新テニミュTheThirdStage感想

・2023/10/13の新テニミュを友人と一緒に観劇した感想です。(公演すべてのレポではなく印象に残ったところだけ)記憶のままに書いたので覚え間違い等あると思います。
新テニミュ、テニミュ4th、新テニプリ原作のネタバレあり。


・新テニミュ、相変わらずほんっっっっっとに歌がうまいなと感じた公演だった。高校生たちと中学生たちがうまい事はこれまでの新テニミュを観て把握していたが、世界の選手たちの歌唱力にも圧倒された。かつ、【国・チームごとの個性】が歌から窺えていいなと思った。アメリカ代表はフレンドリーで楽しませようとしてくれて、ドイツ代表は威厳があり、フランス代表は自分たちの美学を守りつつ華やかに歌ってくれた。今回テーマ曲が無かったオーストラリア・スイスも聞いてみたかった気持ちがある。でもThirdStageは3時間みっちり公演しても内容が詰めつめだったから、これ以上歌を増やすのは難しかったんだろうな。

・新テニミュ3rdはリョーマのアメリカチーム行きから始まる。
アメリカチームの3人はみんな快くリョーマを迎えていて、皆めっちゃいい人やな……と思う一方で、原作既読でミュを観ていた私は(でもリョーマは割とすぐ日本のチームに戻るんだよな……)と思って胸が痛かった。原作だとリョーマが日本のチームに戻る時に桃城がケジメで怒ってくれたので心が軽くなったものだが、今回のミュには桃ちゃんがいないので、リョーマ……やりたい放題か~!?と思ってしまい、中々リョーマを応援する気持ちになれなかった。リョーマがアメリカチームに所属した事を経て日本に戻ろうとする流れが自分の中でしっくりきていなくて…。もう一つくらいイベントがあったら納得出来たかも。でも、3rdStageではここを丁寧に描くよりも超スピードで流して見せたいものに集中するという方策をとったのかもしれない。実際見終わった時に満足して劇場を出る事が出来たので、これはこれで良かったなと思った。

・今回手塚も登場するものの、ドイツ代表として日本代表と対決する事になる。
ドイツ代表として過ごしている手塚はまだ一部のチームメイトに認めて貰っていないようだ。
この辺、生意気めなリョーマはアメリカ代表に可愛がられて、礼儀正しい手塚はいびられるんだ……何故だ?後輩力の差なのか?と悲しみを感じた。でも一年生の頃の回想の件もあって、手塚個人は組織内でギクシャクしたときにうまく世渡り出来る力を持ち合わせていないんだな~というのは納得できてしまう…。青学にいる頃はその辺は大石がフォローしてくれてそうだし……。それでもドイツチームでボルクと信頼関係を築けている所を見れたのは嬉しい。

・新テニミュの世界大会(プレWC・ドイツ~本戦ギリシャ・オーストラリア・スイス)はRTAのごとく爆速で進んだ。どれくらい早いかというと1幕1時間半くらいですべてが終わった。私は原作を読んでから行ったのである程度流れはわかっていたけど、それでも(今、何が起こっている…?)と頻繁に混乱したので、これ原作を読んでいない人はかなり厳しいのでは…と思った。テニミュ4thの都大会・ルドルフ戦を観て混乱したときの気持ちに近い。ただ今回の方が全体的な歌唱力が高かったため、見終わった時に満足は出来た。私はテニミュ4thよりも新テニミュの方が曲調が好きなので、その辺も関係しているかもしれない。

世界大会編は、じっくり時間をかけた所で『何故……』という気持ちが拭えない場面もそこそこあると思っている(例:跡部と客席の仁王がイリュージョンしていた事)ので、疾走感を持って駆け抜けた方が結果的には良かったかもしれない。でも、個人的には真田・幸村のダブルスはじっくり見たかったです。君が代をミュージカルで歌う真田が見れると思ってウキウキしていたので……。

・一幕の中だと、徳川さんと幸村のダブルスが特に好き。徳川さんの直向きな所と後輩思いな所が見れてすごく良かった。新テニミュ2ndでは脇にいた鬼・入江が歌い始めていた『阿修羅の神道』を今回は徳川さん自身が歌うところに公演を超えたキャラの成長を感じた。

そんなダブルスに圧勝するドイツ代表を見て、ドイツ代表は無印テニプリの立海のリブートなのかな、とぼんやり思った。

無印テニプリの立海が関東大会で青学に敗北した時、私は『ここで青学が負けても全国大会でまた対決出来るのに、ここで青学を勝たせてしまっていいのか。立海が王者としての恐ろしさを見せても良かったのでは』と思ったし、何なら今でも思っているのだが、プレドイツの日本を圧倒する様はかつて私が思い描いていた立海の姿に近い。ドイツの曲が威厳と伝統を感じさせる曲調なのもテニミュの立海の曲調に近いので、ある程度意識されてるのかなと思った。いや、『強そうな曲』を作ろうとすると自然と似通った曲調になるだけで、二つのチームを似せようという気持ちは無いのかもしれないですが……。

・二幕はフランス戦が繰り広げられる。
原作を読んだ頃からフランス代表の事は気に入っていたのだが、今回ミュージカルを観て更に好きになった。フランス代表の曲は曲調にどこか余裕があって、華やかで聴いていて心地が良い。チームの選手同士も仲良しそうで、ベンチで和気藹々としていて観るのが楽しかった。あと舞台上での動きが付いた事でよりキャラの存在感が増したなと思う事が多かった。オジュワールのアクロバティックな動きは本当に忍者のようで観ていて爽快感があったし、パリコレは『舞台上に常にはだけている人がいると本当に気が散る』という事が実感出来た。

