ヘイトスピーチから逃げ、彼らを置いていこう

■主張のための尊敬と勉強

正しいと考え行動する人間がいる以上、それはどこかに正しさがあります。すべての意見は完全論破できません。共産主義思想や、テロ賛美思想ですら、完全な間違いだと言い切ることはできません。ただ、相反する別の考え方があり、こちらの方が得が多いと判断することはできます。

例えば、共産主義社会よりも資本主義社会を応援したいとした場合、共産主義の欠点だけを論じるのではなく、共産主義の欠点が資本主義でどう解決するのか、資本主義がどうより良いのかを論じる必要があります。そういった比較を行うためには、資本主義を応援したいからこそ、共産主義を学ぶ必要があります。その際に「共産主義は問題のある思想だ」という考えで勉強をはじめた場合、人間の脳はバイアスをかけ、共産主義の問題ばかりを大きくピックアップしてしまいます。そうさせないために、共産主義は正しいかもしれないと考えねばならず、それは結果的に、共産主義者を尊敬することがスタートラインになるでしょう。そうしてしっかりとした調査の元に述べられた資本主義論は、「資本主義は間違いに違いない」「共産主義は絶対に正しい」と信じて疑わない人以外を、強く資本主義論者に傾ける結果となるでしょう。

つまり、よい説得力と発信力を伴う意見を述べるためには、相手の尊敬と勉強が必要不可欠であると言えます。

■簡単に気持ちよくなれるヘイトスピーチ

そんな中で、ヘイトスピーチを行う人間はほとんどが、相手を尊敬しておらず、また、論を行うための勉強を行っていません。自分と違う考え方の人間を「正しいかもしれない」と尊敬するのは、感情的に難しいことです。また、言うまでもなく、勉強は膨大な時間とお金とやる気が必要です。しかも、必ずしもその結果が即座に現れるものではありません。

しかし、相手を頭ごなしに批難することは簡単です。自分が相手よりも優れていると、自分だけが正しい情報を持っていると感じることは、とても気持ちよくなります。

■思考の確定とデマ

もしくは、最初から主張が決まっている場合もあり、その場合、行われる勉強のほとんどはバイアスにより自分にとって都合の良い言葉がピックアップされていきます。特に、センセーショナルで刺激的な意見はより取り込まれやすい傾向にあり、デマに流されていきます。

それによりデマはさらに拡散され、拡散されたデマはさらに多くの人を巻き込みます。

■ヘイトスピーチを規制するべきなのか

表現の自由とは、どんな意見や創作も自由に行える環境です。これは日本をはじめ、ほとんどの国では既に達成されています。ネットでは特に自由に意見を述べることができ、所謂ヘイトスピーチも表現の自由の元で許容されています。ヘイトスピーチを規制する場合、何が良いのか、何が悪いのかを定義づけする必要があり、その定義は決めた人間の思想に影響してしまいます。どんな内容の発言であれ、それを止めるべきではなく、同様に、他人の発言を止めることもできません。

また、仮に規制したとしてヘイトスピーチは止まりません。1人の発言を止めても、すぐに同じ発言を行う人間が現れます。ヘイトスピーチが簡単に行えることと、気持ちのよい行動であることがその原因です。

実際、ヘイトスピーチは規制される傾向にあります。SNSでの誹謗中傷は今は簡単に裁判を起こし賠償を求めることができ、これはどんどん行った方が得をでき、品のない言い方をすればオススメのビジネスなのですが、それは金銭的な得に繋がるのみであり、根本的なヘイトスピーチ対策にはならず、論を高めることにもなりません。

つまり、ヘイトスピーチからは逃げるべきであると言えます。

■ヘイトスピーチから逃げるためには

ネット、特にSNSは自由な世界です。首相ですらTwitterアカウントを持つ今、学生ですら首相に文句を言うことができます。そういったアカウントはシステムでのブロックが可能ですが、有名であり発信力があればあるほど、ブロックせざるをえないアカウントは膨大であり、かつ頻繁に追加されます。こういったもぐらたたきのような行動は精神を疲弊させ、そもそもの言論活動を行う時間をなくしてしまいます。

そこで、ヘイトスピーチを行う人間と戦うのではなく、ヘイトスピーチを「行わない人間だけを集め隔離する」ことが、このネット社会における現実的な方法であると考えます。

■ヘイトスピーチを行わない人間の区別方法

ここで最初に戻ります。ヘイトスピーチを行わず、より納得できる生産性のある論を行える人間とは、どんな相手でも尊敬できる人間であることと、しっかりと勉強と調査のできる人間であること対条件です。特に、相手を尊敬できることは、思考の確定を防ぐ絶対条件です。

