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失敗★蓮ストール 25-Ⅱ

【 雨宮蓮へのインストールに失敗しました! 】

♯夢小説 ♯ペルソナ5ロイヤル ♯女主 ♯成り代わり
夢主は周回プレイ記憶者です。



 \前回までのあらすじァ!!/

 5/25、ついに予告状を出し、オタカラ奪取作戦を決行した怪盗団たち。
しかし、『盗った』のは贋作だった。真のオタカラを、マダラメに見せられる。
 「本物の『サユリ』」。
語られたのは、祐介の母が亡くなる間際の自画像を斑目が奪い、赤子の姿を上塗りし、作品として仕立て上げたということ。その母も病弱ゆえに、発作を起こしたところを見捨てたということ…。
お前を許す理由が露と消えた━━!

ボス戦だああああああああ





『さぁぁ… 行くぞ、ゴミ虫どもめぇっ!』
「斑目…欲望のために他者を利用する貴様は…貴様が描いた絵ほどの価値もない…!」

フォックスが、冷たく言い放つ。
 ━━ジョーカー、スカル、モナ、フォックス。

「ジョーカー、気を抜いてはいけない! 何して来るかわからんぞ!」

画伯の右目…左目…鼻…口腔。
ボウッ!

「シキオウジ!」

会話交渉のペルソナではない。きっちり、ベルベットルームで裁断したものだ。
敵への面は白、背中は紅の、その実ところどころ折り紙のような質感を持つ、鋼のような硬さを持つ武人然とした、鬼神であったという『式神』。月の兜のような頭部が召喚と共にぐるぐる回り始める。

「『マハサイ』!」

通るか! 現時点で貴重な念動属性!
…今どこか“吸収”したな。この敵の厄介な点は、全敵の弱点…もとい、“吸収”属性がバラバラであること。そのため、下手な全体攻撃は、相手の利となりかねないが、各個撃破すると……。

「うぅらああああ!!」

暴走するキッドの船が額縁に突撃する…攻撃と、吸収!

「来たれ、我が半身! マハガルっ!!」

モナとゾロが剣を振る。

「ペルソナ…ブフ!」

フォックスが『口腔』に零下を集中させる…!

「今の攻撃で良かったのか!?」「だいたい!」

俺の行動は…!

「ペルソナ…アメノウズメ!」

ぐるりと俺の手を取ったのは、両手に扇、顔と服にも扇を着た長髪の乙女。回るごとに、背中の飾り布が舞う、あの著名な踊り子のペルソナである。
特性は『雷呼びの血統』。理由は不明。
初期スキルに、『マハジオ』『マハガル』を備えている。
舞おうか!「マハジオ!」
一回転に、黒いコートと、彼女の白い袖が大きく膨らむ!

うまくいかない…!

「スカル、口腔以外は物理属性でぶっぱなせる! バズーカで飛ばせ!」
「わかった!」

なぜわかるか?そこを聞いてこないのはスカルからの信用ゆえだ。
鼻が飛んだ!

「モナ、口腔にガル!」
「任せとけ!」

風に巻かれてまた額縁が落ちる…!

「今だフォックス! 両目をまとめて切り飛ばせ!」
「……!!」

彼の居合に力がこもる。
俺も緊張する…ここで飛ばせなければ!

「……烈風波ぁッ!!」

全体物理攻撃!!
…ひとつ逃した…だが、まだやれる! シキオウジにバトンタッチ…、

「ダブルシュートっ!!」

大きく開いた両手から、エネルギーボールが残った目の絵に放たれる!

バタンッ!
…ズブブブブ…
『 ……ウアアアア…… 』
「マダラメが出たぞ!」

 ━━HOLD UP!!

『くそっ… ワシは「あの」斑目だぞ……』

金服の老人が膝をついている。
お前までそんなことを言うか。
“人”の格を疑う。

『個展を開けば満員御礼の…斑目だぞ! 貴様らのような、「無価値なガキ」が、逆らっていい存在ではないのだっ……!』

無価値なガキか。
言ってくれるな。
知ったことか。現実の俺たちは、どうせ『無名のガキ』だ! そして、価値ある者から価値を奪う理不尽な者から、更に奪っていくのが、この『怪盗団』だ!

「まだ言うかっ! 貴様に食い物にされた者の怒り、たっぷりと味わってもらう!」


 フォックスが跳んだ━━突っ込む!
 “ニヤリ”しあうのは一瞬!
 斬る、殴る、閃く、撃つ!


『があっ!!』
「……まだ“心を折る”には至らないか……」

くるっと己の得物を手の中で回す。

『ワシは大家「斑目」だぞ!? それがわからぬなら…貴様らに見せてくれる!! 我が最大にして最高の妙技をなあっ!!』

【本物の贋作】━━斑目は贋作を生み出した!

