見出し画像

プログラミング学習支援を届けるCLACKが、全国に活動を広げたいワケ

こんにちは!NPO法人CLACK代表の平井です。
今回のnoteでは、なぜ全国にCLACKの活動を広げていきたいのかについてお伝えしていこうと思います。

これまでのCLACKとこれから

改めてCLACKの活動「Tech Runway」について簡単に説明すると、
「経済的・環境的に困難を抱える高校生に対し、無料のプログラミング学習支援とキャリア教育を提供し、将来的に自分の人生を自分で切り拓いていけるようになってもらうこと」を目的としています。

2018年から活動を始め、半年間を1期として、現在5期生を受け入れています。昨年のオンラインでの支援「テックGIFT」や5日間の「Tech Runway Camp」も含めると、これまで約150人の高校生に継続的な支援を提供してきました。

高校1・2年生のときに「Tech Runway」でプログラミングを学び、大学の情報系学部や情報系の専門学校に進学したり、IT企業に高卒で就職したりといった形で「Tech Runway」での学びを活かした進路を選択する卒業生も増えてきました。

届けられる高校生の人数が年々増えていくと共に、フルタイムで働くメンバーも平井以外に中川、井上と3人に増え、ボランティアメンバーの人数も50人を超えてきました。

そして、大阪南部の困難を抱える高校生に対しても支援を広げていくために、大阪北部の新大阪付近のみで実施していた教室を、11月から堺市でも実施していきます。

また、来年度以降には、東京や地方都市で、他のNPOと連携しての拠点展開も計画を立て、準備を始めています。

CLACKが今拠点を持っている大阪周辺での拠点を展開していくのではなく、他都市で展開していこうとしていることにはワケがあります。
今回はなぜ拠点展開をしていこうとしているのかについて、CLACKで関わる高校生の特徴も交えながらご紹介していこうと思います。

高校生が一歩踏み出すまでの難しさ

「Tech Runway」にこれまで参加してきた高校生の中には、本当にいろんな子がいます。ひとり親家庭、生活保護家庭、不登校、被虐待経験、発達障害といった様々な特性や生育環境の高校生とこれまで関わってきました。

そういった困難を抱える高校生が自分の生活圏内から一歩踏み出して、学校外の活動に参加するまでのハードルは非常に高いです。プログラミングを無料で学べるからといって、ネットで自分で探して見つけるのはもちろん難しいですし、チラシをみても行動に移せる子はかなり少ないです。

そのため、「Tech Runway」では対象の高校生の多い高校や高校生支援NPO、ひとり親家庭支援機関、社会福祉協議会などに呼びかけ、CLACKメンバーが積極的に高校生のいるところに訪問し、彼ら・彼女らが一歩踏み出すハードルを下げられるようにしています。

”手の届かないすごい人”ではなく、”身近なロールモデル”を

ここまで、高校生にとって自分の生活圏内から一歩踏み出すきっかけをどう提供していくかが大切だということについて書いてきました。

さて、ここまで読んだ方の中には、家にお金がなくても、周りよりも厳しい環境だとしても、努力して道を拓いた人はいっぱいいるから、そうした高校生も頑張れるように刺激したらいいのではないか?と思った方もいるかもしれません。

実際、家がすごく貧乏だったり、差別されたりした中で育っても、ハングリー精神を武器に、そこから這い上がって起業家や一流企業の社員として社会で活躍している方もいます。そうした方の話は確かに魅力的で、何かに挑戦しようという状態の人にとっては後押しになってくれると思います。

しかし、自分と近い境遇から這い上がったそうした方の体験談を話しても、「その人だからできた。自分には無理だ」と自分ごととして捉えることが難しい状態の高校生の方が多いと感じています。

それまでの生育環境や失敗経験から、自分に自信を持てない、将来に希望が持てない、そういった高校生に「なにかチャレンジしてみよう」と思ってもらうには、成功しキラキラしているように見える大人ではなく、身近な同級生や先輩の生の声の方が心を揺さぶれるのではないかという仮説を持っています。

