Enter the blue spring(小説)#11

屋上
快人「はあ……」
玲奈「どうしたの?ため息なんかついて。」
温かい春風が吹くのどかな昼休み。
快人たち一行は高校の屋上でご飯を食べていた。
快人「いやー、やっぱ、生徒会の活動、疲れる……」
連日快人たちは生徒会の活動に追われ、いくら屈強な彼らといえど疲労困憊。
特に、生徒会長とサーバーの管理という2つの役目がある快人は疲れが目立つ。
快人「というかさー!何で皆して俺を生徒会長にするのーー!?
僕現実では授業中に教室の隅で真面目にノート写してるだけの学生だって、皆知ってるよねーー!?」
零斗「いいか快人。この世界での生徒会の権力は大人の偉い先生と変わらないんだ。何なら学校より生徒会の方が実質的な権力は高い。」
零斗は何かを悟ったかのように意味不明なことを言い出した。
音邪「そういうわけで!俺たちがこの学校でやりたい放題するためにも、このメンバー全員が生徒会に加入することが必須なわけ。」
快人「いや全然そんなことはないと思うよ!
どこ情報なのさそれ!?」
零斗「アニメですが何か?」
快人「問題しかないよ!フィクション真に受けてどうすんのさ!!」
こいつらそんなノリで初期設定作ったのかよ……生徒会を強く推してきたから何だろうと思ったら……
というか音邪!お前は一人で初期設定決めすぎなんだよ!
音邪「まあまあ。大した努力もしないでふんぞり返っていられるのが、たまらなく気持ちいいんだな〜これが!ここは俺の顔を立てると思って〜。」
未来「お前、兄まで自分の顔のために使うのかよ………」
音邪のあまりにも自己中な言動に未来はドン引きした。
快人「お前なあ!キャラも立ってるし外面も俺のマネして繕ってんだから、もういいだろ!」
音邪「『いい』って何?そういうのないんだけど。」
快人「お前どこ目指してんの!?」

零斗「快人は人気があるからな。あやかればさぞ美味しい思いができるんだろう。」(ヒソヒソ)
玲奈「ええ、でしょうね。」(ヒソヒソ)
未来「とは言うけどよー、あいつちょっと甘えすぎだよな。」(ヒソヒソ)
レオン「全く、人の迷惑も考えないで自分の欲求を優先するとは。よっぽど常識がないな。」(ヒソヒソ)

音邪「おいそこ!聞こえてるぞ!」
快人「はあ……人気って……あればあるだけ良いものってもんでもないと思うんだけど。」
奈義子「そうですか?あったらその分幸せだと思うんですけど。」
快人「いやーそんなことないよ。僕なんかさ、今日女子から1個上の先輩と付き合ってるのかって聞かれたもん。」
一花「あはは!そんなわけないじゃん!…………え、本当だったら本気で◯すよ?」
一花が突然殺気のオーラを出した。
快人「な、何で殺意を抱かれたのか全然分かんないけど、もちろん違うよ。先輩とは、家が近いから一緒になることが多いだけの仲だし。」
一花「ああ、だよね!いやー良かった良かった。」
零斗「俺は付き合ってるぞ。」(グイッ)
零斗は急に一花の隣に座ると、食い気味に一花に言い放った。
一花「ヌーーー!未来に続いてお前もかーー!零斗ーーーー!」
一花は零斗の胸をポカポカと殴った。
零斗「2週間以上前までな。」
一花「へ?」
零斗の言葉に一花は困惑する。
一花「ご、ごめん、えっと、その、で、デリケートな問題だったかな?アハ、アハハハ……」
零斗「ああ、気にしなくていいぞ。俺の野球人生に彼女はいらないのでな。告白されたから了承だけしておいて、この間の授業が終わった時に別れた。」
一花「ちょっと!!何それもったいなくない!?そして羨ましい!」
一花は彼女に選ばれなかった自分と比べて脳を焼かれた。
零斗「……全く。何が良くていちいち他者とくっつかなきゃいけないんだ。あ、そうそう、噂だけはあるぞ。忌々しいものだが。」
一花「噂?何それ?」
零斗「悲しいことだが、俺と玲奈が一緒にいるとカップル認定されてしまうようだ。」
一花「あはは……まあそんなもんだよね。」
奈義子「この世界の人たちは、恋バナに目がないですからね。」
零斗「俺と玲奈が……うっ、吐き気が止まらん……」
一花「え、そんな嫌なの?」
快人「何?何の話?」
一花「零斗君と玲奈ちゃんが付き合ってるっていう噂があるんだって。」
快人「あはは!面白いねそれ!」
零斗「いや本気で 冗談じゃない いとわろし」
快人「それ季語どこにあるの。」
零斗「俳句のつもりでは言ってないぞ。言っておくが。」
一花「快人って結構天然だよね。」
快人「?」
キーン……コーン……カーン……コーン……
快人たちが青空の下でとりとめのない話をしていると、昼休みの終わりを告げるチャイムが聞こえてくる。
未来「あっ、もう終わりか……つくづく思うけど、やっぱこっちの昼休み短えわ。」
レオン「そうだな。俺はこっちの方が好きだが。」
零斗「同意する。」
一花「もう少し時間稼ぎたかったけど、しょうがないか……んじゃ、快人、またあとでね!」
快人「うん、また。皆も、また6時間目で。」
零斗「うーす。」
未来「オッケー、じゃあな!」
快人一行はそれぞれの教室へ戻っていった……

