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当たり前のことをちゃんとする

50人ほどの同僚と机を並べて仕事をしている。男女は半々。20代~60代まで、いろんな人がいる。役職がついていない人は、何歳であろうとほぼ、対等な立場で尊重しあって働いている。経験が長い年配の人の方がうまくできる仕事もあるが、ICTの導入や柔軟な発想など、若手の方がうまくできる場合もあるし、男性の方が有利な場合もあれば女性ならではの仕事も多いので、性別・世代を問わず対等なのだ。

私は2年前から、従来の仕事に加えて、少し自分には荷が重いな、と思う仕事を任されるようになったが、すぐに結果が出せなくても「あなたを信頼している。できることを少しずつやっていけばいい。」と上司に言われ、何とかその信頼を裏切らない程度にこなしてきた。まぁ、「何もしていなくはない」という程度だ。

事務仕事に関して、心がけていることがある。

同僚を見ていると、顧客に対しては当然細心の注意を払って対応するが、人事に関する書類や報告書の提出など、部署内での事務仕事をおざなりにしている人が多い。締め切り間際になって、催促されてから慌てて書類を作ったり、不備が多くて管理職から突き返されても「まぁ、いつものこと」と平気だったりだ。

育休をとって久しぶりに仕事復帰したとき、管理職が入れ替わっていたこともあり、私には許容範囲がよくわからなかった。もちろん緊張していたし、提出物の締め切りは何度も確認して遅れないようにしていた。不備を指摘されるのも怖かった。必死だった。あるとき、別の部署で、提出されるべきものがされていない、誰が連絡を怠っていたのか、という問題が起きていた。私には直接関係がなかったので、デスクワークをしながらそのやりとりを聞いていたのだが、ある人が「これはKさんの担当です、Kさんが忘れているんじゃないですか?」とその場にいないKさんを疑うような発言をした。そのとき上司がすかさず、「Kさんはそんな大事な仕事をうっかり忘れるようなことは絶対にない。Kさんの担当なのに滞っているということは、そもそもKさんのところに話が通ってないに違いない」と断言したのだ。

私はまだ、Kさんのことをよく知らなかった。特に目立った仕事をする人ではない。私より少し上の女性で、中学生のお子さんがいて、私が仕事復帰した時には「育児が大変でしょう」と、いろいろ気遣ってくださった。そんなKさんは、目立たなくても当たり前の仕事をきちんとやってきたことで、上司からの信頼を獲得しているのだ。その時の上司の言葉は、その後もずっと私の心に残った。(トラブルの原因も実際、上司の言った通りだった。)

当たり前のことをちゃんとやる。ひとつひとつ、それを継続する。大きな仕事をして称賛を得ることがなくても、ミスをしないということを何年も続ける。その間は誰にも褒められたり、称賛されたりしないかもしれない。だけど気づいたとき、誰よりも信頼されているのは、そのような仕事をする人なのだ。

私にも、続けられるかもしれない。ていねいに、ミスをしないように、当たり前のことをちゃんとやることを目標に、続けて行こう、そう思えた。それを続けることを目標にすれば、育休をとって長いブランクがあり、大きな仕事ができなくても、卑屈にならずに誇りをもってやっていける。

その出来事からしばらく経ったが、先日その上司に書類を提出したとき、「あなたは丁寧な仕事をするから安心だ」と言われた。心がけてきたことが、実を結んでいるんだな、と思う。ちゃんとこれからも続けよう。仕事を適当にしてしまえば、今までやってきたことは台無しだ。頑張れ、私。

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