新テニミュ セカンドステージ感想(舞台・千秋楽配信)

※以前書いた記事の再掲です。

現地で一回、千秋楽配信で一回観た新テニミュ2ndの感想メモです(ドイツ戦までの原作のネタバレガッツリ含むため注意)
配信で二回目見たら一回目で勘違いしていたところがわかって面白かったです(木手と毛利先輩はソロ曲歌ったと思ったら歌ってなかった、など……)自分の記憶は全然当てにならない……
新テニミュのファーストステージは見ていないので自分にとってはこれが初見の新テニミュになります。

・「……ェンジ!……ェンジ!……ェンジ!」の入りで始まるオープニングの歌
ここ、きちんと歌が始まったら歌唱力が自分の想定の十倍くらい上手くて圧倒されました。テニミュの歌唱力といえばこれくらいという先入観をいい意味で裏切られた。今までの枠組みを壊すという意味での新テニミュでこの歌(チェンジ)なのかな……と思いました
・これ帝劇並に上手くないか?と思ったら、実際帝劇の役者さんがいっぱい出てるんですね。
2.5の舞台の良さは歌唱力ではないと考え続けていたんですが、新テニミュを観たらやっぱり歌唱力が高い方が満足度が高いなと思いました。元祖テニミュと新テニミュではチケットの値段も違うし、元祖テニミュでは新テニ路線は難しいんだろうな。
・舞台でオペラグラス等は使わなかったので細かい所は見えなかったが、配信だと表情がはっきり見える。くっきりした画質で見ると越智パイセンの髪型がとんでもない事に気付いたし、デューク先輩がちゃんとフランスっぽいお顔をしている。
歌の迫力は現地で観た方が強かったかもしれない。マイクの都合なのか、低音の歌は現地の方がより良く響くような感じがしました。
・大曲『勘弁しろし 保育施設じゃねーし、ここは』←ちゃんとお世話する気ある人じゃないと出ない台詞
というか仮に中学生がいなかったとしても大曲パイセンは何やかんや他の人のお世話する事になってそうな予感がする
・高校生ソングは威圧感があってうまい。帝劇経験者が多い事もあって高校生は総じて歌がうまい!中学生も元祖テニミュより上手いけど、高校生はその上をいっている。歌のうまさ=作中の実力を表してるんだなと思う。

・跡部・仁王VS毛利・越智
・メンタルのアサシンの曲の時の越智、自分自身は殆ど動かないのに曲の主役になってるのがプレイスタイルと合ってて良かった。あと曲がお洒落でかっこいい。
・仁王は自分自身のメンタルが強い方ではないからこそ、跡部が弱ってるのを察して色々フォローしようとしてるのかなと思った(手塚がドイツに行ったのは手塚にとってはいい事だけど跡部にとっては少し堪える事だったのかもしれない)
・手塚よ俺に憑依しろ!の歌、聴いててとても切なくなってしまった。
公演中に『追いつめられて自分を鼓舞する』みたいな場面や歌は度々出てくるものの、『俺は跡部だ』『皇帝には威厳が必要』みたいに皆自分自身を拠り所として立ち直っている。仁王は他人を模さないと自分を鼓舞できない。元同じチームの真田からも『手塚の精神力をイリュージョンで……』って言われている辺り本当に仁王は信じられてないんだなと思う。そんな仁王がここから成長していくのが熱いんですが。
この歌、場面も曲調もシリアスなのに『手塚は我慢した』とか歌詞がちょっと面白いのが好き。テニミュはそういう歌が多いと思います。歌が記憶に残るようにしてるのかな。
・ワンマンパワーの凄みがすごい。
『ワンマンパワー』(ワンマン=独裁的な人)と歌ってはいるものの、場面としては体力が切れた仁王を一人でフォローしている状況で、でも歌詞には仲間を思って〜みたいな表現が沢山出てくるわけではないのがすごく跡部らしいなと思った。自分の力を出し切る事で他の人も引っ張るみたいなスタイルなんだろうな、跡部はかっこいいなと改めて思いました。
・中学生側が勝ったのも含めて跡部仁王の試合、起承転結がしっかりしててめっちゃ面白くない?と思った。この試合に限らず新テニミュは原作より試合が好きになれるものが多くてよかった。
新テニの特徴として、月刊誌に移った事でコマが大きくなって体感で話の展開が早くなったように感じるって事があるけど(個人の主観です)、舞台になると人間が演じる都合上原作で展開が早いと思った所が補完されるような感じがする。それが冗長だと感じる事もあるけど、新テニミュの舞台だといい方の効果があるように思いました。