これをAIもしくは民意によってスコア化し、スコアの高さによって「発言が可能」「返信が可能」「いいねが可能」にレベルをわけていくことを、提案と同時にシステム構築を行おうと考えています。これを、言論のスコア化と定義し、考えられる問題とその対策、そして、実現のための方法を考えます。

■問題と対策1:悪い評価をつけない

amazonでは5段階評価を行っています。この評価で低い評価を見ていくと、正当に他と比べ問題を提示した低い評価はあまり多くなく、感情や不合理によって低い評価をつけているユーザーが多く見られました。また、そもそもとして、他人と応援しようという感情よりも、他人を貶めようという感情の方が、人間はより強い行動力を引き起こします。

このことから私の計画では、良い評価でスコアが増えるのみで、悪い評価をそもそもつけられない形にします。

■問題と対策2:直近のスコアを重要視する

万物は常に変わるものであり、また、人と集団は必ず腐敗します。良い評価のみを集計し、スコアが増えるのみであれば、かつて良かった人が今良くない形になった時、評価が失われないことになります。

そこで、私の計画では、直近の一定期間毎のスコアを大きく表示し、これを言論のランク付けに使用します。

■問題と対策3:評価の制限と、評価の評価

AIと用いず民意により評価を集める場合、偏った思想と悪意を持った人間による評価のコントロールが可能になります。

この対策として、一定期間に行えるいいねの数を制限します。また、同一IPと、評価を行ったアカウントと直接関係のあるアカウントは、一定期間同じコメントに評価をできないシステムを構築します。

また、評価を行ったことに対して評価を行うことができ、より良い論にいいねの評価をつけたユーザーは、それ自体が評価され、スコアの増加に繋がります。一方、極端な論にいいねをつけても、それが評価されなければ、スコアは増加しません。

■問題と対策4:良い点を言語化する

良い言論人といっても、様々な方向があり、それは分析される方がわかりやすく発信力が高まります。YoutubeでもTwitterでも「いいね」は1つしかありません。しかし、いいねの中には様々ないいねがあるはずです。特に、言論上のいいねであれば、以下の物が考えられます。

 respect:尊敬
 fair:公平
 lucid:わかりやすい
 data:データがある
 constructive:建設的だ

私の計画では、この5つのボタンを用意し、複数選択可能とします。

■問題と対策5:運営に際し金銭を求めず広告を表示しない

金銭の授与は感情に直結し、時として運営に対する賄賂となります。そして、私もいつか腐敗します。

そこで、このシステムを構築したサイトは、非営利とし、募金のみで運営します。

■実現への方法

ネット上の言論の環境として、現在はSNSと動画サイトが存在します。このサイトでは、SNSのAPIを利用します。最初期はTwitterのみをターゲットとし、サイト上でツイートを見ることができ、そこで評価をつけることができる形とします。長期的には、他のSNSやYouTuberのAPIも利用します。

評価がついた場合、自動的にサイト内でページが作られ、スコアがカウントされていきます。サイトはスコアを集めるのみに止め、そこでの発言は行えません。

サイトの利用登録を行った場合、これをTwitterクライアントとして使用できるようになります。利用登録は匿名が使えません。

クライアントとして使用したサイトでは、スコアによって表示が制限されます。ただし、最初期ではTwitterのAPIからいいねの多いユーザーを集め表示します。

■展望と目的

第一に、利益を求めるものではありません。私の目的は、ネット上での炎上やヘイトスピーチをなくすことです。

まずサイトを構築し、地道に広めていきます。サイトがある程度広まった段階で、インフルエンサーを中心にサイトへの誘導を進め、最終的に、サイトの使用を当たり前にしていきます。

■終わりに

私の計画は、ヘイトスピーチを行う人間への言論制限に見えるかもしれませんが、無論そうではありません。行わない人間への応援です。また、管理社会のようにも見え、行動を律し窮屈にさせると考えるかもしれません。しかし、それは選択の結果としてあるものであり、万人に強要するものではありません。

もしもこの文章の中で問題を感じ、よりよいと考えられる意見を提示できる方がいれば、是非意見を届けてください。また、プログラムやWebデザインで協力できる方がいれば、ある程度構築が進んだ後でお願いをするかと思いますので、DMをいただきたく思います。

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