見出し画像

揺れる心の真ん中で

サイコーにキュートな彼女と死別して、もうすぐ2年9ヵ月になる。
彼女とは高校のときに出会い、そこからほぼ毎日顔を合わせ、たわいもない会話、ときには真面目な話もしてきた。そんな僕たちが2年9ヵ月も会わないのだから、これは大事件と言える。

「時間が薬になる」

死別後、周りからそんなことばを何度も何度もかけられた。ところが僕の場合、その逆だった。時間が経てば経つほど彼女に会いたくなるし、死のうにも死にきれず、ただ漠然と毎日を過ごしている。

朝は「今日も目覚めてしまった....…」と絶望し、夜遅くまで仕事をこなす。
2人で暮らしていたときは「彼女との時間を確保したい」と思って、できるだけ残業しないようにしていた。けれど今はそんな楽しみもない。ただ、漫然と、漠然と毎日を繰り返すだけ。

こういう胸の内を明かすと「良い出会いがあるよ」と言われる。
もちろん、そういう幸せもあると思うが、僕は出会いが欲しいわけじゃない。僕は彼女といっしょに歩みたかった。これから、僕の人生はどうなるかはわからないが、万が一、誰かと縁があった場合でも、それは僕が望む幸せの形ではないのだ。

納得できる死別のタイミングなんてないのだけれど、それがこんなに早いとは聞いてない。神様がいるかは分からないけれど、いるとすれば、そいつはかなりのひねくれ者だろう。

死別以来、消えない希死念慮。実親とはもう何年も疎遠なので、僕が死んでも困る人はいない。そして、「死ぬのは私(彼女)が先。あなたは、それを見送る」という彼女との約束も悔しいけれど果たしてしまったので、現世でやり残したこともない。

生きる気力もないけど、死ぬ気力もない。
そんな、揺れる心の真ん中を、僕は日々過ごしている。誰に原因があるわけでもないけれど、周りからみれば取り留めのないことで心身の調子が崩れる。死別後の世界は、間違いの許されない裁縫みたいだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?