・デュークVS銀さん
デュークホームランで飛ばされる銀さん
ここは原作通りすみやかに終わったけど、原作に比べて物足りない感じがした。舞台においては『大ゴマ』が無いからインパクトが薄かったのかもしれない。舞台と漫画では媒体によっていい効果も悪い効果もあるなと思いました。

・木手・ブン太VS遠野・君島
ブン太を裏切って沖縄の技でブン太をボコボコにする木手、生身の人間で見ると肝が据わりすぎてて笑ってしまう。新テニでの木手の目的って『比嘉の名前を知らしめること』だと思ってたけど(原作だと試合前にモノローグで沖縄の力を知らしめたいって考えている場面がある)、このやり方だと比嘉の悪評が広まらないか?木手的には悪評上等って思ってるのかな。
・遠野先輩の演技がうますぎる。相手を煽ったり趣味の悪い演技をするときもどこか品があって聞き苦しくない。処刑してるときも自分も盛り上がりつつ皆を盛り上げようとして話しかけてくる感じがあって、ネコが獲物を自慢してるみたいだな~…遠野が楽しいならそれでいいんじゃないかな…とチラッと思ってしまった。いや処刑だから良くはないんですけど……
・ワンダーキャッスルの曲調が可愛い!中学生たちがみんな来てくれるのも可愛い。鉄壁の守りというと渋い印象だけど、ブン太はお茶目でポップな感じなのが個性が出てていいなと思いました。
・それはそれとして、ブン太との理想のダブルスはジャッカルだと思っていたので、理想の組む相手は木手と言われるとちょっと……寂しい!と思ってしまう。(試合を観ていて楽しい!と思うのは木手とのペアなんですが、それはそれこれはこれ)
でもジャッカルはブン太に守りをやらせようとはしないだろうし、一時的に裏切ってブン太をボコボコにするみたいなムーブもやらんだろうから、ペア相手が木手だからこそ到達出来た強化って感じでいいですね。
・ワンダーキャッスルの完成を見届けてからブン太を攻撃からかばい始める木手
木手は『強い方につく』って言ってたけど、それ=権力が強い方につく、じゃないんだな……としみじみ思いました。そんな性格なら比嘉の顧問に逆らったりしないし、高校生の遠野先輩の攻撃を止めて煽ったりしないんだよね……。ボコボコにされてる場面だけど、木手が格好よく見えました。
・これだけ木手が目立ってるのに木手のソロ曲は無いんですね(ここは歌う場面でしょ!という思い込みが強かったせいか、一回目観たとき木手がブン太庇ったところで歌ってたと完全に記憶改ざんしてた)
でもここの木手に曲をつけるとして、完全な裏切り曲も俺達は仲間!みたいな曲もしっくりこないというか、仲間としての木手の曲って結構難しいのかな……!?と思いました。木手の俳優さん歌うまだったから次の機会があれば歌ってほしい……。
・段々遠野先輩のボルテージが上がってきて、立て続けに処刑を行う。
この辺で高校生側も中学生側も静まりかえって、みんな遠野のやってることに引いてるとわかる感じが良かった。テニミュは台詞が無くてもベンチでやんややんややってる場面が多くて、それが賑やかな印象に繋がっているから、そんな動きがなくなると凄く静かに感じるんだなと思いました。
・最終的に『君島とブン太は裏で交渉していた』って話になるんだけど、そう考えるとキミ様にサイン下さい!ってはしゃいでたブン太のくだりとか試合中のブン太の心中はどういう……と考え込んでしまう。
記憶喪失のリョーマのもとに真田が行くのを見送るときの幸村のシーンも『この時の二人の心情を国語の問題にしてくれ』って思ったけどこの試合のブン太の心情も問題にしてほしい。
木手は考察を見た上で『ブン太のワンダーキャッスルの完成のために手段を選ばなかった』説がしっくりくるんだけど、ブン太は解釈が定まらない……。
・この試合、君島・遠野ペアの勝利で終わるのにすごくびっくりする。舞台でもびっくりしたし配信でもびっくりした。途中木手の裏切りで3VS1とかやってたので中学生側が負けるのが順当と言われると、まあそうなんですが……
素人目線では、ブン太と木手が和解したから君島が改心して中学生に頼る事なく自分自身で遠野の膝を粉砕してブン太・木手が勝つって流れの方が綺麗なのではと考えてしまう。でも実際の試合展開じゃないとブン太と木手が真に絆を結ぶ事も無かったのかなと思う。原作から面白かった上に舞台の遠野先輩が良すぎたのもあって満足感がありました。

