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移動タンク貯蔵所(タンクローリー)の基準

位置・構造・設備

・消防法における移動タンク貯蔵所とは、タンクローリーを指す。

・移動タンク貯蔵所は、屋外の防火上安全な場所、または壁、床、はり及び屋根を耐火構造とし、もしくは不燃材料で造った建築物の1階に常置(駐車)すること。

・危険物を貯蔵し、または取り扱う車両に固定されたタンク(以下「移動貯蔵タンク」)は、厚さ3.2mm以上の鋼板またはこれと同等以上の機械的性質を有する材料で機密に造ること。

・移動貯蔵タンクは、圧力タンク以外のタンクにあっては70kPaの圧力で、圧力タンクにあっては最大常用圧力の1.5倍の圧力で、それぞれ10分間行う水圧試験おいて、漏れ、または変形しないものであること。

・移動貯蔵タンクの容量は30,000ℓ以下とし、かつ、その内部に4,000ℓ以下ごとに完全な間仕切を設けること。
※ガソリンの比重:0.75 → ガソリン30,000ℓの重量は22.5トン

・間仕切により仕切られた部分には、それぞれのマンホール及び安全装置を設けるとともに、容量が2,000ℓ以上のタンク室には防波板を設けること。

防波板:車両走行時の遠心力等により、タンク内の液体が片寄るのを防ぐための板。通常、間仕切りはタンクを輪切りにするように設置し、防波板は縦方向に取り付ける。

・移動貯蔵タンクの下部に排出口を設ける場合は、排出口に底弁を設けるとともに、非常の場合に直ちに底弁を設けるとともに、非常の場合に直ちに底弁を閉鎖することができる手動閉鎖装置及び児童閉鎖装置を設けること。

・手動閉鎖装置には、レバーを設け、かつ、その直近にその旨を表示すること。また、手動閉鎖装置のレバーは、手前に引き倒すことにより閉鎖装置を作動させるものであること。

・移動貯蔵タンクの配管は、先端部に弁等を設けること。

・ガソリン、ベンゼンその他静電気による災害が発生するおそれのある液体の危険物の移動貯蔵タンクには、設置導線を設けること。

・移動貯蔵タンクには、そのタンクが貯蔵し、または取り扱う危険扱う危険物の類、品名及び最大数量を表示する設備を見やすい箇所に設けるとともに、法令で定めるところにより標識を掲げること。

・移動貯蔵タンクの標識は、地が黒色の板に黄色の反射塗料で「危」と表示し、車両の前後の見やすい箇所に掲げなければならない。

・移動タンク貯蔵には、自動車用消火器を2個以上設置すること。

貯蔵の基準

移動貯蔵タンク及びその安全装置、配管は、さけめ、結合不良、極端な変形、注入ホースの切損等による漏れが起こらないようにするとともに、タンクの底弁は、使用時以外は完全に閉鎖しておくこと。

移動タンク貯蔵所には、次の書類を備え付けること。
①完成検査済証
②定期点検記録
③譲渡・引渡の届出書
④品名・数量または指定数量の倍数の変更届出書

取扱の基準

・移動貯蔵タンクから危険物を貯蔵しまたは取り扱うタンクに危険物を注入する際は、注入ホースを注入口に緊結(留め具などでしっかりと結合すること)すること。

・移動貯蔵タンクから液体の危険物を容器に詰め替えないこと。ただし、安全な注油に支障がない範囲の注油速度で、注入ホースの先端部に手動開閉装置を備えた注入ノズル(手動開閉装置を開放の状態で固定する装置を備えたものを除く)により、技術上の基準委定める運搬容器に引火点が40℃以上の第4類の危険物を詰め替えるときは、この限りではない。

移動貯蔵タンクから液体の危険物を容器へ直接詰め替えてはならないが、次に掲げるすべての条件に適合していれば、詰め替えることができる

移動貯蔵タンクからの詰め替えの要件
①安全な注入に支障がない範囲の注油速度であること
②注入ホース先端部に手動開閉装置を備えた注入ノズルにより詰め替えること。(手動開閉装置を開放の状態で固定する装置を備えたものを除く)
③詰め替える容器は、技術上の基準に適合する運搬容器であること
④詰め替える危険物は、第4類で引火点が40℃以上であること

ガソリン、ベンゼン、その他静電気による災害が発生するおそれのある液体の危険物を移動貯蔵タンクに入れ、または移動貯蔵タンクから出すときは、移動貯蔵タンクを設置すること。

移動貯蔵タンクから引火点40℃未満の危険物を他のタンクに注入するときは、移動タンク貯蔵所のエンジンを停止させること。

ガソリン、ベンゼン、その他静電気による災害が発生するおそれのある液体の危険物を移動貯蔵タンクにその上部から注入するときは、注入管を用いるとともに、注入管の先端を底部に着けること。

ガソリンを貯蔵していた移動貯蔵タンクに灯油または軽油を注入するとき、灯油または軽油を貯蔵していた移動貯蔵タンクにガソリンを注入するときは、静電気等による災害を防止するための措置を講ずること。

移送の基準

移送とは、移動タンク貯蔵所(タンクローリー)により危険物を運ぶ行為をいう。移送に対し、ドラム缶等の容器に入れて危険物を自動車で運ぶ行為を運搬という。

移動タンク貯蔵所による危険物の移送は、移送する危険物を取り扱うことができる危険物取扱者を乗車させなくてはならない。

危険物取扱者は、危険物の移送をする移動タンク貯蔵所に乗車しているときは、危険物取扱者免状を携帯していなければならない。

危険物を移送する者は、移送の開始前に、移動貯蔵タンクの底弁その他の弁、マンホール及び注入口のふた、消火器等の点検を十分に行うこと。

危険物を移送する者は、長時間にわたるおそれがある移送であるときは、2名以上の運転要員を確保すること。長時間にわたるおそれがある移送とは、連続運転時間が4時間を超える移送、または1日当たりの運転時間が9時間を超える移送をいう。

危険物を移送する者は、移動タンク貯蔵所を休憩、故障等のため一時停止させるときは、安全な場所を選ぶこと。

危険物を移送する者は、移動タンク貯蔵所から危険物が著しく漏れる等災害が発生するおそれのある場合には、災害を防止するための応急措置を講じるとともに、消防機関等に通報すること。

危険物を移送する者は、法令で定める危険物(アルキルアルミニウム等)を移送する場合には、移送の経路等を記載した書面関係消防機関に送付するとともに、書面の写しを携帯し、書面に記載された内容に従うこと。

消防吏員または警察官は、危険物の移送に伴う火災の防止の防止のため特に必要があると認める場合には、走行中の移動タンク貯蔵所を停止させ、乗車している危険物取扱者に対し、危険物取扱者免状の提示を求めることができる。

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