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衆院小選挙区アダムズ方式導入シミュレーション(東京都)

東京区割り案4

 次期衆院選は、アダムズ方式の導入により東京の小選挙区が25選挙区から5増し、30選挙区となる予定です。新区割りは画定審議会から来年6月に提示されますが、それまではどのような選挙区になるかは分からない状況です。特に東京は5増ともなると、元々の選挙区の形からは大きく変わります。一方で、区割り変更は選挙戦略・候補者選定に多大な影響を与えます。
 そこで本稿では、東京の新区割りを予測していきたいと思います。各陣営 戦略構築の一助となれば幸いです。

現行区割り

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1区 535,277人 1.952倍 自民 山田美樹
2区 553,574人 2.019倍 自民 辻清人
3区 562,284人 2.051倍 立憲 松原仁
4区 557,179人 2.032倍 自民 平将明
5区 551,985人 2.013倍 立憲 手塚仁雄
6区 559,221人 2.040倍 立憲 落合貴之
7区 546,885人 1.995倍 立憲 長妻昭
8区 561,959人 2.050倍 立憲 吉田晴美
9区 565,788人 2.064倍 立憲 山岸一生
10区 558,804人 2.038倍 自民 鈴木隼人
11区 545,194人 1.989倍 自民 下村博文
12区 536,063人 1.955倍 公明 岡本三成
13区 559,435人 2.041倍 自民 土田慎
14区 533,130人 1.945倍 自民 松島みどり
15区 494,919人 1.805倍 自民 柿沢未途
16区 552,743人 2.016倍 自民 大西英男
17区 540,716人 1.972倍 自民 平沢勝栄
18区 527,808人 1.925倍 立憲 菅直人
19区 522,803人 1.907倍 立憲 末松義規
20区 489,547人 1.786倍 自民 木原誠二
21区 524,277人 1.912倍 自民 小田原潔
22区 573,969人 2.094倍 自民 伊藤達也
23区 538,442人 1.964倍 自民 小倉將信
24区 552,165人 2.014倍 自民 萩生田光一
25区 482,077人 1.758倍 自民 井上信治

区割り案

東京区割り案4

1区 376,578人 1.37倍
2区 425,199人 1.55倍
3区 434,482人 1.58倍
4区 497,242人 1.81倍
5区 509,139人 1.86倍
6区 448,688人 1.64倍
7区 385,332人 1.41倍
8区 382,252人 1.39倍
9区 484,249人 1.77倍
10区 519,925人 1.90倍
11区 492,563人 1.80倍
12区 398,589人 1.45倍
13区 406,244人 1.48倍
14区 460,479人 1.68倍
15区 494,919人 1.81倍
16区 414,265人 1.51倍
17区 468,493人 1.71倍
18区 397,480人 1.45倍
19区 395,915人 1.44倍
20区 489,547人 1.79倍
21区 516,013人 1.88倍
22区 513,935人 1.87倍
23区 424,838人 1.55倍
24区 491,735人 1.79倍
25区 482,077人 1.76倍
26区 403,145人 1.47倍
27区 475,901人 1.74倍
28区 369,409人 1.35倍
29区 468,063人 1.71倍
30区 499,548人 1.82倍

各選挙区の詳細

☄1区・2区・26区

無題

 この地域は、小選挙区導入時は1区(千代田・港・新宿)と2区(中央・文京・台東)であったわけだが、中選挙区時代はいずれも1区と8区として同区域だった。そして、中選挙区8区は東京の人口増加に伴って1区から分割された選挙区である。そのため、選挙区の歴史から言えば、この都心の地域は一体と言えよう。そこで、現1区から港区を、現2区から中央区を、削って新26区とした。
 国会や都庁をはじめとする首都機能が集中する その名にふさわしい東京1区。江戸の北側を構成しており、都心でありながら住宅地が密集する2区。東京都心沿岸部として構造ビルが立ち並ぶ26区。それぞれの選挙区の特色が見られ、地域事情も共有した選挙区となる。

☄3~6区・27区

無題

※3区は島嶼部を含む

 この地域は、中選挙区2区(品川・島嶼部と大田)からなる3区・4区と中選挙区3区(目黒・世田谷)からなる5区・6区が、小選挙区導入時に成立した。この区割り案では、現3区の大田区域を目黒と組ませ、現5区の世田谷区域を新設27区とした。選挙区の歴史から言えば、大田と目黒の関係は薄いが、さらに遡れば、ここにあげた区は元々、荏原郡として一体であった。

