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平家物語とホットロード

古典に共感シリーズ。

この世は無常…に共感し涙(?)する年になった私だが(←ちなみに中年になると涙腺崩壊し、ハードル低いことでやたら泣く)

無常、といえば、「祇園精舎の鐘の声…」のあれ。

平家物語は、吉川英治版をその昔に読んだけれども…これまた、ほとんど記憶になし…
源義経の伸長が145センチ程度だった、というのを読んで衝撃を受けたことくらいか…。あ、源義経といえば、つい数年前、Google mapで藤沢駅付近を見ていたら、「伝義経首洗井戸」というのを見つけて、これまた衝撃を受けたw 源義経が自刃し、証拠として首が鎌倉まで持ち帰られたが、梶原景時が実検したあと首が片瀬の海に捨てられた(←えー!)。その首が川をさかのぼり(!)神社付近に漂着し、洗い清められた…という井戸らしい…。まーったく、知らなかった。「夜間に鎌倉方面から、首が目を見開いて亀の背に乗り飛んできたとも伝えられます。」ともある(「ふじさわ宿交流館」のWebサイトより)。怖すぎるでしょ。

日本人に大人気の源義経だが、こんな悲しい最期(最期の最期)を遂げていたのであった…。悲しいっていうか怖いけど。

そして生まれ育った場所付近のことというのは案外知らないことが多いのだなということを実感。Google mapがなかったら、私はこの「首洗い井戸」のことを知らずに死んでいたかもしれない…(別にいいけれども)。

それはさておき、諸行無常、はもちろんのこと、盛者必衰、もこの年になると身に染みる…
大学生のころ、会社の寿命は30年だ、と聞いて全くピンと来ていなかったけれど、
実際、そのころ就職活動でみんなが目指していた(とはいえほぼ男子学生だけが対象の世界だったけれども)銀行は大規模リストラを始めたり、逃げ出すように転職する人が続出しているし、家電のメーカーはもっとはるか昔にガタがきて、あっという間に淘汰されてしまった。ソニーも大昔の輝きオーラがなくなってすでに○年。ていうか日本という国そのものが「衰え」ルートを邁進しているような…。

大学で聞いたことは本当であったよ…。

今ならさしずめ、必衰の「盛者」は「外資系コンサル」だろうなぁ。
15年後辺りはもう勢力図が塗り替わってるんだろうな~。

さて。
諸行無常、盛者必衰、の他にも、
平家物語で、私的「すごく印象的なシーン」がある。

それは、祇王と仏御前、ってやつで、
たぶん高校の古文で読んだとかそれ系(吉川英治版ではない)。なので、ご存じの方も多いと思うけれど、
平清盛が、白拍子の祇王を寵愛していたが、
とあるときに彼女より若い仏御前っていうのが入って、
平清盛が「若い方」にばっかり気を取られるようになり、祇王はお払い箱になり、彼女は出家。
しかしとあるときに、祇王寺に若い女が尼になりたいと訪ねてきて、それは仏御前だった…という話。
(うろおぼえの適当ダイジェスト)

これは腑に落ち度マックス。
人生いかなるステージにも付きまとうやつ…。

大学に入れば「1年生はちやほやされるけど、2年はお古、3年以降はババア扱いですよー」と言われては(←こんなものに衝撃受けるなんてなんて純粋だったのか)

仕事では、新商品にばかり力を入れるが、既存商品のマーケティングは超・おざなりのクライアントに対峙しては

はじめだけはみんな参加してくれるけど回を追うごとに参加者少なくなるイベントに頭を抱えては(主催者側として…)

祇王と仏御前の話じゃん…

と、この古典の一エピソードを頭に思い浮かべる私なのであった。。

この、「目新しいものにばっかり目が行っちゃう」
のはなにも平清盛に限った話ではないのだ。(むしろなんか鬼の首採ったみたいに悪者ネタにされてかわいそうな清盛…??)
人間の本能とでもいうべき、たぶん、今なら、脳科学でどーの言われているであろう、とにかく、
「新しい時だけはみんな食いつくけど維持継続はその一万倍大変」
ってのは平家物語よりはるか昔、弥生時代くらいから(?)みんな知ってる、暗黙の了解、でもこれに対して未だに手は打てない、みたいなものだと思う。