6時間目 体育
先生「おーし。じゃあ雷銅 未来。」
未来「はい!」
時は経って体育の時間。
今日は50m走の計測。陸上でトップクラスの実力を持つ未来の得意分野だ。
生徒「それじゃあ行きまーす。よーい……」

零斗「頑張れ未来ー。油断してフライングするなよ。」
音邪「未来ー。目の前のがコースだからなー、逆走するんじゃないぞー。」
玲奈「喉乾いたからって泥水飲んじゃダメよ。」
未来「お前らなー!俺のこと何だと思って」
北坂「ドン!」

ザザザザザザザザ!

北坂「……え?」
先生「ん?」
音邪「おい北坂、記録どうだった?」
北坂「に、に、2秒だ……お、俺、頭おかしくなっちまったのかな……」
先生「what!?」
音邪「いや普通だぞ?よーし、追い抜いてやるぞーー!」
北坂「いや絶対普通じゃないよね!?早い人で6入るか入らないかくらいだよ!?いくら陸上部でもおかしいよね!?」
音邪「まあ未来だから。他の奴らもザラに3秒台いるぞ。」
北坂「いやいやそんなわけ」
先生「本当だ。ガチの3秒台がいる。」
北坂「嘘だろ!?」
先生の記録表には3秒台の生徒が6人も書いてあった。
音邪「あー、せっかくだから見せてやるよ。僕、最速だから。」
北坂「いいや!確かにお前はおかしいけど、1秒以上は流石にない!」
先生「そ、そうだな。流石にそこまではインフレしないはず……」
音邪「するんだなこれがー。北坂、しっかり測定しとけよ。」
北坂「おう……それじゃあ行くよー。位置についてー、よーい、ドン!」
ガン!
北坂「『ガン!』!?何それ!?どういう音!?」
と言い終わる間もなく地面が抉れ、音邪はたった1秒でゴールにたどり着いた。
音邪「な?言っただろ?」
北坂「……ま、まじか……」
先生「あーー、もうやだ、何なのうちの生徒?化け物か何かなのか、本当に。」
音邪「ギクッ」(しっかりイベントで悪魔化済み)

零斗「未来、あいつすごいな。」
玲奈「ええ。私たちは3秒なのに、一人だけ2秒だもの。」
さっきまで茶化していた二人だが、未来の実力は純粋に高評価である。
一花「オマケに社交性もあって彼女もいる。羨ましいよ。」
奈義子「人間的にもよくできてますよね、彼は。」
快人「いいなー。僕も足速かったらなー。」
音邪「ねぇねぇ皆!おれは?おれは!?」
一同「お前のはチートだろ!」
音邪「つ、冷たい!」

放課後
NPC U「すごいわ未来君!未来君は優しくて明るくてクラスで人気者で足も速いのね!私の好きなタイプとピッタリだわ!!」
未来「いや小学生かよ!?」
空が真っ赤に染まる夕方。
未来は彼女のあかりと一緒に下校していた。
NPC U「しょ、小学生だなんてそんな///
もう、そんなに若々しく見えるの?」
未来「褒めてないよ!タイプが小学生から進んでないんだって!」
NPC U「あ!でも安心して!今後どんなに足が速くて優しい男子と出会ったとしても、私は未来君が一番好きだから!」
未来「ああ、うん、ありがとうね……(諦め)」

キャーーー!

