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海外進出企業のほとんどが経験する現地法人社内不正の数々

海外進出企業で発生するさまざまな不正とは

海外進出の現地法人では残念ながらに様々な不正(在庫横流し、キックバック、現金着服、カラ出張、不正交際費等)が発生しています。

1.中国子会社で多くの不正が発生する理由
私が中国赴任時代に経験したり、聞いたりしたさまざまな不正についてお話します。

現地法人の管理部門における勤務経験の比較的長い現地スタッフであれば容易にその不備をついた不正を行うことが可能です。また中国も豊かになったとは言え依然貧富(所得水準)の差は大きく、経済的な「動機」を持ったスタッフも中にはいるようです。さらに、自分は会社に十分貢献していると自己評価により着服等の不正な収入を「正当化」している事例もあります。

2.不正のチャンス
中国現地法人の現地スタッフの担当業務、これに係る内部統制、管理の実態を日本人マネジメントが把握していないケースが多くあります。さらに日本人マネジメントは定期ローテーションで3年から5年で帰任してしまうのが一般的です。

一方勤務経験の長いスタッフは、内部統制上の不備(不正の機会)を容易に認識できます。こうした状況が重なり不正の「チャンス」が大きくなっていきます。

3.従業員レベルの不正の特徴
1回当たりの不正金額は少額のケースが多いため簡単な監査などでは明らかにならないことが良くありますが、長期間にわたり不正が行われた場合で、その不正が発覚した時の累計額が以外に大きく驚くことがあります。たまたま、不正が発覚していないだけで水面下で相当額の金銭、資産流出がされている可能性もあるため留意が必要です。

4.不正への対応策
中国子会社では、マネジメントによるモニタリングは不正牽制機能として非常に重要になります。また、事業環境は目まぐるしく変わっていきますので、現状のモニタリング方法が適切に機能しているか確認することも必要です。

たとえば、事業開始後で目が届いていた組織でも、事業拡大によりモニタリングが困難になることもあります。さらに、中国ではスタッフの「共謀」により内部統制が機能しなくなるケースも多い点も留意が必要です。一度現状の体制に見合ったモニタリング統制が整備運用されているか検討されることを推奨します。

5.社外不正
外部業者への業務委託が契約条件どおり遂行されず、気が付かないうちに水面下で相当の経済的損失を被っているケースがあります。特に役務提供の成果が見えにくい(検証しにくい)業務は留意が必要です。
広告宣伝業務、運送業務、清掃業務等様々な委託業務がありますが、自社で確認するのは難しいケースも多く、外部の専門家による検証を推奨します。

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