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「色褪せしない」ってこういう事か

先日、新聞の特集記事に香川京子さんが登場していました。
御年90歳ながら、あいかわらずの「凛」としたお姿が見れて嬉しくて、つい浮かれてしまいました。
この新聞記事、大事にとっておこうと思います。

私の中で香川京子さんといえば、やはり東京物語での「京子」です。
四人兄妹の末っ子で、両親と尾道に暮らしながら教員をしている京子は、
母親亡き後の兄や姉たちの手のひらを返したような、いわば現実的な会話に憤り、その純真な気持ちを紀子(原節子)にぶつけます。
「老いるとはこういう事なのか….」と、虚しさに訝しい気持ちになりながらも淡々と観ていくのですが、終盤にこの作品の「答え」的なものをチラつかせてくれる。それがこの会話の場面だと思います。
京子の無条件に親を想う気持ちに、「やっぱりそう思うよね」と心が救われて、もやもやした気持ちが成仏されます。(私の場合は)

このキャスティングに香川京子さんを起用した小津監督が凄いのか、
演じた香川京子さんが凄いのか、どっちでしょう?
両方なんでしょうが、「この人しかいない」という役どころなのは確かだと思います。

当時、小津安二郎監督は「洗い立ての感じ」と香川京子さんを表現したそうですが、本当に「凛」としていて眩しすぎます。
この記事で知ったのですが、小津安二郎監督の作品への出演は東京物語が唯一だったとは意外でした。

映画東京物語
東京物語<1953>

インタビューの中で、東京物語で共演された原節子さんを「憧れの人」だったと語っている香川さんですが、
そこら辺のお話しを、もっと深く聞きたくなってきますね。
インタビューした人がただただ羨ましいばかりです。
なにしろ、原節子さんと会話した事がある人なんて、今やそう多くはいないであろうし。

原節子さんや、小津監督、笠智衆さん、東山千栄子さん、杉村春子さんなど(私にとって伝説化した人たち)と撮影を共にしたり、同じ時間を共有してきたんだよねこの女優さんは。と噛み締めながら記事を何度も読み返してしまいました。
やっぱり凄い人(尊い人)ですね。
こういう方が元気でご活躍されているという事が、どれほど尊いことなのか、解る人には解ると思います。

香川京子と原節子 東京物語
原節子さんと香川京子さん。尾道の父の家で。


原節子 東京物語
紀子役の原節子さん。香川さんの憧れの人だ。


香川京子
日経新聞の記事から


香川京子
69年前の香川さん


香川京子現在
そして今の香川さん、変わらないですね。まるで木漏れ日の様な美しさです。
色褪せしないってこういう事か。素敵だ。


東京物語の一幕
東京物語の一幕。笠さんと東山さんが東京に立つ朝のシークェンスです。
「これじゃと大阪六時じゃのう」という笠さんの台詞からはじまる場面。
「はいお母さん、コレお弁当」と香川さん。「あぁ、おおきに」と東山さん。
私はこの場面が大好きだ。


東京物語をカラー化した写真や映像は、何度か見たことがありますが、
私もちょっとやってみました。AI頼みの状態なのでお顔が赤らんでしまっていて少し残念な感じになってしまいました(ご本人に失礼だよね)
しかし、それを差し引いてもビクともしないくらいの清楚っぷりです。

香川京子
香川さん...瞳がとくに綺麗なんですね。カラー化すると解る。


香川京子さん。こういう年齢の重ね方をする人を「色褪せしない」というのかな。
俳優歴が70年。90歳になられて今なお現役って凄すぎます。
記事によると、70年の間に出演した作品は、映画だけで137本にも及ぶそうです。
いつまでも木漏れ日のような美しさでいて欲しいです。
今年公開された「島守りの塔」かならず観よう。

最後まで見てくださりありがとうございました。

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