未来「げっ!?こ、この流れはもしかして…………」
NPC U「へっ!?悲鳴!?」
女性「誰か捕まえてーー!ひったくりよーー!」
未来が恐る恐る声がした方を見ると、黒尽くめの男が女性のバッグをひったくって行った。
未来「あ、ひったくりか……」
悲鳴が聞こえたら大体レイドモンスター。
それが未来のいつものパターンである。
しかし今回の相手はモンスターではなく人間のようだ。
未来「よし!あかり、ここで待ってて!」
NPC  U「あっ!さっすが未来君!いつものアレをやるのね!」
未来「『いつも』じゃねえよ『いつも』じゃ!確かに頻繁に怪物には遭うけど!」
未来はあかりに抗議しつつ、ひったくりを追いかけた。
未来「確かあいつ、右の角を曲がってったな。先は商店街、見つけるのが面倒くさそうだぜ!」
未来は右の角を曲がり、商店街の方へ進んでいった。

パーキングエリア
零斗「おい、ちょっと遅くないか?」
玲奈「ええ。」
レオン「ったく、あいつ毎回毎回何なんだ?」
未来がひったくりで奔走している中、一同はレイドモンスター周回のために集会を開いていた。
零斗「何上手いこと言ってんだお前。」
玲奈「?誰に話しかけてるの?」
音邪「あー、本気でだるいわー。てかよー、別にデッキ集めなくたって、今のデッキで精一杯戦えばいいだろ?」
零斗「それだと手数が少ないせいであんまり面白くないだろ?」
一花「そうそう。私は近距離型のデッキのせいで、純粋なレイダーの遠距離攻撃はライフルしかないからさー。正直、未来とかだとマスターゲットレイダー使わない限り、かなり苦戦するんだよねー。」
音邪「かもしれねえけど、周回でデッキ集めても、自分がそれで変身できるかどうかはわからねえだろ。」
一花「そうだね。だから、大体100体くらいは母数いないとね。」
音邪「ファッ!?本気で言ってんのか!?嫌すぎる!!」
いかに強い音邪でも100体もモンスターを狩るのは流石に面倒である。しかし、音邪以外のこの場にいる全員は乗り気だ。
奈義子「今のデッキ強いんですけど、こう、パッとしないんですよね。個性的なデッキに出会えるといいなー。」
一花「うーん、攻撃面でパッとするようなの、奈義子ちゃんが手に入れても、変身できるのかな……」
奈義子「た、確かに。レイドモンスターの性格と私の性格が合わないと、変身できませんからねー。」
最初にもらえるデッキで変身する場合とは違い、後から自力でデッキを手に入れ使う場合は、モンスターの性格が重要になる。
何故なら変身する人間とモンスターの性格。この二つが揃わないと、そもそもレイダーに変身できないからだ。
快人「ねえ、これ本当にやるの?僕忙しいんだけど……」
零斗・玲奈(シカト)
快人「あっ、うん、無視なのね。」
零斗「そういえば、周回するときはアレに気をつけないとな。」
玲奈「ああ、アレね。まあ気をつけるわ、厄介だもの。」
零斗「ああ、俺の場合は特に気をつけないとなーー



即死技に。」

商店街
未来「くっそ、どこに行きやがったんだ、あいつ。」
未来は人の多い商店街の中でひったくり犯を探す。
未来「やっぱこんなに人いると、全然見つからねえなあ……」
未来が諦めかけて商店街を抜けたその時ーー

未来「あっ!いたーーー!」
見覚えのある後ろ姿が未来の少し遠くに現れた。
未来(おーし!バレないように近づいて、さっさと捕まえちまおう!)
未来は忍び足でひったくり犯に近づく。すると、
犬「ワン!ワンワン!」
犬がひったくり犯に向かって吠えていた。
女性「ちょっとサク!人に向かって吠えちゃダメよ!」
女性は犬に注意して吠えるのを止めさせようとするが、犬は吠えるのを止めようとしない。
女性「サク!!止めなさいサク!!」
ひったくり「………グルッ………」
女性「いやーすみません。いつもはおとなしいのに、どうしちゃったのかしらこの子?」
ひったくり「ウウッ……」
女性「?あの、大丈夫、ですか?」
女性が唸り声しかあげないひったくり犯を心配したその時!
ひったくり「………グルッ………グルッ!グアオオオオオオ!」
秘技 包丁!
グサッ!
未来「はあ!?」
突然ひったくり犯は包丁を取り出し、女性の腹部を刺した!
未来「嘘だろあいつ!?犬に吠えられただけで!?殺人を!?」
さらに驚くべきことはそれだけではなかった。
腹部を刺された女性は完全に静止し、ひったくり犯が包丁を抜いた瞬間に、まるでドミノが倒れるかのように硬直したまま倒れたのだ。
犬「クーン……」
未来「な、何だ?あ、あいつ、刺した相手を即死させたのか!と、というか、もし刺した瞬間に死んだんなら、何で体がピクリとも動かないんだ!?」
ひったくり「グルルルル……」
未来「っ!?やばい!気づかれた!」
未来はすぐに商店街に引き返した。
未来「ハアッ、ハアッ、ハアッ、ハアッ!ど、どうなってんだよ!何でひったくり犯を追いかけてたら殺人犯に追いかけられてんだよ!」
ひったくり「ガルウウウウウウウ!」
ひったくり犯は未来を追いかけながら次々と人を刺していく。刺された人々は硬直したまま倒れ、固まってしまったかのように動かない。
未来「げーー!嘘だろあいつ!あんなに人がいたのに、もう全員殺しやがった!あいつ、どう考えても普通じゃねえ!さては、モンスターか!」
モンスター「グーーーア〜〜〜〜〜!」
道行く人が全員遺体と化したためか、モンスターは先程までとは比べ物にならないスピードで追いかけてくる。
未来「くっそーー!流石の俺でももう逃げ切れねえ!それに、戦わなきゃとんでもない数の犠牲者が出る!こうなったら、何が何でも止めてやるぜ!」
未来はデッキを取り出してマスターゲットレイダーにセットした。

