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思いやり

父は人と打ち解けるのが上手な人で、我が家では昔からうんちくが多く、あまり会話が弾む感じではないのだが、外では友人をすぐ作ってくる人だ。

そして結構○○さんだから、そうしたいと思ったというような事を言われるので、父の人に対して親身な所が伝わってるのかなと思っている。

その86歳になった父が京都に一人で旅行に行くと言った時は高齢という事もあって、大丈夫かしら?と心配したものの、長きに渡り外出を控える期間が続いていたし、旅行に行きたいと思える気力があるのなら、気力の湧いてるその時に行く方が良いと思ったので、楽しみがあってよかったという位の気分で『行ってらっしゃい』と送り出した。

ところが、帰ってきてから疲労が激しく食事もあまり取らなくなり、どうも右側の肋骨が痛いと言うので、大きな病院で診てもらった所、肺に水が少し溜まっているので呼吸するのが苦しく、痛みもそこからということだった。(診察結果がでてから、生死にかかわる重病症状例を母はネ.ットで見て勝手に心配していたと告白してきたが、症状による素人検索のあれは本当にしてはいけないやつだと思う。)

経過観察で度々診ていただいているが、これがなかなか回復しない。
日々弱っているのが見て取れて、やっぱり食欲が落ちていて、一日中椅子に座ってテレビを見ているか読書をしていて身体を動かすのが大変そうな日々を3か月も過ごしていた。

数日前、家の電話が鳴って、在宅を確認してから、近所の公園で知り合いになった太極拳仲間の人がわざわざ、自分も取り寄せたのだけれど『美味しかったから』とシシャモのみりん干しと、和菓子を持って、わざわざ届けに来てくれた。

偶然同じ会社に勤めていた人だという事もあったのかもしれないが、誰かが形で「気にかけている」という事をあらわしてくれる事は、これほどに気持ちが上向きになるのだなと驚く。
翌日、「パンにジャムを付けたいから、何か買ってきて欲しい」と母に頼んだそう。

父は、これが食べたいという事のあまりない人で、世代なのか出されたものを黙って食べるので料理を作っても張り合いがない。
そんな人なので、ジャムを付けたいと言い出したのはとても意外。
味に変化を付けたいという気持ちからだったら、とてもいいなあと思っている。

心を寄せてくれて、それを表現してくれる人が家族以外にもいるというのは人を、人生を豊にしてくれる事なのかもしれない。

思いがけない優しさに触れると、心が温かくなる。クンツァイトって、
思いやりという愛情を伝えてくれるような波動じゃないかしら。


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