が添付されているのです。
これが一番厄介で、保険会社側に雇用された医師が筆者の提出した資料や医師のカルテなどを見て、「残存する障害はないと思われる」とコメントを書いた文書を一緒に自賠責機構へ提出します。
そうすると、筆者は知らないことになるのですが、当該医師のコメントは非公開情報のため本人が開示請求しても保険会社は開示してもらえません。

筆者はこの仕組みを知らなかったため、もう一度自分が直接自賠責機構へ提出する制度を利用して残存障害認定申請を行うこととしました。
このためには、以下の資料が必要です。

・医師のカルテ
・接骨院の施術履歴
・残存障害認定申請書
・医師の残存障害認定診断書
・不服申し立ての文書
・印鑑証明書
・交通事故証明書
・等級決定した場合の給付金払い込み先口座情報

以上を用意します。このうち、払い込み口座情報と不服申し立て文書以外は保険会社が保有していますので、送ってもらうよう請求します。

これらの書類を吟味しながら不服申し立て文書の内容を考えていきます。
ここで交通事故に強い弁護士さんに相談するのも手です。

※番外編 交通事故に強い弁護士に無料で相談できる
筆者は公務員ですが、法律にバリバリ詳しいわけではありません。
ネットで検索すると、交通事故にあったら弁護士に相談するよう積極的に進めていますが、そんなにお金があるわけではありません。なので、公的制度である無料相談を使うことをお勧めします。筆者の場合は自賠責機構への不服申し立て文書の内容を一緒に検討してほしかったのと、どれくらいの損害賠償金額を得られるのか概算してほしかったので、無料相談することにしました。
各都道府県弁護士会が運営する交通事故に関する無料法律相談会(厳密には弁護士のあっせんだそうです)がありますので、ネットで検索します。予約日は原則平日で、一時間程度がほとんどです。また、担当弁護士は日替わりで指名不可のため、複数日指定しても違う弁護士になってしまい、前回の話を引き継がれることはありませんのでまた最初から話さなければなりません。なので事前に相談したいことをメモに書いておくことをお勧めします。

相談したところ、内容について詰めることができました。やはり医学的所見が薄いということだが、整形外科のカルテには不眠の事実が記載されそれに伴う向精神薬の処方も記載されているので、ダメ元でもメンタルクリニックに書いてもらった残存障害認定診断書を添付資料として、腰の痛みと疼きによる不眠症が続いてつらいことを訴えてみてはと打診されました。
(担当の弁護士さんは、当該相談が終わった後も、個別で無料で応じられるとのことだったので、そのあとも電話で相談に応じてもらえました。調べてみるもんですね)

結果、やはりだめでした。覆すには相当難しいといわれたもののと思いましたが、この後の公務災害のほうでは14級を取得することができたので、無駄ではなかったと思います。

・基金へ残存障害認定申請書を提出する

自賠責機構から等級診断をしてもらったら、いよいよ基金へ手続きしていきます。
ここで要注意ですが、時効の問題があります。
基金へ請求できるのは、事故が発生し症状固定の診断日から3年間を過ぎると請求債権が消滅します。つまり、あとから請求しとけばよかった! とか、自賠責機構に何度も不服申し立てしていたら基金へ請求できなくなった! とかあり得るので、要注意です。
症状固定したら、即自賠責機構へ保険会社を経由させずに自分で直接申請し、等級判断がされたら基金へ請求する。これが自分の納得する結果を得られるパターンだと思います。

閑話休題。
基金へ手続きする際は、所定様式を書いてしまえば終わりです。
とくに医師からの署名や証明は不要です。
自賠責機構へ提出した書類を出せば基本足りますが、基金が独自に「日常生活申立書」というのを設けていますので、出せる書類は書いておきましょう。これは、日常生活における本人の感じている不具合や、家族からみた本人の生活状況の変化などを記載する書類です。家族は一番身近に見ていますので、ぜひ書いてもらいましょう。なお家族の署名が必要です。

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