火山竜レイダー、ログイン!

未来「インストール!!今!!」
ローディンg
未来「すぐに!!!早くしろー!」
レイダー!
モンスター「ムグググギーー!」
機械の気遣いもあり、未来はとてつもなく速いスピードでレイダーに変身した。
未来「あーーもう!ちくしょう!!」
未来は電蛇タイヤーを振り回してモンスターに応戦する。
未来「何で!俺は!いつも!用もないのに!戦わされるんだよ!」
モンスター「ギエ!?」
電蛇タイヤー(攻撃力1200t)のラッシュが直撃し、モンスターは大きく後方に吹き飛ばされた。
その隙を逃さずに未来は攻撃を続ける。
未来「ふざけんじゃねえ!一体!俺が!何をしたって!」
モンスター「ゴボッ!」
未来「言うんだ!」
モンスター「ノワーー!?」
未来の火山竜レイダー渾身の蹴りが、モンスターの腹部を抉る。そしてさらにモンスターの腹部へ強力なパンチを幾つも打ち込む。
未来「いつもいつも空気読まねえで入って来やがって!そもそも青春が本命の俺たちに、お前らみたいな連中はいらねえんだよ!」
モンスター「グググ…………!」
モンスターは未来の一切容赦のない攻撃の嵐に耐えきれず、じわじわと体力を削られていった。
未来「お前の技はどーうせ、即死技オンリーなんだろ!刺してみろよ!最もこんなにボロクソにされたらそんな余裕ないんだろうけどなあ!」
バコン!
強烈なアッパーがストーカーの顎にヒットした!
モンスター「ウガーーー!」
モンスターは大きく吹き飛ばされて天井に頭をぶつけ、その勢いで天井を突き破ってしまった。
未来「ふう……穴が空いたな。あいつは天井の上か。よーし!」
未来は跳躍して天井の穴を抜け、モンスターを追い詰める。
モンスター「グググ……!ゲーーーーガーーーーア゙!」
秘技 包丁!
モンスターは未来に向かって包丁を投げつけた。
未来「おっと!」
未来の腕に包丁が突き刺さる!
未来「やべえ!」
モンスター「くっ、ふっふっふっふ……」
勝利を確信したかのようにモンスターは笑みを浮かべた。
しかし、

バギッ!
モンスター「!?」
未来「ふう、何とか取れた。」
未来は自らの腕をちぎり取った。
未来「あっぶねえ、危うくアバター持ってかれるところだったぜ。」
モンスター「なっ……!なっ!」
未来の体はゲームで言うところのアバター。
腕が取れようが痛くも痒くもない。
未来「あっ、取れた手にマスターゲットレイダーついてた。いっけねえ……こいつ押さねえと発動できねえんだよな。」
未来は腕についていたマスターゲットレイダーのボタンを押した。

必殺技! 火山竜ビクトリー!