・金ちゃんVS鬼先輩
年齢も体格も離れてる鬼先輩と金ちゃんだけど、二人で天衣無縫になると同じノリで踊り回っていたのが楽しかった。二人同時で天衣無縫になるとこんなイメージなのかっていうのがわかった。それはそれとして、舞台で天衣無縫が来るとちゃんと舞台を見れない(照明が強すぎて目がやられるため)から、配信ではじっくり見れてよかった。
・金ちゃんと鬼先輩が天衣無縫になったとき、銀さんが一番力一杯動いてるのめっちゃかわいい。
天衣無縫の曲の時、クールな木手も小さく踊ってたのに幸村はずっと苦い顔してたので、やっぱり天衣無縫に負けて天衣無縫になれない自分の事がずっと気にかかってるんだろうな。ベンチも個性が出てていいですね。

・真田・亜久津VS大曲・種子島
めちゃめちゃ今更なんですが、大曲=二刀流、種子島=『無』の使い手で、二人で宮本武蔵をイメージしてたんですね…。舞台だと試合前に『巌流島』ってキャッチコピーがコールされるから漸くピンと来ました。種子島先輩が一見サムライっぽくないから気づかなかった…
・テニプリにおける『サムライ』とは越前南次郎であり、転じて越前リョーマを指す。(例えば関東立海ミュのリョーマvs真田のリョーマ曲は『SAMURAI』というタイトルである)
真田は見るからに武士っぽくありつつも『サムライ』という二つ名ではないのだけど、宮本武蔵の対戦相手=佐々木小次郎に準えられたことで真田もサムライになったんだな……と感慨深かった。関東立海の時点でリョーマと鍔迫り合いをやってるんですが、今回も大曲先輩と鍔迫り合いする真田が見れて嬉しかったです。
・真田の皇帝の歌がかっこいい。ドリライ的なライブで本当にカイザーマントを翻して欲しい。
・大曲パイセンの二刀流、実際に舞台で観ても二刀流にした所で別に強くはならないのでは?と思ってしまうけど、これは精神攻撃的なところがメインなのかな。この試合における中学生側の課題は『精神の揺さぶりに耐えること』のように感じたので。
・nothing……の曲囁いてる風なのに聞き易くてすごい。カラーなのにどこか世界がモノクロになっているように見える。
テニミュはシリアス展開にするときも大体青い照明を使うのに、この曲の時は白黒の照明になっていたので、落差で白黒に見えたのもしれない。こういう風に演出でガラッと雰囲気が変わって見えるの好きです。
・黒色のオーラ、初めて原作を読んだときは『地味過ぎひん?』と思ったものだけど、今までの真田=真っ直ぐな軌道に、亜久津のような型にはまらないテニスを学ぶ→ボールの軌道を曲げられる、という理屈と考えると確かに成長してるんだなと思った。
・威力を殺された球を追い続ける真田と亜久津、生身の人間が演じる舞台で見るとほんとに格好悪くて泥臭いなと思った。そこがいい。真田は自分は皇帝という歌を高らかに歌った後にこんな試合をしている。そこが好き。
・この試合は最終的に中学生が惨敗したようなものだけど、おつかれさん……って真田に小声で言って亜久津が握手しなくても見守ってくれる大曲先輩は懐の深い先輩だな〜と思う。

