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カリグラファー Marie Inamiさんに聞く、好きなことを仕事にするヒント

みなさん、こんにちは! オンラインレッスン CLASS101です。

本日はCLASS101でも人気のクラス、『ボールペンで書ける! モノラインカリグラフィー®でお洒落な筆記体を楽しもう』を担当するクリエイター、Marie Inamiさんのインタビュー記事をお届けします。

素敵な世界観のある作品を生み出し、多方面で活躍中のMarieさんですが、実はカリグラフィーは独学で学び、お仕事は未経験で、コネも人脈もない中でのスタートだったんだとか…。

カリグラフィーとの出会いや、カリグラファーとしてのお仕事、これから目指したいことなど、たっぷりとお話しを聞いてまいりました!

カリグラファー Marie Inamiさん

Q. カリグラフィーとの出会いは何でしたか?

学生時代は英語を専攻しており、毎日筆記体を書いていたので、英語で文字を書くことはとても馴染み深いものでした。同時に、デザイン、特に筆記体の英語文字が好きで、気軽な落書きから文化祭などのポスター制作、社会人になってからはグラフィックデザインをしていました。

就職活動の際には、両立は難しいと思っていたので、本格的にやりたいと思っていたデザインの道に進むのか、または英語を使ったお仕事のどちらを選択するかに悩みました。英語を活かせる仕事に従事しつつも、社内でデザインの仕事を担当する形で両立を目指していました。

そんなある日、画材屋さんでカリグラフィーの本を立ち読みしたとき、英文字を専門的に書くカリグラフィーの存在を知り、「これだ!」とビビビっときました。今まで私の中でバラバラだった、デザインと英語が合致して、「これはやらなきゃいけない」と思ったんです! それからはあっという間にのめり込み、今に至ります。

Q. 「モノラインカリグラフィー」というスタイルを確立したきっかけは何でしたか?

モノラインカリグラフィー。スタイリッシュ、エレガント、カジュアルといった具合に、同じ言葉でもデザインによって雰囲気が一変します。

カリグラフィーのワークショップやレッスンをする中で、筆記体を書いた事がない、慣れていない、という方が多くいらっしゃる事に気がつきました。

私は中学校で習った世代なのですが、日本では20年ほど前から必修ではなくなっています。アメリカでも、地域によってはもう教えてない、書けない人も多いそうです。そんな絶滅寸前とも言われているの筆記体を次の世代にも引き継いでいきたいし、使命感と言ったら大袈裟なのですが、私の経験や技術、知識で社会貢献ができたらと思いました

また、今モダンカリグラフィーが流行しているなかで、カリグラフィー用の金属ペンを使って一から学びを始めるハードルの高さも感じていました。

文字はもっと気軽に、生活に密着したものであってほしいので、より手軽に楽しめる文字を提案したい。そこで、モダンカリグラフィーのような可愛くてオシャレ、そして映える、という要素を取り入れながら、身近な道具(ボールペンやサインペンなど)で手軽に始められるカリグラフィーを「モノラインカリグラフィー」として提案してきました。

Q. おしゃれな世界観は、何からインスピレーションを受けることが多いですか?

私のカリグラフィーブランドAinamyTOKYOでの世界観作りは、自分自身の表現でもあるので、まず自分の中にあるものを外に出して、また自分の中に落とし込んでいくという作業をしてます。

外からインスピレーションを受けたものを形にするのではなく、まずは自分の考えたひらめきや、アイデア、経験から出てくるものをもとにしています。大切なもの、夢中になったもの、頑張ったこと、感動したこと、訪れた街や国、出会い、生い立ち、ゆかりのある土地等です。

表現したいと思ったものを、自分の中で深堀しながら具体化してみるのですが、自分の頭の中のものだけで作ろうとするとどうしても限界があると言いますか、今の自分ができる以上にカッコいいものはできない。なので、それから色々なデザインや作品を見てなんとかもっと良くできないかな??って考えて、それは自分の世界にあるのかな?とアイデアを取捨選択しながらブラッシュアップさせて、最終的に自分の表現になるようにしています。文字デザインも同じプロセスで、自分の書き慣れた文字をベースにしています。

全て自分でデザイン、制作を行っているので、全然完璧なものにはならなくて。どちらかというと人間臭い感じなっていると思います。もっと上手な文字やデザイン、表現は世の中にいっぱいあって。でも、ただ同じように上手に作っても表面的になってしまって、私が表現したもの、でなくなって「自分自身の表現」としては軸がぶれてしまう。「私らしい表現、私らしい文字」であることを一番大切にしています。
ご依頼いただく場合は、自分ではなくクライアントさんの世界にある表現にしていくのですが、同様のプロセスで行うようにしています。

Q. Marieさんが思う、「モノラインカリグラフィー」の魅力は何でしょうか?

まずは、誰でも手軽に始められること。そして、カリグラフィーとして美しさを追求したり、書体として深めたり学ぼうとしたらとても奥深く、沼になっているところです。

モノラインで手軽に始めていただいて、のちに同じ知識でカリグラフィーペンにも移行できる、カリグラフィーの基礎練習にもなる点も魅力の一つです。

そして、モノラインで書いた文字自体がシンプルで、可愛くもカッコよくも色々な表現ができ、使える筆記用具や道具の幅が広いので、アイデア次第で無限に活用できます。文字はいろいろな形で生涯にわたって活かす事ができますので、ぜひチャレンジしていただきたいです。