・フランス代表とキミ様・白石のイケメンダブルス対決、フランス代表が点を取ってポーズを決める度にスポットライトが当たり、客席がFoo!と沸いて、試合が始まる前のわちゃわちゃも含めてカオスでめちゃめちゃ楽しかった。声出しOKになった舞台の醍醐味だなと思った。

そう思った反面、原作を読んだ時に、この試合の肝は【試合が進むにつれてイケメン達がポーズを決めなくなるくらい勝負に真剣になる所】だと思っていたので、舞台で試合前半を一番楽しんでしまうのはちょっと申し訳ないな……と思っていた。

でも、試合が終わったキミ様が白石に『胸を張って最後のランウェイを歩きましょうか』と促して、二人にスポットライトが当たって拍手をした時、自分の中で試合の内容をしっかり受け止める事が出来たと思ったので、楽しいシーンだけじゃなくてこういうシーンにも観客に時間をくれたのはありがたいなと思いました。

・エドガーとジョナタン、今回のミュで個人的に一番印象が上がったコンビかもしれない。原作を読んでいる時は『あの柳さんがこんなに他人に対して怒る事があるんや…』という方に気がいってしまっていたので。舞台で生の人間が演じているところを目の当たりにすると、柳さんと毛利のギスギス感は改めて半端ないなと思った。3rdStageの中で毛利が種子島を迎えようとするシーンで人好きな性格なんだな~と思ったからなおさら胸が痛かった…。このときのギスギスの割に、爆速で誤解が解けるところは見ててちょっと面白かった。
エドガーとジョナタンは気難しい芸術家とそれに楽しみながらついて行っている人形役という構図がすごく良かったです。でもジョナタンがメイクされるシーンの映像は怖…と思っちゃった。このシーンに限った事ではないんだけど、テニミュで回想シーンが流れる時って、PS2のホラーゲームの映像みたいでことごとく怖いと思う。何ならプランス対リョーマ戦でリョーマの幼少期の回想が入るところも怖かった。

・プランスとリョーマの馬上テニス、馬を力業で顕現させててびっくりした。
3rdStageってキャストの中に海外の方も多くいて、他公演よりも練習における意思疎通が大変だったんじゃないかと思っているんですが、この馬のくだりとか本当にどう説明したんだろう…と思ってしまった。そういう意味でバクステが気になったのは今回が初めてかもしれない。
それにしてもプランス、この手のライバルキャラで女の子に対してここまで紳士的なのは結構珍しいんじゃないか、と思いました。桜乃がリョーマといずれくっつく事には異論は無いけど、私はプランスが桜乃と文通を初めて、それにやきもきするリョーマというシチュエーションはかなり見てみたいぞ…。

・プランスVSリョーマ戦、ソロも合唱も迫力があってすごく良かった。テニミュで今まで見たリョーマの試合の中でプランス戦が一番好きだと思いましたし、何やかんやあったけどリョーマ、日本に戻ってきてくれて本当にありがとう…と思いました。ミュージカルは楽曲がいいとストーリー面で感じた違和感を吹き飛ばしてくれると思っているのですが、新テニミュではそれを如実に感じます。

・オジュワールVS真田、私はこの試合を観るのが楽しみだった一方、プランスリョーマ戦の盛り上がりの後で、この試合が最後というのは…なんか…構成的にいいのかな!?とちょっと心配していた。試合自体は正当派だったプランス戦に比べると、オジュワール戦は色物っぽいところもあるので…。
でも、オジュワールと真田の会話の『外国人ではやはり忍者ではなれないのか』という問いに対して、『試合が終わるまで刀を落とす行為は武士道に反するぞ そこに外国人だとかは一切関係無いのだから』というやり取りがすごく良くて、この会話が世界大会編の最後の試合に来るのも綺麗だなと思いました。
あとこの試合の真田ってオシショーサマの名に恥じずずっとかっこいいんだよね。ダルマで喜ぶチョロアホなシーンも含めて真っ向勝負という哲学に従って動いているので、ずっとかっこいいんだよ…。フランス代表と試合が終わった時にオジュワールと真田の礼は深くて長かったり、ソロ曲が無かった代わりにこの二人の関係性は大切に描いてくれてる感じがして良かった。

そして、公演を通してオジュワールが場を盛り上げてくれてとても楽しかったので、次回の公演にも出てくれないか…?と思いました。前回戦った学校が次回の公演にゲスト出演するという無印テニミュの方式に従えば、ドイツ戦ではフランスが応援に来るんだよね。そうであって欲しい。

・この公演は『新テニミュ』の『3rd』なので、ここからテニミュを観よう!という人は恐らく皆無に等しいと思うけれど、何でもいいから歌がうまくて沢山楽曲があるミュージカルを観たいと欲している人がいる場合、新テニミュ3rdを勧めたいなと思いました。帝劇出演者含む歌唱力高いメンバーが揃って、かつここまで国際色豊かなミュージカルって中々無いよな~と思ったので。最近テニミュのサブスク配信も始まったようなので、新テニミュの歌唱力の高さが知られる機会が増えればいいなと思います。






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