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ビフテキ子守唄/渥美清の泣いてたまるか

私は寅さんになる前の渥美清さんが大好きです。
「渥美清の泣いてたまるか」はお気に入りで、25巻ほどのDVDを持っていて、いつでも観れる様にしています。
今の時代ですから、DVDなど無くても好きな映画やドラマはいつでも・どこでも観れます。アナログな私でもそれは知っています。
でも好きな作品は、どうしてもDVDで持っていたい。
ちなみに小津映画やアナログレコードにも同じ事が言えて、
これらは、私にとって貴重な「芸術アーカイブ」でもあります。

この泣いてたまるかシリーズや小津映画は、
例えばレコードを聴いたり、読書をしたり、何か書き物をしたりする時など。何かをやるときに、バックで流しておくのにもとても最適です。
(じっくりと鑑賞もしますが)
映像自体がとにかくオシャレ、というか私好みなので、お部屋で無音で流しているだけで素敵な空間が出来上がります。

美清の泣いてたまるか ビフテキ子守唄渥
第3話の「ビフテキ子守唄」。シリーズの中でもとくに好きな作品です。
1966年5月の放映なのでちょうど私が生まれた1ヶ月後の放映だ。時代背景にも興味が湧く。



なぜ「泣いてたまるか」に惹かれたか。
理由はたくさんありますが、
一番は、渥美清さんの演技の上手さを存分に知ることが出来るところです。
言い方を変えると、役者としての凄みを知ることで、寅さんになれた訳が腑に落ちた感じです。
もちろん「男はつらいよ」シリーズも大好きで、そもそもそっちのほうから入って渥美清さんを好きになったくらい。
しかしこれを観る前は「寅さん」というキャラクターが強烈すぎて、渥美清さんの役者としての上手さはもう「ありき」のものになってしまっているため、その凄さを意識すらしていませんでした。

毎回、脚本家や監督が違う1話完結型のドラマ。
主人公としての役柄も1話ごとに違いますが、どれ一つとして同じキャラではないのが凄い。
コメディタッチのものからシリアスものまで、様々な職業や人格の人間を演じ切っている渥美清さん。
中には、寅さんではお馴染みの「口上」も観ることもできる巻もあって、
これには、寅さんよりも少々荒っぽさも感じられて新鮮味を感じます。

何より渥美さんの歌唱力の高さには目を奪われます。
ドラマの中でその当時の流行歌や軍歌などが良く登場しますが、
渥美さんが歌うとどんな歌もすごく良い楽曲に聴こえてしまう。そんなところにもエンターティナーとしてのレベルの高さを垣間見る事ができます。

「渥美清の泣いてたまるか」が放映されたのは昭和41年〜43年頃。(1966年頃)
TBS系で毎週日曜日の夜8時から放映されていたそうです。
私が生まれた年に放映が始まっていて、この頃の「生活感」や「物」「言葉の言い回し」などを振り返る事ができます。
初めて見るものや、なんとなく覚えている様なもの。
いろいろと面白いものが、お話のあきこちに落っこちていて実に楽しいのです。

放送禁止扱いの単語なんかもそのまま収録されているのも面白く、これも見どころの一つ。
当時は今では考えられないような、ドぎついワードが使われていて驚きます。

ところでこの「ビフテキ子守唄」の出演者たちを改めて見てみると、これがまた堪りません。レア感満載といったところでしょうか。
黒柳徹子さんや、京塚昌子さん、悠木千帆さん(樹木希林)、清川虹子さん、三井弘次さん。
しかも、皆さんのお若い姿が観れて嬉しくなります。

この時代の役者さんの演技は本当に細かくて巧みです。そんな風に感じるのは私だけでしょうか。

渥美清の泣いてたまるか/ビフテキ子守唄
清川虹子さんの演技も光ります。


渥美清の泣いてたまるか/ビフテキ子守唄
この時からすでに寅さん顔だったのか。


渥美清の泣いてたまるか/ビフテキ子守唄
ビフテキが食べたくなるシーン。
なんだかお腹が空いてきます。


渥美清の泣いてたまるか/樹木希林
悠木千帆さん(樹木希林)。かわいい。

樹木希林さんの役どころは、渥美清さんの亡き妻。
登場するのは遺影としてだけという面白い設定。
セリフが無いのに存在感が際立ちます。


ビフテキ子守唄/黒柳徹子
黒柳徹子さんの登場にはびっくりしました。


ビフテキ子守唄/黒柳徹子
キュートでチャキチャキな黒柳さん。


ビフテキ子守唄
ラーメン屋の二階でのお見合いにも驚く。この時代は普通のことだったのかなぁ。


ビフテキ子守唄/京塚昌子
私の中の”お母さんアイコン”京塚昌子さん。そうそうこの顔だよね。




長々となってしまったので、今日はこれでおしまいにします。

「渥美清の泣いてたまるか」、次はどのお話しを観ようかな。
観ると少しだけ心が広くなった気になります。
まだ観た事のないという方には、一度は観てほしい昭和の頃のテレビドラマです。

最後まで見てくださりありがとうございました。

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