お医者さんごっこ
Mちゃんの家も私の家も、古い団地の狭い2K。
遊びに行くと、大抵お母さんが笑顔で迎えてくれた。
Mちゃんのお母さんは、私の母や他の子のお母さんと少し違ったように思えたのは、
美人で、静かで、儚げで、ふくよかさの中に色気があったから。
玄関から続くリビングにお母さんが座っていて、
Mちゃんとは、いつも隣の部屋でふすまを閉めて遊んでいた。
私は大人しい方で、Mちゃんのアイデアに乗っていた記憶。
確か、人形遊び、お絵かき、噂話をしていたような・・・。
実は何をして遊んだのかは、あまり覚えていないけど、
1回だけの遊び、でも鮮明に覚えていることがある。
毛糸で編んだ、人形の為のニット帽のような、何かのカバーのようなものを見つけたMちゃんが、
小さい声で、
「これを手にかぶせて、お医者さんごっこをしよう」と提案してきた。
当時の私は、人に触れること、触れられることに緊張感があったけど、
断る理由も見つからなくて、
「ちょっと、ドキドキするね」と返事をした。
「交代でやろ」
「どうするの?」
「私最初お医者さんやるね。あいにちゃん、寝て」
私は言う通りにした。
「ズボン脱いで」
「え?寒いよ~(笑)」
「パンツも脱ごうね」
隣の部屋に聞こえないように、そっと脱いだ。
Mちゃんの、毛糸のカバーをした手が私に触れた。
少しチクチクして、くすぐったい。
「こわい?」と聞かれたので、黙ってうなずいたら、
「交代しよ」と言われた。
今度は私がお医者さん。
スカートの下のパンツを足首までおろしたMちゃんが、寝っ転がり、
「せんせい、いたいんです」と足を広げた。
私は毛糸のカバーで彼女の割れ目のあたりを触れた。
心臓が鳴る。
彼女の顔と、そっと動かす自分の手を見ながら、戸惑う。
「おやつ食べる?」という、突然のお母さんの呼びかけに、
私たちは、ビクッと体を起こし、
慌てて服装を整えて、ふすまを開けた。
リビングには、内職用の鮮やかな色の造花が積み上げられ、
その前でお母さんが微笑んでいた。
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