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「スマートシティとキノコとブッダ」はじまりにあたって

Photo by Rutpratheep Nilpchr on Unsplash 

プロジェクトのねらい

こちらのnoteでは、「スマートシティとキノコとブッダ」と名付けたプロジェクトとして、以下のトピックについての様々な分野の方々との議論をアーカイブしていきます。

・自動運転車・ロボット・AI
・スマートシティ・ランドスケープ
・これからのデザインの行方・ポストヒューマンセンタードデザイン
・非人間的な知性達と紡ぎ出すエコロジー・マルチスピシーズ人類学
・人知を超えるものと付き合う・非合理的に思考し生きる術

 自動運転車やロボットやAIなど、移動能力を備えた機械知能が私たちの身の回りに存在する未来はすぐそこに来ています。その知能や能力がシンプルで限定的だとしてもそれがある量を越えて風景の一部となった時、私たちはどのような環境にいるのでしょうか。

 パーソナルコンピュータやインターネットが世界に広まろうとする時、新しい道具と環境が人類をどのように変化させどのような知性を引き出すのか?といったことが多く議論されました。

 移動する機械知能に囲まれた環境はどのようにデザインされ、人々に生きられていくのか。その中で、どのような身体性とどのような知性が引出され、新しい人間がどのように生成されていくのか。様々な分野の方々にインタビューを行うことで、このプロジェクトが私達を新たな場所へ導いてくれる思考のビークルとなることを目指しています。

キノコとブッダ

 キノコは動物でも植物でもない菌類に属しています。土や樹の中にいる菌糸がキノコの本体であり、キノコは胞子を飛ばすための菌糸の仮の姿のようなものです。菌類は決断能力と記憶能力を備えているという研究成果が発表され、また、地球で最大の生物はキノコであるとも言われています。シンプルで限定的な知性がネットワークされ我々を囲んでいながらも、その全体を人類は理解し切れない。そんな知性の象徴としてキノコを捉えています。

 人間は必ずしも合理的に振る舞うわけではない。行動経済学の様々な研究はそうした実験結果を示しています。ハーバート・サイモンはその合理性の限界を指摘し行動経済学の源流となりました。しかし時間や空間のスケールを変化させれば、合理性の判断の根拠は変わってきます。人間のスケールから宇宙のスケール、過去・現在・未来を行き来して思考する超越的な知性の象徴としてブッダを捉えています。

プロジェクトの背景

 このプロジェクトは、JST CREST「人間と情報環境の共生インタラクション基盤技術の創出と展開」領域に採択された研究プロジェクト「限定合理性を超越する共生インタラクション基盤」のサブプロジェクトとして行います。

 メンバーのひとりである中西はこの研究プロジェクトの中で、「遍在非人間型ロボットによる街全体のインタフェース化と介入的インタラクション」の実現を目指しています。

 多様な形状を持つ移動知能機械と人々が付き合いそれらに囲まれて暮らしていく中で、人々の経験や価値観はどのように変容するのか。ひいてはどのような身体性と知性を引き出すのか。実際にロボットを設計開発しヒューマンロボットインタラクションの研究を行うと共に、そうした事をこのプロジェクトの中で並行的に考えていきたいと思います。

プロジェクトメンバー

中西泰人(慶應義塾大学 環境情報学部)
本江正茂(東北大学大学院 工学研究科 都市・建築学専攻)
石川初(慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科)
清水修(編集者)
岡田弘太郎(編集者)
秋吉成紀(ライター)


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