タマキンがパンパンだとムラムラするのか?科学的に証明してみた
ラランド ニシダさんのタマキン発言
お笑いコンビ ラランドのララチューン【ラランド公式】というYouTubeチャンネルがある。
そのなかにツッコミのニシダさんへの誕生日プレゼント企画がある。
その動画内でニシダさんが発したツッコミについて、問いを立ててみたい。
これは、人類の起源にも関わる学問的にも重要なリサーチクエスチョンである。
その発言がこちら。
シチュエーションとしては、
ニシダさんはいわゆるヤリチン。
以前、ファンに対して
『最近DMくれないじゃん
忙しいのかい?』
という下心満載のDMを送っていた。
↓
ボケのサーヤさんがニシダさんへ誕生日ケーキをプレゼント。
↓
ケーキにメッセージカードがついている。
↓
カードの文面が
ニシダさんがファンに送った
下心満載のDM
というボケである。
自分に下心があったことを認めつつ、それを面白く表現しており、視聴しながら笑った。
実際に動画内でもウケていた。
しかし、このツッコミは以下の前提条件がある。
このDMはニシダさんの性欲が高まり、ムラムラしているときに送っている。
そして、タマキンに精子がパンパンであることと、性欲が高まることには、関連がある。
ここでは、この前提の科学的根拠ついて考えていく。
つまり、
「タマキンに精子パンパン」
という状態は性欲と関連するのか?
「タマキンに精子パンパン」
だから性欲が増すのか?
性欲が増したから、結果として
「タマキンに精子パンパン」になったのか?
これらの問いに対する答えが必要である。
問いの重要性
この問いをあなたは「くだらない」と一蹴するかもしれない。
しかし、果たして本当にそうだろうか?
読むことをやめる前に、
立ち止まって、一緒に考えてほしい。
言うまでもなく、「性」は人類に限らず、有性生殖を行う生物種全体の存続に関わる問題である。
生殖のトリガーたる性欲、
その因果について探究することは、
人類の起源と存続を探究することと同義ではなかろうか。
また、社会学的にもこの問いには価値がある。
昨今、性に関する議論は後を絶たない。
LGBTQ、中絶、ピル、性的同意など、
そのテーマは枚挙にいとまがない。
その中でも、妊娠や避妊に関するテーマは喫緊の課題である。
しかし、この分野の議論において、
生理/排卵など女性に焦点が当てられることはあっても、
男性に焦点が当てられることはなかった。
これは重大な欠陥ではなかろうか。
今一度、考えてほしい。
この発言の科学的根拠について考えることは、本当に「くだらない」のであろうか?
あなたが、
人類の起源と存続について思いを馳せるとき
社会における性の在り方について議論を交わすとき
そして誰かに下心満載のDMを送ろうするとき
あなたは本当にこの問いを「くだらない」と断罪できるのであろうか?
読者諸賢においては、この問いの重要性を理解してくれると心から信じている。
難題の証明
この問いの重要性について理解したとして、
しかしこの因果関係を明らかにすることは決して容易ではない。
証明するためには、
少なくとも以下の問題点を解決する必要がある。
『タマキンに精子がパンパン』という状態の定義が曖昧。
同様に、『性欲が高まりやすい』という状態の定義も曖昧。
上記2つを定義したと仮定して、その2つの間にある交絡因子(性ホルモンなど)の影響を考慮する必要がある。
性的にデリケートな問題であり、症例数が集めにくい。
私は、研究において素人に毛が生えた程度のレベルである。
そんな人間でも思いつく重大な壁が複数存在する。
この難題に答えなど出せるのだろうか?
このままでは、
人類はただ悪戯にタマキンをパンパンにしては、スカスカにすることを繰り返すことになる。
繰り返す輪廻、その意味を知ることもなく、虚無の中で絶滅のときを迎えるだろう。
ああ、哀しきかな人類。(男子限定)
しかし、
ここにその難題に1つの答えを出そうとする研究がある。
研究紹介
論文
『膨張した精嚢は特定の脳の性的興奮に関与している:若い健康な男性における機能的脳画像を用いたパイロット研究』
Men"Weisstanner, Christian, et al. "Distended seminal vesicles are involved in specific cerebral sexual arousal: A pilot study using functional brain imaging in young healthy men." European urology open science 42 (2022): 10-16.