・徳川と入江と鬼先輩の回想、入江先輩の演技かわいいし千秋楽だと入江がブレイクダンス→鬼先輩のリアクションがめちゃめちゃ盛り上がってるぞ入江……になってた(舞台を観た時は原作通り『スベってるぞ入江』だった)こういう遊び心はいいね。
・リョーガはリョーマに絡むとき、繰り返し『昔はあんなにかわいかったのに』って言ってくるけど、南次郎に『昔と同じようにテニスをしろ』って言われていたあたり、本当に変わってしまったのはリョーガなんだろうなと思う。スペイン戦ではそんなリョーガをリョーマが救うみたいな話になるのかな。
自分の目にはリョーガとリョーマは今も普通に仲良くてなんの障害もないように見えるんだけど、何か深刻な問題が隠れてるのかな?
・リョーマの兄的な存在はリョーガと徳川がいるけど、個人的にはリョーマの兄ポジは徳川であってほしくてどリョーガも最終的にはそれで納得してくれませんかね?と思ってたけど、いざミュで見るとこの兄弟仲いいよな~……と思って、かわいいなと思うと同時に徳川さん……という気持ちが抑えられなかった。
リョーガの原作での初登場シーンって、平等院に滅びよ球をぶつけられた徳川&リョーマをリョーガが助けるって流れだから、ラブコメ的な文脈で見るとリョーガのが正規のお相手って感じがする。でも兄ぶりたい徳川はかわいいから、最終的には徳川が兄ってなって欲しいのだ……

・徳川vs平等院
「確信した…俺は強くなり過ぎた」
「大海原を小舟で漕ぎ出すかよ 沈没の恐怖に震えながら航海するがいい」
「俺は強くなり過ぎた この確信は揺らがない!」
↑これ原作にもあるやり取りなんだけど、実際舞台で聞くと平等院にもっと反応して徳川!と思ってちょっとフフってなった。
俺は強くなり過ぎた…ってセリフ、過去解けなかった問題が解けた時等に頭の中で再生してるけど、普通に自己肯定感が上がるのでいいセリフだなと思います。
・阿修羅の神道の曲、いかにも徳川が歌いそうだ!と思わせておいて入江が意気揚々と歌い出すのにちょっと笑っちゃった。後に鬼先輩と徳川も加わって歌ってたけど、入江先輩と鬼先輩はほんと歌うまだなと思った。
ここに限らず、今回の舞台の範囲だと試合が無いのに入江先輩はよく歌う。ミュージカルではうまい人に出番が回ってくるという事を実感した。
・呼び覚まされる海賊
この曲かっこよすぎる。高校生たちの重低音の歌がめちゃめちゃ合う。今更だけど平等院のイメージが海賊なのって『世界に挑む者』だからなのかな?
曲をスタンバイする時に海賊船の帆が粛々と準備されてる所とか、徳川が力抜けて十字架みたいな状態で連れてかれる所とか、ビジュアル的に見ると面白いのに歌が良すぎてカッコイイ……という気持ちしか浮かばなかった。原作の時点で海賊をチョイスした許斐先生に全力で感謝したい。
・ブラックホール
いかにも徳川が歌いそうに見せかけて入江が歌い出すのに笑っちゃった(二回目)平等院の曲とは違って中学生たちが一緒に歌ってくれるのは徳川が挑戦者側の立場だからかな。
儚さと覚悟を感じさせる曲調と、ブラックホールを舞台上で映像で再現する手法が好き。この調子で世界大会編も演出が進化して欲しい。
・やめろ徳川さん~!って歌いながらリョーガとの練習を中断して徳川さんのもとに向かうリョーマかわいすぎる。ここを観た時確信した……リョーマの兄は徳川!ってなりました。
・平等院の光る球のダメージが遅れて出てくる徳川。これ配信で初めて気づいたけど原作通り徳川のジャージに血がビシャッてなってるんですね!?リョーマがサイテーだよ……ってなるのも無理はなかった。
・徳川をかばって平等院にリベンジするために合宿退去するリョーマ。
この辺の流れは普通にいいなって思ってたのに、許斐先生によってnothing……されたのが惜しいなと思った。でもドイツ戦まで読んだ結果私は平等院の事が大好きになってしまったので、これで良かったのかな……と思いました。でも敵として日本代表の前に立ちはだかるリョーマは見てみたかったな〜。新テニの次にシリーズがあるならその辺もお願いします。
・千秋楽公演で遠野がブルーレイDVDの宣伝するときの口上がめちゃめちゃ滑らかで笑っちゃった。遠野は仲間内の宴会とかもノリノリでやりそうだから解釈一致でした。キミ様がDVDとか雑誌とか出した時も仲間にいっぱい宣伝してほしい。
・特に好きな曲はメンタルのアサシンとワンマンパワーと平等院の海賊の曲。海賊の曲は低音の響きがすごくいいから会場で聴いた方がよりよく聞こえた。
仲間内で戦う話でこれだけ熱い公演になったんだから、世界大会編ではもっとハイレベルになる事を期待しています。

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