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とある160万登録YouTuberの成功要因:ビジネス的な視点で

ドズル社(2024年7月現在、登録者166万人)が躍進するにともなって、関係者である私に対して「ドズルさんってなぜあんなに成功したんですか?」と聞く方が増えている印象です。

私はドズル氏と知り合って10年、ときにはライバルとして、ときには部下として、そして友人として、それこそ登録者が1万人に満たないころから見てきたので「それがなぜか」はよくわかっているのですが、口下手なのでうまく話せません。

なので、この場でいったん整理して、文章にしてみたいと思います。ドズル氏が大きくなった理由みっつ。

1)戦略性

戦略とは、ひとことでいえば「選択と集中」です。

つまり、たくさんの可能性の中からひとつだけ選んで、ほかは捨ててしまうことです。ドズル氏はこれがめちゃくちゃ上手いです。

それこそ、“医者”という社会的成功が約束された地位を捨てたことに始まり、クラクラからクラロワ、そしてマイクラへとゲームの移行をばんばん進めました。

実際、ホームゲームをスイッチするときは旧ゲームに愛着があるため、本人もめちゃくちゃ悩んだと思うのですが、「ゲーム実況で勝つ」という目標にそって、最もその確率が高いルートを選びました。

そして、わき目をまったくふりません。

通常のYouTuberは成功すると、いろんなことをやりたがります。

副業、実写、イベント、ショップ、サブチャンネル、別ゲーム、大会…。

それが悪いわけでは決してなく、才能があるYouTuberの人はしっかり成功を納めていきます。すごいことです。

ただドズル氏は、真の目標にてらしあわせてそれが、エネルギーの浪費ではないのか、というところを厳密に判断してやっているところが少し違うなと思います。

つまり「エネルギーの使いどころを必要最小限にすることで、いちばん重要なものごとにおいて最大の成果を上げている」のです。

かつてビルゲイツ氏は「ビジネスで最も大事なことは?」と聞かれて「集中(フォーカス)」と回答したそうです。


ビルゲイツ氏。超金持ち

いろんな可能性があるからこそ、やるべきことを選び、絞ることは大事なのです。

ライフイズショート。何でもできるからこそ、何をしないかを選び取る。

大切なことはたいてい、本当に少ないんですよね。

>あまりに多くのことに少しずつ手を出していたら、本質的なゴールにたどり着けない。努力の方向性がバラバラで、成果が足し算されないからだ。

グレッグ・マキューン 「エッセンシャル思考」より


2)任せる力

YouTubeの王・HIKAKINさんは億万長者になっても、1本7-8時間かかる動画編集作業を自分でやっていらしたそうです。

本質的にクリエイター気質なんでしょうね。たぶん、他人に任せることで動画の質が落ちることが耐えられないのでしょう。

「僕の動画クオリティを最大化できる編集者は僕だ」という意識があるのかもしれません。(そして実際にそうなんだと思います)

かくいうドズル氏も、動画の命たるサムネはずっと自分で作っていましたが、あるときそれをスタッフに任せてしまいました。それどころか、動画のキモである企画までも、他人にまるっと任せてしまいました。

ドズル氏が関わったほうが動画の質は上がると思うのですが、それを一任することで、一時的に質を下げてでも、チーム全体の効率化とパワーアップを図ったのでしょう。

この「任せる力」はYouTuberが全般的にニガテです。なぜなら、YouTuberはものを作りたい人たちなので。「任せる」ことでものづくりから遠ざかり、自分のコントロールできない部分の増えることは楽しくないから。基本的にひとは楽しくないことはやりません。

ただ、ドラッカーがいうように、「分権化することでむしろ権力は強まる」のです。

女子高生を高校野球で勝たせることでおなじみ

つまり、他人にパワーや仕事を渡せば渡すほど、むしろ渡したほうのパワーが増えるのです。渡すべきなんです…。

って、偉そうに言ってる私も、自社の会計処理は税理士に頼まず、自分でやっています。時には動画編集までやってます。

本来であれば、専門家に業務委託したり、仕事をマニュアル化しつつスタッフに渡して、会社を拡大していくべきなんですよねえ。

権限を渡す力、つまり現場から離れられる力というのは会社を大きくしていくうえで、めちゃくちゃ大事なんだと思います。

3)投資する力

さらには、YouTuberは「投資」が苦手です。

なぜなら、YouTubeというビジネスモデルは、“仕入れ”が必要ありません。つまり、めちゃくちゃ利益率が高いんです。

ふつうの商品は100万円稼ぐために70万円で仕入れたりしますが、YouTuberは仕入れ、つまり原価がゼロ円です。

なので、YouTuberは「原価」という概念なく成功体験を積み重ねてしまい、お金を大きく支払うことをおぼえずに駆け上っていきます。

といってもYouTuuberさんはべつに浪費とかしないんですよ。

なんなら堅実な方の方が多い。ただ貯金しちゃうってだけの話で。

その点ドズルさんはバンバン使う。無駄遣いはしないけれども、成長するための投資は惜しまない。人とつながるためのお金はいとわない。

彼が大学生のときに、社会人だった私にフグを奢ってくれたので、そういう気前の良さというか、ケチ臭くなさは生まれつきなのかもですね。ケチな人には人が集まりません…。

1000万円あって、900万円を成長にまわすことで、将来の1兆円をかせぐみたいな気がまえが、君にはあるか?俺にはないぞ。


書いていて気づいたのですが、私になくて彼にある能力ですねこれは。

目標をきめて、よけいな仕事を断り、成長に投資し、仕事をどんどん任せていく。私もそういった点は見習っていこうと思いました。

以上、よろしくお願いいたします~。



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