アブストラクトのみ PubMed
全文あり PMC
要するに、
タマキンがパンパンだとムラムラすることをfMRIとホルモン検査で証明した研究
である。
このタイトルからはとてもマトモな研究には思えないが、欧州のジャーナルで2022年にpublishされた、れっきとした医学研究である。
医学誌
この論文は”European urology open science”という医学誌に収載されている。
この医学誌のインパクトファクターは3.2である。
世界的な超一流とは言えないが、当該領域では一定の影響力を持っていると言えるだろう。
少なくとも、インチキ科学誌ではない。
研究プロトコル
では、この研究が一体どのようにして、数々の難題をクリアしているのか、その研究プロトコル(手順)を紹介していく。
これを意訳すると、以下のような流れになる。
検査前の3〜5日間はオナ禁 タマキンが精子パンパンになる
検査初日 AM8時〜11時 陰嚢体積を計測(骨盤MRI) ホルモン検査 エッチな写真を見せながらfMRI
PM6時〜9時 待ちに待ったオナニータイム 金玉スッカスカになる
検査2日目 AM8時〜11時 陰嚢体積を計測(骨盤MRI) ホルモン検査
エッチな写真を見せながらfMRI
このプロトコルで着目すべき点は以下の4つである。
『タマキンがパンパン』を陰嚢体積として定義した
『性欲の高まり』を脳の活動として定義し、fMRIで評価した
ホルモン検査を行い、交絡因子にも配慮している
オナニー後の賢者タイムを考慮し、翌日の再検査としている
特に賢者タイムについて、論文内では以下のように記述している。
賢者タイムって正式には『生理的なオルガスム後不応期』っていうんだ、、、
という発見とともに、賢者タイムにきちんと配慮している研究計画のデザインに感嘆の意を表したい。
私は職業柄、臨床研究に携わることがある。その際、メンター(指導者)から「研究は計画が9割」と言われたことを思い出す。
どんなに素晴らしいリサーチクエスチョン、検査方法、データがあったとしても、研究計画、デザインが陳腐だと結果は全く意味のないものとなる。
そして、この研究は計画デザインにより、先述した難題のうち3つをクリアしている。
『タマキンに精子がパンパン』という状態の定義が曖昧。→精嚢体積をMRIで評価
『性欲が高まりやすい』という状態の定義も曖昧。→脳活動をfMRIで評価
2つの間にある交絡因子の影響を考慮する必要がある。→ホルモン検査
症例数が集まりにくいことについては、この研究がパイロット研究、いわゆる予備的な小規模研究であることから今回は度外視する。今後の研究成果が待たれる。(今回の研究ではn=6)
結果
タマキンの体積とホルモン値
タマキンの体積が半分になってる…!?(8328mm³→4134mm³)
どんだけパンパンだったんだ…
そんで、どんだけ出したんだよ…
統計的有意差もばっちり出ている…
タマキンのサイズ変動についてピンとこない方のために紹介しておくと、睾丸のサイズを測定する専門器具「オーキドメータ」というものがある。
これは睾丸を測定する用途であるため、陰嚢の体積と直接的に比較はできない。
しかし、体積が半分になる、ということは、オーキドメータで20mlから10ml(赤→オレンジ)になる変化と等しい。
成人の正常範囲は15ml以上(赤)であるため、正常範囲から一気に逸脱してしまうことになる。
これはオーキドメータを使用する際にも、射精タイミングがかなり重要である、という示唆も含んでおり、この論文の価値をより一層高めている。
(オーキドメーターに関する雑学はこちらをらどうぞ)
また、テストステロンなどの性ホルモン値に有意差がないことも着目すべき点である。
これでホルモンによる交絡因子は除外できる。
つまり、射精によるホルモン変化の影響は取り除き、純粋にタマキンの体積が性欲に及ぼす影響を測ることができる。
fMRI
つまり、金玉パンパンのときの方が、エッチな写真がよりエロく見え、運動(性行為)を始めやすくなる。
論文内では、以下のように結論している。
ラランド ニシダさんのタマキン発言は科学的に正しい
以上、タマキンが精子でパンパンであることと性欲の関連性についての研究をレビューしてきた。
結果として、ラランド ニシダさんの
という発言は科学的に正しそうにみえることがわかった。
つまり、タマキンが精子でパンパンになると、性欲が高まり、下心満載のDMをファンに送ってしまい、それを誕生日ケーキのメッセージカードにされてしまうのだ。
これで世の摂理が一つ明らかになった。
自分のタマキンは精子がパンパンなのか、DMを送る前に一度立ち止まってみてはどうだろうか。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?