無情にも必殺技の発動音声が鳴り、火山竜も姿を現した。
それと同時にモンスターの口の中に何かが現れた。
バグモ(ど、どうなってるんだ……?腕を失っても平然としているし、終いにはヤバそうな奴まで!?こ、こいつはヤバい!間違いなく!だ、だが、この体を捨てて逃げれば、また人間の悪意を喰い、しかも好き勝手暴れられる!お、落ち着け俺!こういう時にこそ、冷静な思考ができなきゃダメじゃないか……)
バグモはモンスター(バグモに洗脳されているだけで実際は……)の口からこっそり抜け出した。
未来「はーーーーあ!」
モンスター「えっ?」
それに気づかず、未来は必殺技をモンスター(?)に叩き込む。
未来「オラーーーーー!」
モンスター「ぎええええ!そ、そんなーー!」
ドガーーン!(爆発音)

未来「ふう、疲れたーー!さーて、回復回復♪」
レイダーon、回復
未来の左腕が元に戻った。
未来「これでよし!おっと!早くあかりちゃんのところに行かないと!あっ、でもあれだ!一旦殺された皆を復活させてから!」
レイダーon、復活
未来「走る!」

未来の足元
バグモ「あーー、やっべえ。危うく殺されちまうところだった……冗談じゃねえぜ。
俺は虫が人間を滅ぼし、新しく文明を築き上げた世界線から来た存在……その俺が、人間ごときにぶっ倒されてたまるか……!
今に見てろよあの野郎!お前の体に入り込んで、好き放題してやるからなこのバカヤロ」
ドーン!

未来「待っててくれよ!あかりちゃーーん!」

バグモは、走り出した未来に踏まれ、あっけなく死亡してしまった。

夜の住宅街
NPC U「遅いなー未来君。何かあったのかしら……」
未来「おーーい!」
NPC U「あっ!未来君!無事だったのね!」
小1時間程経って、ようやく未来が戻ってきた。
未来「ごめんねー!ちょっと捕まえるのてこずっちゃってさー。あっ、それはそうと、盗まれた人は?」
NPC U「もう帰っちゃったわよ。」
未来「ええ……マジか、気の毒に。」
とはいえ未来は盗難品を持っていないので、もしいても返すことはできないのだが。
NPC U「そういえば、何だか凄い音が商店街から聞こえてきたけど、本当に大丈夫だったの?」
未来「ん?ああ……気のせい気のせい(息を吸うように嘘)あかりちゃんこそ、ずっと待ってたみたいだけど……」
NPC U「うんうん!私はいいの!未来君を待ってる時間はいつだって楽しいもの!」
未来「お、おう……!ありがとう。」
ピコンッ
未来「ん?」
未来のスマホに着信が来た。
ロインの新着メッセージである。
未来「なになに?」

あっそん

レオン『ガキが……舐めてると潰すぞ!💢』

未来『ごめん、精神的に今日は無理』

レオン『あっそ!!💢』

パーキングエリア
レオン「ムキーー!無茶苦茶だあいつ!待たせといて無理って何だよ!もう良い!俺は夜の街でYOASOBIしちゃうもんねーー!」
一花「絶対◯人だよね(コソッ)」
奈義子「間違いないですね(コソッ)」
快人「うんもちろん俺もついてくよ?」
レオン「おい!俺を誰だと思ってやがる!名スナイパーのレオン様だぞ!」
零斗「それがダメなんだろ。」

NPC U「誰かから連絡?」
未来「うん。この『あっそん』て奴、何でもかんでも興味なくなると『あっそ』って返してくんだよ。自分は俺をこき使うくせによー。」
NPC U「酷いわ、未来君の話はすごく面白いのに!」
未来「すごくはねえけど『あっそ』はねえよな『あっそ』は。ま、大丈夫よ。全然大した用じゃなかったし。」
NPC U「そう。なら一緒に帰れるわね✨」
未来「おう!ちょっと遅いけど、一緒に帰ろう!そうそう、この間俺の友達がさあ、すっげえゲーム強くてさー…………」
満月の輝く夜空、未来とあかり、二人だけの空が広がっていた。

ゲームルール
世界の理と、即死技を持つモンスターには、充分にご注意ください。

次回予告
一花「沈むように♪溶けていくように♪」
奈義子「カードがゴミ♪全ていらない♪処分ーーーーー!」
バキバキバキバキバキバキバキ!
零斗「おい!いくらゴミデッキしか集まらなかったとはいえデッキは折るな!カード単位で見れば使えるのがあるかもしれないだろ!」
玲奈「カードだけじゃ、デッキじゃないんだから攻撃に使えないでしょ……」
零斗「いいやまだ分からん。使えるカードをこのお手製のカードケース(ダンボール製)に入れればどうにかなるかもしれないだろ!」
玲奈「それでデッキは無理あるわよ。」
快人「皆爆死すると、現実が見えなくなるんだなあ……」
レオン「それが人間の性さ。」
次回 enter the blue spring 第12話 剣豪
次回も見てね〜。




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