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ジョジョ7部「スティールボールラン」が熱すぎる。※ネタバレ有り

はじめに

 どうもジョジョを見たら、一週間は凄みを出してしまう私です。
 今回はジョジョ7部「スティールボールラン」について語っていきます。十年近く前の作品のため今更感は拭えないですが、新鮮な感想を届けられればと。

ジョジョで屈指の人気を誇る7部

 ジョジョのシリーズの中で屈指の人気を誇る7部。アニメを見ている自分は1~6部までしか知らず、ジョジョで最高傑作を聞いたとき、7部を挙げる人は多いはず。かくいう自分も一番好きになりました。
 6部の終わりから、世界が一巡して始まった1800年代後半のアメリカ。5000万ドルをかけて馬でアメリカを横断する大会から、聖人の遺体を収集するに至るまで、ジョニィ・ジョースターの成長を描いた作品です。

ジョニィの成長

 この7部はジョニィの成長。劇の列に割り込み、金で解決しようしたせいで半身不随のどん底に落ちたクソッタレから、ジャイロと出会い回転を学ぶことで、人間として成長していく。ジョニィは優秀な兄を事故に合わした自責の念が張り付き、そのことで父親に酷い扱いを受ける家庭環境にいる。だが、ジョニィが最後のレースを走る際に父親が応援に来るのだが、思わずここで泣きそうになった。今まで通ってきた道が、全て報われた瞬間だった気がする。

ジャイロ・ツェペリという師匠であり、友人であり、相棒の男

 ツェペリは1部2部に出てくる波紋使いの家系だが、世界が新生してからはイタリアの処刑人の家系であり、回転による穏やかさを求めた。この回転が過去の波紋に近しい位置におり、ツェペリが師匠としての立場でジョジョを導くのは変わらない。この運命が変わらないというのが、また良い。

 ジャイロは厳格なツェペリとは違い、おちゃらけたギャグの似合うダンディな男。時折、意味の分からないギャグを言うが、このギャグに対してジョニィはメモを取っている。二人は最後、大統領のいる列車に向かう際、秘密を打ち明ける。ジャイロは本当の名前を、ジョニィは虫刺されフェチを。この距離感を示すのが本当に上手い。

 お互いのピンチには助け合う相棒関係。ジョニィのピンチを助け、時にはジョニィから学ぶ。ジョニィもそうだが、ジャイロも成長していく。その中でもリンゴォの「男の世界」は特に良く、ジャイロの甘さを拭いさるエピソードとして最高の出来だった。

アメリカの大統領を体現した愛国心の化物

 今回の悪役は大統領ファーニー・ヴァレンタイン。スケールもでかいし、能力も最初は意味の分からないものだった。(個人的にはラスボスの能力の意味の分からない描写は大好き)

「Dirty deeds done dirt cheap」いともたやすく行われるえげつない行為)通称、D4C。隣の世界を行き来できる能力。私は並行世界を移動できる程度に考えている。
 聖人の遺体を求めて、アメリカという国を一番にするという愛国心溢れる男。「ナプキンをとる」という世界の基準、最初の者になるという考え方は父親のハンカチが影響だろう。その愛国心は傍目から見れば狂気じみている。ジョジョの悪役の中でも、美学があり、そこに痺れる憧れる。

黄金の回転

 黄金の回転。能力バトルの真髄を見た。全てがセンスに溢れていて、とんでもない物を作ったと思う。

 黄金の長方形から始まる完全な回転。黄金律は自然から生み出されたものであり、この回転が無限に通じている解釈も良い。そしてツェペリの家系が中世に生み出したとされる馬を利用した、完全な黄金の回転。馬が一番良いとする自然の走りに黄金の長方形による回転は、このスティールボールランが無くては存在していなかっただろう。

 極めつけは、そのセンスを絵に表現する画力。ヴァレンタイン大統領との決戦で放ったジョニィの完全な黄金の回転。この絵は半端なく目を惹いた。正直回転を学ぶ過程からこの絵を見ただけで、この漫画の価値はあったと思う。
 「ありがとう、それしか言う言葉が見つからない」

最終決戦

 ヴァレンタイン大統領との戦いも終わり、ここで7部も終わりかと思いきや、敵はまだいた。誰だと思ったが、正直予想はついていた。ここで終わる男じゃないと、なぜか知っていた気がする。

 運命に引き寄せられた偶然か、ジョジョの敵は、やはりDIO。このDioの登場は、流石に震えた。このDioとの戦いは、昔見た卑劣な戦い方に似ている。妨害も、他人を犠牲にすることも厭わない戦い方。それでこそDIO。

 この戦いはDioの勝利に終わる。個人的には、納得のいかない終わり方だが、最後まで見てどこか合点がついた。ディオは1部でジョナサンを殺し、眠りについたが勝ち負けで言えば勝者と言える。だがジョナサンにとっては、勝ち負けを超越した大局の位置から勝者と言えるだろう。

 このレースで成長したジョニィにとって、真の勝利はレースの勝敗は関係なく、形はどうあれ遺体を渡さなければよい。その勝利は、Dioが勝利する運命に無いことで叶う。面白いことに、前の世界で頭だけで生き残ったのとは違い、頭を失って死んだのだ。

さいごに

 この「スティールボールラン」は劇薬です。簡単に読んだ人の思考に影響を与えてしまう。正直、二日で読み終えてしまったことを後悔している。一日一冊ぐらい、ゆっくりと読めば、私もジャイロやジョニィと同じ気持ちで旅をできただろう。このアメリカの横断の旅で自分も少し成長できたと思うのは傲慢だが、そんな気分にさせるのだ。

……祈っておこうかな。良きライフが過ごせるように。


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