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 大田は概ね4区域はそのままで、現3区が新5区となる予測だ。詳しく見ると、鵜の木特別出張所管内が部分的に現3区であったのを新5区に、矢口特別出張所管内全域を現4区から新5区に移した。 目黒と調布地域(大田)は、同じ荏原郡であっただけではなく、東急東横線・多摩川線で接続しているという繋がりがある。

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 世田谷は人口約90万人と2つの選挙区を構成にするのにちょうどいいため、27区を新設し、2分割となると予測した。27区はほぼ現5区と一致するが、そこに若林・上町まちづくりセンター管内(若林・三軒茶屋2・世田谷・桜・鶴巻)に加えた。 新6区は小田急小田原線・京王線、新27区は東急田園都市線・東急大井町線沿線で構成される。

☄7・8・28区

無題

 この地域は中選挙区4区(渋谷・中野・杉並)からなる。特に中野・杉並の結びつきは密接で、かつては東多摩郡を構成し、現在もそれぞれの区を西武新宿線や中央線が横切る。元々、中野・渋谷で7区、杉並単独で8区を構成したいたが、いずれも一票の格差が2倍以上となった。そこで、この地域はそれぞれ北部の西武新宿線沿線を分割し、新28区が新設されると予測した。

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 中野区の分割は分かりやすく、中野地域をそのまま渋谷と組ませ、野方地域を28区とした。野方地域は西武新宿線沿線で、中央線以北にあたる。

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 杉並は区を横切る中央線と斜めを通る青梅街道の以北と、概ね西武新宿線沿線として、中野区野方地域と繋がる地域を28区とした。

☄9・10区

無題

 中選挙区4区(練馬・豊島)からなる。この地域は、小選挙区導入時は9・10区であり、今回の10増で元に戻る予測だ。ただ、練馬の人口増加が著しく、境目が変更になるだろう。

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 元々、10区は池袋(豊島)との繋がりを重視して、有楽町線沿線で構成されていたが、一部が大江戸沿線に食い込んでいた。そこで、今回の区割り改定では大江戸沿線も10区に移されるのではないだろうか。具体的には、第一・第四(高松を除く)出張所管内もしくは第一出張所管内のみが移されるといったところか。

☄11・12区

無題

 中選挙区9区(板橋・北)からなる。元々、板橋のみで11区で、北区は足立と12区・13区を構成したいた。しかし、それぞれの人口の増加に伴い、中選挙区9区で、2つの選挙区をつくるのにちょうどよい人口となった。

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 北区と地続きで既に12区となっている舟渡・新河岸に加えて、埼京線沿線も12区に編入されると予測。中山道以東を12区とするのもいいな、と思ったり。

☄14・15区

無題

 中選挙区6区(荒川・墨田・江東)からなる。小選挙区導入時の14区・15区、いずれも一票の格差2倍以下であるため、そのままであると思われる。

☄13・16・17・29

東京区割り案4

 中選挙区10区(江戸川・葛飾・足立)からなる。葛飾は一選挙区を構成するのに、理想的な人口であるが、江東も同様に単独で一選挙区が成立するため、江戸川を江東と組ませるのは難しい。となると、葛飾は南北に分割か。

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 江戸川区は概ね、京葉線・東西線・都営新宿線沿線を16区、葛飾と繋がりが密接な総武沿線を17区とした。

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 葛飾は総武線・京王本線沿線を17区、常磐沿線を29区とした。

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 足立は北千住を起点とし、常磐線・つくばエクスプレス線沿線を29区とし、残りを13区とした。

☄18~22・25

東京区割り案4

 北多摩・西多摩からなる地域である。
 18区は中央沿線、19区は西武新宿沿線、20区は現行そのまま、21区は京王沿線、22区は多摩川以南を30区に移した。25区も現行そのままである。

☄23・24・30

東京区割り案4

 南多摩地域である。元々、21~23区によって三分割され、現在では、日本史上最も複雑な形の選挙区となっている日野・多摩・稲城を新設30区とした。

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 八王子は東部地域のうち、由木東・南大沢事務所旧管内を30区とし、残りの大部分を24区とした。何故、由木事務所旧管内ではなく、南大沢事務所旧管内を30区としたのか、異論があるところだと思うが、南大沢事務所旧管内と東南部地域の間には山や森林が広がっているためである。

東京選挙区変遷

中選挙区導入時

東京中選挙区1

中選挙区終了時

東京中選挙区2

現行小選挙区

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参考URL

 こちらのサイトから地図を製作させていただきました。



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