モブをロールプレイしよう!

 この記事は、定期ゲAdventCalendar2020・梅の四日目の記事です。
 四時間で書きました。バカヤロウ。

 梅・三日目 >> 「人の心の無くし方 ~人外入門編~」
 梅・五日目 >> 「ゲームの運要素とあなたが向き合うための方法【PL/GM両用】

<この記事の目標>

 定期更新ゲームやAP制ゲームなど、「大人数がキャラクターを登録してロールプレイをする場」におけるモブのロールプレイの提案、及びそれを補助する個人的な理論やサンプルとなる作品の紹介。

<自己紹介>


六丸(@_ro_ku)だ!
弱者が大好き! 喪われる前提の幸福も大好き!
弱くて負けてしまう程度の善性が大好き!

そんな気持ちでハロハナ2020では「六万人のモブ」をしました。


<この記事はこんな人にオススメ!>


・ロールプレイにおいて、「物語」を作りたい
・大人数が集う場において、どんなキャラメイクをすればいいのか迷う
・良いキャラを見たら「ヒュー! いいね!」と称賛したくなる
・縁の下の力持ち的な役割が好き

・弱者が好き
・モブが好き

※モブが好きな人ならこの記事を必要とする前に既にモブをしていると思うので、今回はモブのロールプレイをしたことがない人を対象として書いています。

1. モブをロールプレイすることの重要性とメリット

 ロールプレイの華と言えば、個性的なキャラクター達の鮮やかな活躍!
 ……そうかもしれません。でも、それだけで楽しい「物語」ができるかというと、そんなことはないでしょう。
 鮮やかな絵の具のみを垂らして綺麗な絵ができるわけではなく、大輪の花のみを生けて美しい生け花ができるわけではありません。
 この章では、物語における「モブ」の重要性と、他者のキャラクターと交流するロールプレイの場において「モブ」的な立ち回りをするメリットを論じます。

1.1. モブの「普通の反応」が主役を引き立てる


※本当は物語論などの文献を読んだ方がいいのですが、特に参考文献なしで論じているため出典不十分です。信頼性に欠けることをご了承ください。※


 誰も(※ここでは全体の9割を想定)が知っているであろう「桃太郎」や「シンデレラ」を例にして考えてみると、

 いややめようこの喋り方。面倒くさくなってきたので止めます。

 モブは、主役たちのスゴさを表すのに大事!!!!!!!!!!!

 『桃太郎』でも鬼に困る人が居なかったら桃太郎はヒーローになっていないし、『シンデレラ』でもシンデレラを虐める継母たちが居なかったらシンデレラのサクセスストーリーになっていないわけです。
 そしてかの有名な『ラブデスター』だって、ラブデスター怪人が居なかったらデスゲームの緊迫した雰囲気が出ない訳です。

 普通の人ならうろたえるところを、うろたえない。
 普通の人なら驚くところを、驚かない。
 普通の人なら圧倒されてしまう力と、渡り合うことができる。

 大多数がそうするであろう反応……普通の反応というものがあるからこそ、普通じゃない「すごさ」を示すことができるのです。

 故に、ロールプレイを「物語」として整えたい時、モブの存在は重要になると言えます。


1.2. ロールプレイの場は「普通の反応」の需要が高い


 定期更新ゲームやAP制ゲームなどの大多数がキャラクターを登録してロールプレイをする場では、個性的なキャラクターが沢山います。そしてそれらの個性は、相手の反応を促す「フック」となります。

 例えばとても珍しい見た目(体長10mだったり、全身がゲーミング発光していたり)をしている場合は、その見た目に驚くだとか。
 例えば人をバッタバッタと薙ぎ倒す強さを持っているキャラクターが居るのなら、その強さに驚いたり、怯えたりだとか。
 そういった個性に対して、モブは適切な反応を返すことができます。
 手塩にかけた個性的なキャラクターが集う場だからこそ、モブの需要は高まるわけです。

 また、それらの「反応」も考えやすいと言えるでしょう。
 モブは大多数の平均的な反応を代表する存在であり、それは多くのプレイヤーが抱く感想と近いものになるはずです。
 体長10mのキャラクターが居たら「デカッ!」って思うし。
 全身ゲーミング発光してるキャラクターが居たら「ウワ眩しっ!」って思うし。
 メチャクチャ強い人が居たら「なんだアイツ! メチャクチャ強いぞ!?」と思うし。
 モブをロールプレイする時、それらを元にしたリアクションが取れます。
 もちろんロールプレイであるからにはキャラクターらしい口調や態度への修飾、相手への配慮、モブとしてのロールプレイが求められている状況かどうか……などは考える必要がありますが、己が抱いた印象を元にリアクションが取れるというのは、ロールの際の思考コストの節約になります。

 モブは、需要が高く、やりやすい。
 慣れればコスパがいいのです。


 以上が「ロールプレイの場においてモブをすることのメリット」になります。


2. モブのロールプレイをするために


 1章ではモブのロールプレイをすることの重要性とメリットについて論じました。しかし、モブ=読者の反応、というわけではありません。プレイヤーの思考を垂れ流しにするのはロールプレイではなく、最早ツイートの類いと言えるでしょう。
 では、どうしたらモブのロールプレイなのか。以下では、それを考えていきます。

2.1. どんなモブの描写が映える?


