棚から牡丹餅(たなからぼたもち)

秋の穏やかな午後、大学生のタケシは図書館でレポートを書いていた。彼は経済学の授業で出された課題に苦しんでいたが、なんとか締め切りに間に合わせようと必死だった。

「うーん、どうしてもこの部分がうまくいかないな……」と、タケシは頭を抱えた。

その時、図書館の入り口から見慣れない男が入ってきた。男は眼鏡をかけ、背の高い本の山を持っていた。彼は周りを見渡しながら、タケシの方に近づいてきた。

「こんにちは、君も経済学を勉強しているのかい?」男はにこやかに声をかけた。

「はい、そうです。でも、今レポートに行き詰まっていて……」とタケシは答えた。

「それは大変だね。実は、私は経済学の教授で、偶然ここに来て研究資料を探していたんだ。もしよければ、君のレポートを見せてくれないか?少しアドバイスできるかもしれない」と男は提案した。

タケシは驚きながらも、教授に感謝し、レポートを見せることにした。教授は真剣な表情でレポートを読み始め、数分後に微笑んだ。

「君のレポートはとても良くできているよ。ただ、この部分を少し修正すると、もっと説得力が増すと思う」と教授は具体的なアドバイスをしてくれた。

「ありがとうございます!本当に助かります」とタケシは感謝の気持ちを込めて言った。

その後、タケシは教授のアドバイスを参考にレポートを修正し、無事に提出することができた。数週間後、成績が発表され、タケシは見事に高得点を取ることができた。

友人のケンジがタケシの結果を知り、驚いた。「お前、本当にすごいな。どうやってそんなにいい成績を取ったんだ?」

タケシは笑顔で答えた。「実は、図書館で偶然経済学の教授に出会って、レポートのアドバイスをもらったんだ。まさに『棚から牡丹餅』って感じだったよ」

ケンジは感心しながら頷いた。「確かに、そんな幸運があるなんてすごいな。でも、お前が一生懸命頑張ったからこそ、その幸運が訪れたんだと思うよ」

タケシは友人の言葉に感謝しながら、自分の努力と運の組み合わせがこの結果を生んだことを実感した。彼はこれからも努力を惜しまず、また新たな幸運を引き寄せることを心に誓った。

「棚から牡丹餅」という言葉が示す通り、思わぬ幸運が降ってくることはある。しかし、その幸運を受け取るためには、日々の努力が必要だとタケシは改めて感じたのだった。

ことわざから小説を執筆 #田記正規 #読み方

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