星街すいせいの「ソワレ」のコード進行について
はじめに
先日、星街すいせいさんがこのようなショート動画を投稿しました。
X(旧:Twitter)のサブアカウントではこのような発言も…
自身もソワレのコード進行については気になっていたので、音楽理論に関して素人ではありますがコード進行のアナライズみたいなことをしてみたいと思います。
保険かけます、色々解釈あると思うけど間違ってても怒らないでね!!!!
コード進行の説明
今回はショート動画の範囲に絞って解析をしてみたいと思います。
コードに関してもショート動画の記載が正しいものとして進めていきます。
全く音楽理論わからなくても、ここが気持ちいいんだよ!みたいなのを伝えられる部分もあると思うので、わからない所は流して読んでみてください!
とりあえずはコードを見てみましょう。
?????????????????????????????
わけがわからないのでとりあえずディグリー表記にしていきましょう。
ディグリー表記については細かく説明しませんが、コードを音じゃなくて調(スケール)の基準音からの距離で表す表記法です。
調(スケール)に捉われずコードの進行を解析する上で大変便利な表記法です。
これでオタクが大好きな転調があったとしてもコード進行がわかりやすくなります、ありがたいですね。
ディグリー表記に直したものがこちらです。
?????????????????????????????
なにこれ...。
オンコードだったり全音下げ転調で頭おかしくなりそうですが落ち着いて1行ずつ見ていきましょう。
まずサビの直前はノンダイアトニックコードになります。
「瞬いた」の「III」の部分ですね
ノンダイアトニックコードは調(スケール)から外れた音を使ってるコードで、違和感がある響きになります。
「そんなことしたらサビに気持ちよく入れないじゃん!!」って思うかもしれませんが、実はこのノンダイアトニックコードがサビに気持ちよく入るための仕掛けになってます。
「III」のコードからつながるサビの頭のコードは「IVM7」です。
このコードはダイアトニックコードで先ほどのノンダイアトニックコードとは違って調(スケール)内の音だけで構成されているコードになります。
そのため、聴いてて違和感がない響きになっています。
つまり「III →IVM7 」といったコード進行はサビ前に違和感を覚えさせておいて、サビの頭でその違和感を解消するといった流れを生み出しています。
試しにサビ前を聴いてみましょう。
「瞬いた」の歌詞のうち「またたい」までが違和感のある響き「た」の部分で一気にその違和感が解消されてサビに気持ちよく入れているのが分かると思います。
一瞬の溜めがあるのもいい味出してますよね、大好きなサビの入りです。
コード進行というのはこのような形で、違和感を生み出して解消する、不安定な響きを解消するといった流れを作ることで成り立っています。
ソワレをきっかけにコード進行について興味を持っていただけたら幸いです。
終わりの挨拶みたいになってしまいましたが、まだ1小節分の解析しかできていません。
改めて1行目を表記します。
サビに入った「IVM7」からですね。
IVM7からの「 IVM7→IV/V→I/III→VIm7」このコードですが、シンプルな王道進行の変形だと思います。
ちょっと勉強したことある人なら絶対聞いたことある王道進行ですが元の形は「 IV→V→IIIm→VIm」です。
一方ソワレの「 IVM7→IV/V→I/III→VIm7」を順に見ていきましょう、
見てもらうとルートの動きは王道進行と一緒です。
2つ目のコード「IV/V」はなんぞやとなりますが、恐らく元のコード「V」を「IIm7/V」に差し替えたものから更に差し替えたものだと思います。
「IIm7/V」はドミナント感を薄れさせることができるので「V7」の代理としてよく使われます。
上物のIVのコードが動かないのがお洒落ですよね。
次のセクションに移りましょう。
「IVM7→V→VIm7→I7sus4→I7/V」の部分になります。
前半3コードは普通の456なので問題ないと思います。
「I7sus4→I7/V」はよくあるsus4の解決遅延ですね。
I7ってことは次のコードはどうせドミナントモーションでIVでしょう。
#IVdim!?!?!?!?!?!?
わけがわかりません。
「#IVdim→IVM7」の流れから見るに直前の「I7sus4→I7/V」がIVM7に向かっている動きなのは間違いなさそうです。
また、「I7/V→#IVdim→IVM7」ルートが半音下降しているので綺麗な進行…、ん??
改めて「逃げ出そうぜ」の部分までの進行を見てみましょう。
「I7/V→#IVdim→IVM7→I/III→#II→IIm→#IV/♭II→Im7→(IIIdim)」
ルートだけ取り出してみると
「V→#IV→IV→III→#II→II→♭II→I」
これ…、ルートが7連続で半音下降してます。
めちゃくちゃ気持ちいいことしてくれますね。
さらに追い打ちをかけるようにここから転調します。
このルート半音下降のゴールはIm7になっています。
Key:A「(#IV/♭II)→ Im7 → IIIdim」
Key:G「(#V/♭III)→IIm7→#IVdim」
このIm7を全音下の調(Key:G)のIIm7と捉えてこのコードを基準に全音下に転調しているみたいです。
何食ったらこんなの思いつくんだ…。
転調後は大人しく素直(?)進行していきます。
(表記は転調後のG)
最後の「II/III→III」の辺りで全音上の元の調に戻ってますね。
表記をKey:Aに戻すと「I/II→II」で次のコードである「III」にスムーズにつなげています。
これはサビの入りの部分と全く同じですね。
最後の部分は「IVM7/V → V7」と非常に不安定な響きになっています。
V7というコードは強くIに進みたがる性質を持つ不安定なコードです。
「V7→I」という流れはV7の不安定さを解消すると共に終止感(曲が終わったといった感じ)を出してくれます。
しかしあえて「IVM7/V → V7→I」とはせず「IVM7/V → V7」で止めることで不安定さを残したまま無音の溜め、間奏へと繋がっていきます。
「もうすこし このままで」という歌詞と合わせて、非常にお洒落な終わり方ですね…。
終わりに
コードのアナライズ(?)は以上になります。
そもそもの進行が難しく、自身の知識量も乏しいため説明足らずな点も多いと思いますがご了承ください…!
「こんな解釈もあるよ!」、「ここ間違ってるんじゃない?」などありましたら連絡いただけますと幸いです。
今回はショート動画の範囲だけに絞りましたが、全体を通して聴いてみると随所に工夫がみられてとても素敵な楽曲になっています!
途中でも言いましたが、ソワレをきっかけにコード進行について興味を持っていただけたら幸いです!
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