 一言に「モブ」と言えど、色々なものがあります。モブ、つまり民衆の雰囲気は、その集団が属する社会の雰囲気も象徴します。
 ではどんなモブが、どんな場面に「映える」のか? きわめて主観的なイメージではありますが、いくつか提案してみます。

①悪に困り、善に感謝する民衆
ex)『桃太郎』で鬼に困っている人たち
 善を勧め悪を徴する、「勧善懲悪」の物語に必要なモブです。悪から被害を被るモブ達が居るからこそ、悪は倒されるべき悪足り得るのです。
 ロールプレイをする際には、誰かを勝手に悪役にしないように注意しましょう。逆に、明らかに「魔王役」といえるような立ち回りをするヒールな感じのキャラクターが居たら、こんなモブが居るともしかすると嬉しいかもしれません。保障はしませんが。

②小悪党やチンピラなどの三下噛ませザコ
ex)『ラブデスター』のラブデスター怪人たち、『北斗の拳』のザコたち?(北斗の拳未読)
 荒んだ世紀末やデスゲーム、弱き者の命はゴミのごとし……そんな治安の悪い末法の世に相応しいモブです。荒廃した世界では、人の心も荒むわけです。そんな荒んだ世界で下卑た高笑いをしながら悪逆の限りを尽くし、強いキャラに一撃でそげぶされるなどが主な楽しみ方でしょう。
 また、『北斗の拳 拳王軍ザコたちの挽歌』など、かの有名作品でもスピンオフギャグ漫画が出ているようで、この手のチンピラというのはギャグの典型の一つなのかもしれません。
 小悪党やチンピラなどのロールプレイにおいて、筆者が大いに参考にしているのはベルトさん(@berberbelt)です。主役級の鮮やかなロールプレイのみならず、所謂「噛ませ」的なロールプレイの勢いや塩梅について見事な手腕を発揮されているため、併せてご紹介させていただきます。


③集団心理の暴走
ex)『デビルマン』終盤で悪魔狩りをする民衆
 中世の魔女狩り、レッド・パージ……。異端狩りは、実際の歴史においても多く起こった出来事です。異端に怯え、家族や隣人を疑い、怪しい者を「異端」として排除する……。一方で、大勢を救った一人を「英雄」や「救世主」として盲目に崇めることすらあります。そんな姿も、大勢の雰囲気に飲み込まれ振り回される民衆の弱さや愚かさを物語において象徴する時には味わい深い存在となるでしょう。
 ここまで書いて思ったのですが、これってロールプレイでやる機会ありますかね? 六万人くらい一気にモブを動かして「民衆」単位でロールプレイするときには楽しいのでオススメです。

追記:この手の「集団の雰囲気に呑まれて暴走する民衆」を描く時には「自分もこんな集団の一人になるかもしれない」という自覚が大事かもしれないな、と、しばらく考えて思いました。当事者になるかもしれないという気持ちがないと、「『愚かな民衆』を冷笑して自分は違うと思っているイタい人」という感じになる可能性があります。自分に刺さらない皮肉はただの悪口なので(これは好きな作品からの引用です)。


2.2. こんなものを参考にしてみよう!


 大まかな「物語上のモブ」を挙げていきましたが、あくまで筆者個人の一部分のイメージでしかありません。
 新たなモブの発見や、モブの解像度を上げるために参考になりそうなものも以下で上げておきます。

・好きな作品(密室が舞台であるなどのクローズドなものよりも、冒険譚などの方がより参考にしやすいかもしれない)
・歴史
・SNSのトレンドワードのツイート
・周囲の人々
・自分

3. おわりに


 今回は4時間で書いてしまったため、参考文献に乏しく、きわめて主観的な主張となったことを反省する(これは、文学部の友人から「大体こう書いとけば論文になるよ」と言われた定型文です)。
 なんだかんだ言いましたが……。

 好きなキャラをやるって、サイコ~~~~~!!!!
 みんなもモブとかこだわらずに好きなキャラをやって最高になろう!!!
 でもモブを好きになるとこんなにコスパよくて、サイコ~~~!!!!!
 ちょっとモブもやってみませんか!? どうですか!??!?

 
 という話でした。ありがとうございました。

追記

追記1
 以下に、名前を挙げた作品の閲覧・購入ページのURLを紹介します。

桃太郎
http://hukumusume.com/douwa/pc/jap/08/01.htm

シンデレラ
https://www.ehonnavi.net/special.asp?n=1351

ラブデスター
https://www.amazon.co.jp/dp/B07QCC7Z3P?ref=cm_sw_tw_r_mng_sd_rwt_qL9UMWcnUNXYZ

北斗の拳
https://www.amazon.co.jp/dp/B01GO0Q48G?ref=cm_sw_tw_r_mng_sd_rwt_rGfgemQjlnDtr

デビルマン
https://www.amazon.co.jp/dp/B07B6VNTBR/ref=cm_sw_r_tw_dp_7KKYFb2ASMZ74?_x_encoding=UTF8&psc=1

追記2
 この記事を読んでくれた件の文学部の友人から「お求めの文献これじゃない?」と教えてもらったため、そちらも紹介しておきます。後で自分も読んでモブの解像度に更なる磨きをかけようと思います。ありがとう友人!

群衆心理 (講談社学術文庫) ギュスターヴ・ル・ボン
https://www.amazon.co.jp/dp/4061590928/ref=cm_sw_r_tw_dp_x_u-SYFbPX10H18

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