Q. カリグラファーとして活躍する中で、印象に残っているお仕事はなんでしたか?

カリグラファーとしてのお仕事はブランドの筆耕やパッケージ・販促物のデザイン等がありますが、あくまでもカリグラフィーは商品やブランドを素敵に彩るもの。表に出るものは文字やデザインのみといったお仕事が多いものです。そんな中、大手ホテルグループ様にカリグラフィーを楽しむステイプランを作りたいとのご依頼をいただきました。

カリグラフィーのホテルステイプランという事自体前代未聞だったのですが、私の世界観やバックグラウンドにとても共感してくださっていて、私自身を前面に出したプランを作ってくださいました。私もプランの内容の企画に一から携わり、アイデアもどんどん採用していただきました。マイワールド全開でお客様をお迎えして、皆さんに楽しんでいただいてとても嬉しかったです。

私自身、サービスをする側のお仕事をしていましたので、ホテル様が大切にされているおもてなしの精神にもとても共感し、同じ方向を向いて進めることができた、とてもやりがいのあるお仕事でした。

Q.「カリグラファーとしてやっていこう!」と決意したきっかけは何でしたか?

海外や日本各地、移動や宿泊をする事が多いお仕事をしてたこともあり、どこへ行っても、どのようなライフスタイルになってもパソコン一つでお仕事がしたいと、社会人になってから思っていました。

初めはグラフィックデザインで、お仕事を社内で担当してしていたりしたのですが、自分らしい表現ができない壁にぶち当たっていました。フォントを使わずに、自分で作字をしたりと試行錯誤。そんな中で、カリグラフィーと出会い、私の人生の一部だった筆記体ならもっと自分を表現できるはず!と思ってのめり込みました。

パソコン一つ、とはいきませんでしたが、ペンと紙があれば書ける。場所や、ライフスタイルにとらわれず楽しめる、お仕事ができるという当時の希望には合っていたかなと思います。

Q. 今後の目標や夢、挑戦したいことは何ですか?

今、文字を書くという機会が減っていますが、そんな中で、沢山の人が美しい筆記体を書けて、英語を書いて使う事が日常になったらと思っています。

サインや手紙、カードを書いたり、またカフェやお店の看板やお店のポップなどに活かしたり。文字は、フォントで代用できるものではありますが、手書きは書いた人の個性が出る、また個性を出す事ができる唯一無二のもの。Aiにはできない非代替性のものとして、今後いっそう価値が出てくるのではとも感じています。なによりも、手書きの文字はあたたかみがあり、その人を感じられる。例えば年賀状も手書きのメッセージが一言あるだけで受け取る方も嬉しいですよね。

私は、これから自分の技術を磨きながら、もっと多くの人にその価値と技術を伝えていけたらと思っています。

Q.「好きなことで活躍していきたい!」方へのメッセージ

コロナ時代、ここ数年で個人が活躍できる機会が増えているなと感じています。やりたい事があったら、どんどんチャレンジしてみることをCLASS101のレッスンサイト内で受講生さんにもお伝えしています。

私は昔から、何か専門家や生み出せる人になりたいと思っていたのですが、本当に器用貧乏で。学生時代からハンドメイドのアクセサリー販売、写真、バンド、グラフィックデザイン、英語、タイ語、ワイン、コーヒーなど気になったことは全て挑戦。学生時代からの友人には「まりえは本当にいろいろな事やってるよね!」と、よく呆れながら言われます(笑)。
形にならなかったものもあり、沢山失敗して遠回りもしましたが、経験した事や学んだ事が全て自分の糧になって、今の自分を形成していると感じています。

私は、カリグラフィーは独学で、お仕事としても未経験、お教室にも通っていないので、コネなし人脈なしでのスタートでしたが、SNSでコツコツ発信を続けて、商品を作ったりしながらお仕事の機会も自分から積極的に作るようにしていました。ここでももちろん失敗や上手くいかない事は沢山ありましたが、失敗から得れる学びや経験は大きいものでした。

よく、上手くなったら〇〇したい、と聞くことが多いのですが、今の時代は上手くなってからスタートするのではなく、やりながら上手くなる、インプットと並行してアウトプットを行って経験を積んでいく方が上達のスピードが早いと感じています。SNSや、CLASS101のように、それができる場が多くありますので、まずはえいっ!と第一歩を踏み出してみてください。

第一歩を踏み出せたら、次は継続。最初から全力を出してすぐ失速してしまうといけないので、自分が続けられるペースで、淡々とライフスタイルに組み込んでしまうのがオススメです。

これからの時代、あなたらしく、あなただからこそ出来るものがきっと武器になるはずです。CLASS101で「好き」を見つけて、とことん向き合って、深めていってみてください。


Marieさん、貴重なお話しをありがとうございました!