ウイグル人権政策基本法の議会可決

香港人権民主主義法案に続き、ウイグル人権法案も米国上下議会は可決した。トランプ大統に送られ、その署名を待つことになる。残るは台北法案だ。この3つの法案は、中国への内政干渉3法案であり、この米国連邦116議会でこれらの全てが可決されるとしたら、それは奇跡的なことだ。なにしろ他国の内政に首を突っ込む法案であり、中国の犯罪を糾弾する世界で初の法律となるのだ。国際社会が中国の人権に関心を高めなければ、法案が成立することもなかったであろう。そういう意味では、香港市民のデモは大きな意義があったということだ。

さて、台北法案は、香港人権民主主義法案やウイグル人権政策法案とは、少し意味合いが異なる。中国共産党政府は、台湾の祖国統一を国家の核心的利益として掲げている。しかし、台湾では現在の蔡英文総統の民進党政権において、中国とは独立した国家を追求している。武力で台湾を併合することは、今の国際環境では難しいために、中国政府は台湾という国の存在価値、国際的なプレゼンスを低下させることで、台湾を弱らせ、その結果として中国に飲み込むという戦略を継続している。具体的には、台湾を国と認め、外交関係にある国々を、中国の金の力でオセロを白から黒にひっくり返すように、寝返らせる戦略である。実際に蔡英文総統が就任した2016年には世界で台湾と国交を持つ国は22カ国あったが、今年までに15カ国まで減少している。中国政府の戦略は実際に成果を出してきたということだ。この米国の台北法案は、そうした台湾の国際プレンゼンスの低下を防ぎ、台湾を中国の圧力から救うためのものだ。
台北法案は、法案可決後90日以内、その後も180日毎に、国務長官は世界中の台湾の国際的な同盟関係を強化するためにどんな行動を行ったかをレポートにまとめて、議会の委員会に提出させる。また、国務省に対して、台湾に敵対的な行動を行う国への支援を中止する権限を与える。さらに、米国は台湾が国際機関に参加できるよう、支援すべきことが明記されている。
既に上院では全会一致で可決済み、10月末には下院の外交委員会でも可決され、後は下院本会議の採決待ちだ。トランプ政権は中国と何かしらの貿易合意に至りたいのだろうが、議会からは次々に米中関係を難しくさせる中国の核心的利益に関する法案が上がってくる。トランプ大統領に中国に安易に妥協することを防いでいると言える。世界的に政治はポピュリズムや極端な右や左の台頭など、従来よりも劣化しているが、少なくとも米国議会は機能している。さて、トランプ大統領はどうするか・・注目である。

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