東レ、グリーン水素製造装置の増産計画 東レは、製造時に二酸化炭素

(CO2)を出さない「グリーン水素」の製造装置の中核部材である触媒付き電解質膜(CCM)の増産を発表した。東レは2023年にドイツ工場の生産能力を現在の3倍に引き上げ、この部材で50%以上の世界シェアを持つことを目指す。世界的な脱炭素の流れを受けたグリーン水素の製造装置の需要増加に対応するためだ。

水素製造装置向けのCCMの増産計画 電気分解で水素をつくる水電解装置の中核部品であるCCMの増産にも取り組む。水電解装置は再生可能エネルギーを使いグリーン水素を製造する際に使われる。水はCCMを通って電気分解され、水素と酸素に分かれる。東レは、15年に買収したドイツ子会社の生産拠点に設備を新設し、23年秋の稼働を見込む。燃料電池車(FCV)の電池向け中核部材の増産も含めた投資額は100億円近くになると見られる。

触媒技術とHC電解質膜 東レのドイツ子会社はCCMの先駆的企業であり、20年にわたり研究開発に取り組み、触媒技術に強みを持つ。東レは電解質膜で主流のフッ素系膜より生産効率が高く、稼働時の安全性向上につながる炭化水素系(HC)電解質膜を実用化している。ドイツで生産するCCMは現在はフッ素系膜を使うが、将来はHC電解質膜に切り替えていく予定である。

水素製造装置市場の拡大 国際エネルギー機関(IEA)によると、水電解装置の生産能力(消費電力ベース)は21年に年約800万キロワット。30年には6000万キロワット以上に伸びる見通しだ。東レは、この急速に拡大する市場に対応するため、グリーン水素製造装置および水素製造装置向けのCCMの増産計画を進めていることを発表しました。グリーン水素は、再生可能エネルギーを利用して製造されるため、CO2の排出量が極めて少なく、脱炭素社会の実現に向けた取り組みの一環として注目されています。


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