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今夜、ハードロックカフェにて @第5夜

昼下がりの東京。ここは上野、ハードロックカフェ。
今日もまた、客もまばらな店内の片隅で
ニューウェーブ好きな先輩(40代後半独身彼女無し)とギターロック好きな後輩君の
ビール片手にダベりタイムが始まる。。。

「先日さ、映画見に行ったんだよ」


「珍しいですね。何見たんですか?」


「アベンジャー?ズ?」


「笑。1人でですか?」


「1人だけど。何か?」


「笑。いえ」


「そんでね、エンドクレジット見てて思ったんだけど、外人ってやたらミドルネーム持ってる奴多いじゃん。あれ、カッコイイよな」


「 〝スネーク゛みたいなやつですか」


「そう!コブラとか、ロックとか、渋いよな〜。んで、俺もつけようかなって」


「え?」


「ミドルネーム。んで、名刺の裏に印刷しようかなって」 


「ビジネスで使うんすか?」


「悪い?」


「・・・いえ」


「でね、俺に似合うミドルネーム、なんか無いかな?」


「・・・ファットマンとか?」


「ふざけんな。ひとつもカッコよくないだろ」


「ビッグ・マン?」


「同じだろ」


「ドラム缶?」


「見た目から離れろ」


「バルド・ヘッド」


「そっちの見た目、もっとダメだから。密かに気に病んでるし」


「ここは開き直って、プロフェッサー・ロング・ヘアーみたいにプロフェッサー・ノー・ヘアーとかどうすか」


「ハゲの教授かよ。人生で頭使いすぎた感、丸出しだろ」


「あ!ピアノ・マンとか、どうすか?」


「ピアノ弾けねぇし。しかもビリー・ジョエルとか大嫌いだし」


「ハードロック・カフェ・デ・ビール飲むマン」


「長い。しかも、カフェって。あ!カッターかかった!」



「いつの間にリクエストしてたんすか!って、これまた誰も知らない曲を。あ、ミドルネームに、バニーメンどうすか?ニューウェーブ好きそうな感じバリバリ出てますよ」


「複数形はどうなんだろうな」


「もう、ファットマンでいいですよ」


「・・・。」

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