今夜、ハードロックカフェにて @第3夜
昼下がりの東京。ここは上野、ハードロックカフェ。
今日もまた、客もまばらな店内の片隅で
ニューウェーブ好きな先輩とギターロック好きな後輩君の
ビール片手にダベりタイムが始まる。。。
「いや〜、先輩、遅れてスミマセン」
「遅いよ〜。もう、ビール三杯目だよ〜」
「スミマセン、道に迷っちゃって」
「またお土産?」
「そうなんです。今日はちょっと遠出して調達してきました」
「毎回、毎回、東京出張の度にエライね〜、君は」
「ハイ。家族の喜ぶ顔が見たくって。テヘへ」
「家族を愛してるんだね・・・って言うと思ったか?!気持ち悪いんじゃ!」
「え?」
「気持ち悪いんじゃ!その手土産!お前の自己満足の象徴でしかない。いわば、行き場のないお前の精子だ!」
「はあ?」
「だいたいなあ、裏原で買った絶品スイーツだかなんだか知らねぇが、田舎者がわざわざ買いに行く時点でオワコンなんだよ!」
「・・・」
「土産ってのはなあ、ド定番が一番なんだよ」
「確かに先輩、会社への土産、いつも東京バナナっすよね」
「そうよ。男は黙って、見ぃつけたっ東京バナナよ」
「あれ、確かに美味いんすけど、先輩、 大阪行っても北海道行っても土産が東京バナナなんで、会社の女の子達がザワついてますよ」
「あれはね、奴ら、バナナで俺のを連想してるんだよね」
「え?」
「で、咥える度に、俺のを咥える行為を連想してるんだよな」
「考えかた、最悪ですね」
「あ!パーソナル・ジーザスかかった!」
「いつの間にリクエストしてたんすか!って、先輩、前にヴィンス・クラークが抜けた後のデペッシュ・モードは認めねぇって熱く語ってたじゃないですか」
「俺、そんな事言ったかな?これはこれで好きだよ。見ぃつけたっ東京バナナみたいなもんじゃん。デイブ・ガーンがステージ前で腰振ると、女の子やたら喜ぶし」
「いや、先輩の東京バナナは誰も喜んでないですからね。それと、そのいちいち東京バナナの前に「見ぃつけたっ」ってつけるのやめてくれますか」
「え?あのちっさい〝い〝と〝つ〝の醸し出す違和感でね、パンツの中にバナナを見つけた時の感じを連想するんだよ」
「するか!」
「ほら、スティーブ・ハウで、「はうっ」って声を連想する感じだよ!」
「よくわかりません」
(2018年3月2日)
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