海外の事例にはなりますが、同じ地域の人が出ている方が学習効果は高いという事例もあります。

「視聴者が即座に共感できるようにするためには、動画で地元農家を取り上げることが重要です」とガンジー(プロジェクトの責任者)は説明した。

「私たちがやっていることは、農業番組をテレビでやるのとはまったく違います」。

農民はそうした番組を観ても、中身は大抵無視していた。
一方、ガンジーの動画の出演者たちは視聴者と同じ方言でしゃべり、同じような格好をして、同じ環境で生活していた。

もう少し詳しい内容は以前のnoteに書いています。

卒業生が母校で後輩に渡す等身大のバトン

僕自身の経験からもそう思うことは多いです。高校生に「Tech Runway」について知ってもらうために、高校に行って、各クラスでプログラムの説明することがあるのですが、その時に同じ学校の「Tech Runway」卒業生に協力してもらい、体験談を話してもらっています。

身近な同級生や先輩がプログラミングを学んでスキルを身につけ、みんなの前で話せるようになっているのを間近で見て、「あいつで変われたなら自分でも変われるんじゃないか」と感じ、勇気を出して「Tech Runway」の体験会に申し込んでくれるケースが増えています。

こうした形で徐々に卒業生にも、高校生への周知に協力してもらっています。ゆくゆくは出身中学で「Tech Runway」での等身大の体験談を話してもらいたいです。それによって、高校に進学したら自分も「Tech Runway」に参加したい!と思ってくれる中学生が増えたらいいなと。母校で話す経験は卒業生にとっても非常に良い機会になるのではなるのではないかなと思っています。

東京・地方都市での拠点展開を進めていきたいワケ

こうした顔見知りレベルの同じ地域の人が頑張っている、しかもそのチャンスを無料で受けられるという事実には、大きな価値があると思っています。

身近なロールモデルを輩出し、厳しい環境におかれている中学生が、高校進学し、「CLACKっていうところに通えば自分でも変われる可能性があるかも」と思えるような”希望の循環”をつくっていきたいと考えていきます。

それを大阪だけでなく、大都市だけでもなく、地方にも広げていきたい。そういった考えから今後活動を展開していこうと計画しています。

困難を抱える子どもが社会に出る前の最後のチャンス

高校進学率が99%を超えた現在、高校は実質義務教育に近い状況です。高校生年代の支援は子どもが社会に出る前に学びの機会を届けられる最後のチャンスです。

様々な困難を抱える高校生は、様々な要因から将来的に働けない状態に陥ってしまうことも少なくありません。そうした高校生が社会に出る前に支援を行っていくことは社会にとっても非常に重要だと考えています。

校内居場所カフェやライン相談、ユースセンターといった「居場所支援」や、無料塾や中退予防の勉強サポートをする「学習支援」の取り組みが少しずつでも広がっていっているのは非常に嬉しいです。

そして、これから経済的・環境的に困難を抱える高校生が希望を持てるようにしていくためには、それらの支援だけでなく、厳しい”現実”としっかり向き合いながら”理想”を描くための能力と安心して挑戦する土台をつくる支援が必要なのではないかと考えています。

「Tech Runway」の形を広げていくために

各地域に「貧困の連鎖」ではなく「希望の循環」をつくっていくために、「Tech Runway」を全国に広げていきたいです。そしてゆくゆくは政策提言等を通じて「Tech Runway」のモデルを行政や自治体の予算で実施できるようにして、日本中どこでも支援を受けられる状態にしていきたいです。

そこまでたどり着くのは簡単な道のりではありません。そこに至るまでには今まで以上に多くの人の協力が必要です。想いだけでも、仕組みだけでも、実現することは困難です。想いと仕組み、両方揃った状態をつくれて初めて実現が見えてくると思っています。

経済的・環境的に困難を抱える高校生に対して、より質の高い機会を、より多くの地域で展開していく。そのための安定した運営基盤をつくっていくために皆さんのお金を託してもらえませんか?


CLACKをマンスリーサポーターとして支援する方を募集しています。月額1000円からのご寄付が可能です。どうかよろしくお願いします。


最後まで読んでいただきありがとうございます! サポートしていただいた分は生徒の交通費などに使用させていただきます。