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エモクロアTRPG「1072」DL側感想

「1072」は、僕をエモクロア沼に叩き落としたシナリオです。以前より音楽や動画を追っているMonsterZ MATEの「コーサカ」氏によるシナリオで、配信アーカイブとして残されていたリプレイがとんでもなく面白く、ハマってしまいました。

シナリオ購入後はTRPGが好きそうな知り合いという知り合いに声をかけ、ディーラーとして10回以上プレイしています。少しでも沼に突っ込んでくれる人が増えてほしい…
以下、ネタバレが含まれますので、ご注意ください。

※この記事はTRPGシナリオを布教する意図であり、有料頒布されているコンテンツの阻害にならないよう注意を払っております。見落とした問題があれば直ちに修正もしくは公開停止しますので、下記Twitterアカウントまでご連絡ください。
https://twitter.com/clank3140_mo_de

ここ好きポイント

  • 各セッション、共鳴者(プレイヤーキャラクター)によって変わる「星野千夏」の設定・行動・動かし方・シチュエーション

  • エモクロアのシステムチュートリアルがたくさん入っておりインストにさえ使えるギミック

  • 最後にカタストロフを出すために行う全力のゴネ

個人的イメージ

RP・キャラの関係性…★☆☆☆☆…ギミック・謎解き
テキスト情報多め…☆☆☆★☆…探索や調査多め
シリアス…☆★☆☆☆…コミカル

(参考程度に)プレイ環境

10回以上DLとしてプレイしていますが、いずれも同じ環境です。
PL1名・ボイスセッション・ココフォリア
短いと2時間半・長くても3時間半

良かったところ

共鳴者に合わせて即興で千夏をRP

DLは、共鳴者の大切な人である「星野千夏」というNPCをロールプレイすることになります。これがDL側最大の魅力だと言っても過言ではないかも知れません。
大切な人が友人なのか恋人なのか家族なのか恩師なのか生徒なのかあるいは全く別の関係なのか、その設定は全て共鳴者のキャラクター設定次第で変わるからです。

ある時は女子大生共鳴者の親友である星野千夏、ある時は敏腕医師共鳴者の妹である星野千夏、またある時は男子中学生共鳴者の恋人である星野千夏。セッションごとに全くバックグラウンドが違う星野千夏をロールプレイし、いわゆる「エモい」シナリオにするために方針付けをし、必要であれば共鳴者の設定内で指定された過去を交えつつ、シナリオのゴールへと誘導していきます。
パターン化出来ないPLとDLのアドリブ合戦が、セッションごとに違う状況を生み出して飽きません。DLが飽きず「また回したい」と思ってしまう点がめちゃくちゃ好きです。

カタストロフを出すためのPLとDLの協力

ラストシーンでPLは何らかの技能でカタストロフ(成功数10以上)を出すように求められますが、ここでPLとDLが協力体制になるのがとても好きです。
共鳴者は大切な人である星野千夏を救いたい。一方で世界を管理しているDLも星野千夏を救いたい。

エモクロアTRPGは基本的に代替技能やDLへの提案を推奨しています(※)が、ここはその最たるものです。PLはいかにしてDLからダイスボーナスをもぎ取るか考え、DLは共鳴者の特性や星野千夏との関係性からダイスボーナスを配るかを考えるという、メタ的な楽しさがあると感じました。
二人でウンウン唸って苦心する分、しっかりカタストロフを出した時の喜びもひとしおです。

※エモクロアTRPGルールブック「技能の代用」
https://emoklore.dicetous.com/rulebook/rulebook-dealer/

難しかったところ

メリーバッドエンド派の誘導

1072は星野千夏を奇跡によって救うシナリオですが、時々諦める気持ちのほうが強いPLがいるので、誘導が難しい場面があります。DLとしては共鳴者もしくはPLから「なんとかしたい」という一言を引き出すことが必要なのですが、かなりDL力が試されます。

無謀に立ち向かうエモさ+解決の奇跡を強調するために、普通に考えられる程度の対策を出してもらっても無駄という描写が多くなります。これによってPLが「あ、バッドエンドだな」と認識してしまうことがあるのです。
直感や心理といった技能を振ってもらえば星野千夏の死にたくない気持ちをアピールできるのですが、最終手段として「逃げる」を選択してしまうPLも多くいます。シナリオにNGとして記載がある以上、それは無理ですという答えを出し、結局ダメか…と手詰まり感に。

