土一升に金一升(つちいっしょうにかねいっしょう)

小さな山間の村に住むタカシは、祖父から受け継いだ古い家と少しの農地で生計を立てていた。彼の夢は、村の子供たちにもっと良い教育を受けさせるために学校を建てることだった。しかし、村は貧しく、学校を建てるための資金を集めるのは困難だった。

ある日、タカシは村の古い蔵を整理していた。埃まみれの箱の中から、一枚の古い地図を見つけた。その地図には「土一升に金一升」と書かれており、村の近くの山に金鉱が眠っていることを示していた。

タカシは胸を高鳴らせ、村の長老に相談した。「長老、この地図を見てください。山に金鉱があるかもしれません。」

長老は地図をじっと見つめ、「これは昔から伝わる話だ。だが、誰も本当に見つけたことはない。しかし、試してみる価値はあるだろう」と言った。

タカシは村の若者たちと共に、地図に示された場所へ向かうことにした。彼らは山道を進み、険しい岩場を登り、ついに地図の指し示す地点にたどり着いた。そこには小さな洞窟があり、内部を調査することにした。

洞窟の奥に進むと、タカシたちは黄金色に輝く鉱石を発見した。「これが金だ!本当に金鉱があったんだ!」と、皆が歓声を上げた。

村に戻ると、タカシは金鉱の発見を報告し、金を売却して得た資金を学校建設に充てることを提案した。村の人々は賛成し、学校の建設が始まった。タカシと村の若者たちは、自分たちの手で学校を建てるために懸命に働いた。

数ヶ月後、立派な学校が完成し、村の子供たちは新しい教室で学ぶことができるようになった。タカシの夢は現実となり、村の未来は明るく輝き始めた。

ある日、タカシは再び長老の元を訪れた。「長老、あなたの助言のおかげで、村に学校を建てることができました。本当にありがとうございました。」

長老は微笑み、「タカシ、お前の熱意と努力が村を変えたんだ。昔のことわざに『土一升に金一升』というのがあるが、それは努力が実を結ぶことを意味している。お前はそのことを証明したのだ」と言った。

タカシは深く感謝し、「これからも村のために努力し続けます」と誓った。

その後、タカシは村の発展のために様々な活動を続け、村はますます繁栄していった。彼の行動は、村の若者たちにとっての希望となり、未来を切り開く原動力となった。

タカシの物語は、村の伝説として語り継がれ、「土一升に金一升」ということわざが、努力と信念の象徴として村の人々に深く刻まれたのだった。

ことわざから小説を執筆 #田記正規 #読み方

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