やっぱり人間の本質は変わらぬ…。

ちなみに、大学生の時に一人で京都に行ったとき、祇王寺に行ってみた。当時から平家物語で唯一腑落ちしていた場面だったからと思われる。こじんまりしていて杉苔蒸していて、とても好きな雰囲気だった。
今はコロナだけど、インバウンドバブルになってからは行っていないから、どうなのかわからないけれど、未だに京都では一番好きな寺。寺というより庵という感じで。
今も昔も、小さくてこじんまり、非主流なものが好きなんですな。

さて、話は飛ぶんだけども。

私が中学生のころ、一世を風靡した、『ホットロード』という漫画があった。
割と最近(←最近だ!)能年玲奈(当時)主演で映画化されたけれど。
ヤンキー漫画の金字塔である。

あれ、私の実家付近が舞台になっており、かつ、制服のスカートが床につくすれすれまで長いのがかっこいいとされたヤンキー全盛の時代(若い人は知らないでしょうが…)だったこともあり、私の周囲でも流行っていた。

あのスラムダンクも、本当は作者はバスケだけで行きたかったが、バスケ漫画は当時はなく、リスキーだからってことで、初期はヤンキー漫画に転んでもいいようにしていた…そうな。(スラムダンクが連載開始するのはホットロードが流行ってから数年後。)ヤンキー漫画なら安泰、って、そんな時代だったのだ…。

さて私は当時は吹奏楽部でトロンボーンをやっていた。好きじゃなかったけどw。そこで同じパート(楽器担当)だったAちゃんが、ホットロードについて
「すげーー感動したーー!!!おばあちゃんになっても(捨てずに)持ってると思う!!」
と言ってたので、どんなもんじゃと読んでみたけど、
「?????」
だった…
ってことがあった。
しかしあまりにAちゃんが絶賛するため、
「ななめ読みでちゃんと理解してなかった私がいけないのでは…」
と、今も続く自責メンタリティーのために、もう一度読んだものの、結局まーーったく共感できず。
かすった部分はあの風景画みたいな表紙と情景だけである(地元だったから)。
まぁ、当時中学生で主人公と同年代、しかしただの真面目な優等生だった私が、あんなヤンキーに共感できるはずもなかった、と数年後にはわかるのだけど。

今読んだら多少は心理描写に納得するのであろうか…(いや、しまい)。

が、しかし、
この間ふと思ったのだ。

ホットロードって、冒頭のこれが有名でしょ?(←同世代の、おそらく女性限定…狭い…)

夜明けの蒼い道
赤いテールランプ
去ってゆく細い後ろ姿
もう一度あの頃のあの子たちに
逢いたい
逢いたい

これで「ホットロードだ!」って即座にわかり、すべてが思い起こされる、タグのような存在。
上記のこれだけで涙する人が(私の知らない世界で)いると思う、たぶん。

そして私はふと、ここに平家物語を見出した。

祗園精舎の鐘の声、
諸行無常の響きあり。
娑羅双樹の花の色、
盛者必衰の理をあらはす。
おごれる人も久しからず、
唯春の夜の夢のごとし。
たけき者も遂にはほろびぬ、
偏に風の前の塵に同じ。

平家物語といえばこの冒頭。古文の記憶がほぼ飛んでいる私でさえ知っている、日本人の常識な、この冒頭。

冒頭でアイデンティティーが作れてるのって…

ホットロードと同じじゃん!

ついでにリズム感も同じ(?)!

ホットロードが多くの人の心に残るひとつの理由は、この冒頭において、タグと冒頭普遍性?を確立しているからかもしれない。

やはりホットロードは名作であった…(?)

たぶん私は今見ても共感はできないが…。

ちなみに、平清盛に捨てられた時の祇王、21歳、仏御前17歳、だそうな。
げぇーーーー!!

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