逆に言うと手詰まり感からの方法提示によってドラマチックな演出になるかもしれない部分なので、本当にDL力次第だと思います。

「プロローグ」「エピローグ」の説明

「残響」というシステムを活用するため、このシナリオは「1072 プロローグ」と「1072 エピローグ」に分かれています。システム都合とメタ的面白さが合わさったすごいギミックですが、この処理が地味に難しい。

一切の事件がなく「1072 プロローグ」が数分で終わってしまい、混乱しているところで「1072 エピローグ」を始めるところにメタ的な面白さがあります。しかしTRPGに慣れていなければ何がおかしいのか理解できず、「面白いと聞いていたTRPGって奴はこれで終わりなの?」とシンプルな疑問を抱かせてしまいます。
また、TRPGに慣れた人でも初エモクロアだったせいで日常パートのみを行うTRPGだと誤解されたケースがありました。

配信を見ている時は茶番としてリアクションが面白いといった側面もありましたが、普通に友人とプレイする時は「このシナリオは特殊で、前後編なんだよね」くらい言ってしまうなどの工夫が必要そうです。
言ってしまったとしても、一応「プロローグの次に本編じゃなくてエピローグ?」という違和感を残しつつ進行できるので、ギミックの価値はちょっとだけ維持できると思います。

これからディーラーをする人へ

一貫したテーマを決めておくべし

1072は、キャラ関係性が9割とも言えるシナリオです。このシナリオを通して共鳴者と星野千夏の関係はどのように変化したのか、どのように成長したのか、というところに感動やカタルシスがあります。

星野千夏のベースの設定は、15~25歳くらいの明朗快活な女性とされています。共鳴者のキャラクターシート・バックグラウンドを事前にめちゃくちゃ読み込み、どんなストーリーラインを立てるか考えておくのがおすすめです。
例えば高校の友人であれば、依存気味だった共鳴者が星野千夏から自立する。例えば片思い中の男性であれば、恋が実る。
プロローグおよびシナリオエンディングで上記のようなストーリーラインに紐づけてRPすると、「エモい…」を演出しやすい気がしました。

大量にリプレイ動画を見ておくべし

超重要です。
様々なパターンの演出や行動例を見ておき、有り体に言えばパクってこれるバリエーションをたくさん持った上でDLに臨むべきです。RPや誘導の方法、技能の活かし方や救済措置など学びがたくさんあります。

また、シナリオには記載がないものの共鳴者や星野千夏に必要な展開があってアドリブで描写する…といった場面も多々あります。リプレイを見る時はシナリオファイルを手元に開いて見比べると更に発見があって楽しいです。

シナリオ作者のコーサカ氏がDLしたリプレイをまとめてくださっており、どれも最高なので(語彙力)、DLする前にはできるだけ多く見ておくことがオススメです。
https://www.youtube.com/playlist?list=PL0JEZAkG-ps9S4ScAH7mnjoKfafXPoB2c

おわりに

今回はエモクロアTRPGシナリオ「1072」のDL側感想を書いてみました。
シナリオの作り上、やったらやっただけ新しい展開があってDLとして本当に飽きません。書いてたらまたやりたくなってきました。

それでありながら、エモクロア初挑戦・TRPG初挑戦の人にもインストしながら進められるような細かいギミックが散りばめられており、布教に最適。みんな布教しよう!1072、そしてエモクロアを!

オススメ参考リプレイ

まずは先程も記載した再生リストを。
https://www.youtube.com/playlist?list=PL0JEZAkG-ps9S4ScAH7mnjoKfafXPoB2c

その上で特にオススメなのは以下のリプレイ!もちろん他のも大好きなのですが、印象に残っているRPや処理があったものをピックアップしました。

さらに、以前紹介したシナリオ「オリカミ」の作者様でもある「ぱぱびっぷ」氏のリプレイも参考にさせていただきました。
楽しいことはもちろんですし、コーサカ氏とはまた違う回し方なので、処理の仕方のバリエーションとしても為になる内容でした。

オリカミの布教記事はこちらから。

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