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4つのAND|【学習者向け】|クリーンランゲージ&シンボリック・モデリング|*一部修正*

こんにちは。

今回は、すでに、クリーンな質問、そして、クリーンランゲージのセッションの流れを一通りご存知の方向けに、クリーンランゲージ&シンボリック・モデリングの考案者の一人、ジェームズ・ローリーによる”And”についての解説をお届けします。

【Andの日本語訳について】
日本語のクリーンな質問の中での”And”の日本語訳は、私が調べた限りでは、そして、で、すると、それで、そうして、それからなどと訳され使われています。まだ増えるかもしれません。

この記事の中では、あなたがどの"And"の訳をを使用されていても違和感なく読みやすいように、あえて翻訳せずに"And"のままで表記します。あなたが使っている”And”の訳で、自由に感じて、置き換えてお楽しみください。
また、自分で、この役割/機能に当てはまるのはどんな”And”かな?と考えてみるのも、あなた自身の「言葉の理解」を垣間見ることができて、楽しいかもしれません。


お題は"And"そのものの役割について、です。

And

それは、クリーンランゲージ&シンボリック・モデリングの中で、間違いなく、最多登場の単語!
です。
私は一度、どれくらい使用されているのか、公開されているセッション記録の中で数えてみようとしましたが、途中で数えるのをやめました。

そして、その登場回数とは反比例して、”And”はなにしろ目立ちません。縁の下の力持ちさんです。

そんな"And"は、一体、全体、クリーンな質問の中で、そして、クリーンランゲージを使う技法の中で、一体何をしているのか?!

解説に行く前に、まずは、少しだけ、”And”の基本的な役割(機能)についてザクっと復習を。

【"And”の役割/機能】 『メタファー・イン・マインド』より

繋ぐこと、加えること、継続すること

○ 対話を柔らかく穏やかに始める。

○ 今からファシリテーターが話そうとしていることは、クライアントと何か競いあったりするような内容ではないと言うことを、クライアントに知らせる。いわば、「(あなたが)今言ったことの続きをお話ししましょうね」というのと同じような意味。

○ 繰り返し使用することで、「今行われている対話の中の話は、まるごと、あなたの考え方や視点から導かれるはずですよ(ファシリテーターの考え方や視点から、話が導かれる訳ではない)」という無言のメッセージを送る。ただし、このメッセージに、クライアントが意識上で気づくことはほとんどない。

<補則>
”And”以外に、例外で使われる接続詞に”So”がある。
”So"は特に、”バックトラック”や、”描写を蓄積する(リキャップ)”する時の質問の時に使われる。

参考文献(Reference):James Lawley & Penny Tompkins, Metaphors In Mind,p59  *翻訳許諾済*


さて、では、いよいよ、4つのAndについての解説です!

ジェームズ自身も、今まで深く考えたことがなかった(それくらい、andという言葉は、考えなくても無意識に機能を理解できる当たり前の単語ということですね。)ということでしたので、こちらは、初だしの解説になります。

英語がわかる方は、翻訳ではなく、英語そのままでご覧いただく方がいいと思うので、まずは、スクショをどうぞ。

スクリーンショット 2021-07-19 7.22.52

【翻訳】
クリーンランゲージの質問で”AND”がよく登場する場所が4つあることがわかりました。

And [X].
And when/as [Y] and [Z] and ... .
And[クリーンな質問質問]?

最初の'And'は、クライアントが今さっき話したことと、ファシリテーターがこれから口にしようとしていることをつなげます。また、ファシリテーターの声をクライアントの内面世界に〈優しく穏やかに(gentle)〉導入する機能もあります。


2つ目の'And'は、最初の文章で認知したことと、その後に続くことを結びつけます。


3つ目の'and'は、クライアントの経験の一片のいくつかを、クライアントの意識の最前面に運び入れながら結びつけます。そして、結びつけたものすべてを、一緒に(または順々に)考えられるようにします。

(*3つ目の’and'は、複数回登場することもあります)

4つ目の’And'は、(3の)経験のすべてを、これから続く質問と結びつけます。


余談ですが、通常、私たちはクライアントに、自分の経験の一部分に、一度に注意を払うように促しているので、’and'が質問<内>に加えられることはほとんどありません(ただし、このガイドラインには例外もあります)。

James Lawley, posted on Clean Language Open Community, Facebook, 2021   *翻訳許諾済*

”And”または”and"という度に、何かと何かが結びつけられていくということで、Andという度に、そこに何か、経験同士の関係性が生まれている・・・ように思われますが、どうなんでしょう?

すると、その関係性に介入せず、自発的な関係性が生まれるために、こちらサイドには、"And"にかなりのクリーンさがいるということになる・・・のかも、などと思ったりいたしました。

最初の段階で、ここをうまく丁寧にして、"And"がよく機能すれば、より豊かなメタファーランドスケープが生まれそうだなあ・・・と思ったりもします。

また、最後の、'and'が質問<内>に加えられることはほとんどない、というのは、<一つの問いの中で、クライアントに自分の経験の複数の部分に、一度に注意を払うように促すことはほとんどない>ということ・・・つまり、

「And...そのリンゴ and そのみかんに何か関係はありますか?」

「And...そのA and そのBは同じですか、違いますか?」

などの2つの対象について一度にクライアントの注意を向ける専門的な質問以外は、質問そのものにAndが入ることはないということでしょうか。

(*注*「また最後の〜から、この上の部分まで」ご指摘をいただき、最初のバージョンから説明を修正しています。)


さて。

全ての”And”が同じ働きをしているわけではなく、その一つ一つに、違う機能と作用があると思いながら使うならば、(もちろん共通する役割もあるでしょうが)”And”を言う時にもより細やかな注意が必要そう・・・ですね。

Andのしている仕事をはっきり認識して使うと声のトーンなども、少し変わってくるのでしょうか?こないのでしょうか?どうなんでしょう?

ちなみに、デイビッド・グローヴは、セッション中に使用していた全ての”And”の言い方が違ったとかいないとか。

奥深いAnd の世界でした。

また何か面白いものを見つけたらご紹介します!


では、また。

本日の記事のソースでもありますが、Facebookに世界中のクリーンランゲージ好きな人が集まっている場所があります。→Clean Language Open Community

色んな国の人が集まっています。
共通言語は英語ですが、自動翻訳でもだいたい読めます。

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記事内の翻訳については、持てる力の限りを尽くしては翻訳しておりますが、もし、誤訳や、間違ってはいないが、こちらの方がわかりやすいんじゃないかというご意見などございましたら、clean.jikkenshitu@gmail.comまでご連絡ください。大変助かります。


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記事内に登場する本はこちらです↓


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