「な!? アイツ、自分自身を…!?」

モルガナが『伏せ』を取って耳をピンと立てる。
…自分自身…。
ものすごく、4人が炎と雷と氷と風をまとっている。


 【 マダラメ・アザゼル・イチリュウサイ 】


「…ハッ、なるほどな。贋作や複製はお手の物ってわけか!」

だが、問題は嬉しいことに、全員に今度こそ弱点が露出したこと!
俺の後ろにアメノウズメが舞い上がる。

「メディアっ!」

体力を確保!

「総員、互いの弱点を確認しろ! それで相手の弱みを突けるはずだ!」
「互いの弱点!?」

互いの。
モナ↔竜司が互いに弱点を突き合う構図になってるの、本当に愉快…面白いと思う。
今回は炎役がいないから…。
凍結スプレー! ガル! ブフ! あ、間違えた

「これで全員にタッチだ!戦略がハマったな!」
「ジオ!!」

俺のペルソナのいかずちが風のマダラメを撃ち、…ペルソナチェンジ! …バトンタッチの効果でコスト0になったダブルシュートで、マダラメ本体を穿つ!!

『ぐ、ぐふっ… や、やめんか…育てた恩を忘れおって……!』
「黙れ、問答は無用だ!」

モナが体力を確保。
…WEAKを取られて倒れていた偽のマダラメたちが立ち上がる。

『権力を持った大人に逆らうとは…凍てつく恐怖に苛まれるがいい!』
『何も知らぬガキどもめ…我が怒りの炎で焼き尽くしてくれる!』
『風に翻弄される塵のように、跡形もなく消え去れぇいっ!』
『稲光のように迸る我が才気…その身に存分と味わわせてやろう!』

…総攻撃を耐えきった! 今度こそ…!

「マハタルカジャ!」

全員の攻撃力がアップする!
火炎ビン! 空気砲! …よし、電気のマダラメが倒れた! ブフ! 炎のマダラメも倒れた! スタンガン、風のマダラメも倒した!
ダブルシュート!!
モナが装備していた炎のリングで、氷のマダラメに炎熱を食らわせる(…今まで忘れてた!)
 ……再び贋作が復活する!
だが、炎、氷、炎、氷、バトンタッチのいいカモだ!「アメノウズメ!」遺伝させておいた…「アギ!」

「バトンタッチで更に追撃だぁっ!」
「アギはあっち!」「おう! ……あ!」

ボン!
……あ、指示先を間違えた。
炎のエネルギーが反射される…モナが倒れた! ごめん!本当にごめん!
…ハンゴン軟膏。ありがとう武見先生。
バトンタッチは一度途切れたが…
凍結スプレー足りるか…!? フォックスにバトンタッチ! フォックスには『バトンタッチで威力増大』の『大切断』がある…中央のマダラメに攻撃!!
…まだ贋作が生き残っているが、物理主体でHPを削るフォックスには無理をさせる場面じゃない。「自身の治療を」「了解」

『くそっ…くそっ… やめろガキども、さもないと……!』

シャドウマダラメが喚いている。

「そんな脅しで怯むとでも思うのか……!」

やってやる。
俺でアギ。モナで更にアギ。フォックスで炎2人にブフ!ワンモア行動でシャドウマダラメに…大切断!! フォックスの太刀筋と共にペルソナがキセルを振り上げ、マダラメの体をしたたか打つ…!
まだ倒れないか!

「スカル、贋作共々マダラメに突っ込めぇっ!」
「りょーーーーかいっ!!」

暴れまくり…ランダム攻撃技だが、キッドが一度沈んで…「くたばれーーっ!!」敵陣の方へ突っ込んでいく…!!
どうだ!?
贋作は倒れたが、マダラメは根性で踏ん張っているか…!
モルガナが体を震わせる。太刀筋が風を呼ぶ。

『ぐぅああああ……』

倒れた…!!
後少し、だったか。手心を見せる必要もなかったな…!



 フォックスが孤面の奥でゆるく瞬きをするのが見えた。
俺の言ったこと…気にしているだろうか? それとも気にせず、素直に自分の気持ちを述べるだろうか? ……斬るだろうか? 自分を束縛する、騙した、相手は、今や『親の仇』となった。
マダラメが尻もちをつく。
震える腕には『サユリ』が抱きかかえられている。
 コツ、 コツ、 コツ、 コツ……
ゆっくり、ゆっくりフォックスが歩き出した。その足で、マダラメの元に向かう。

『ヒッ……!?』

その顔には、確たる恐怖の表情が浮かんでいる。
俺たちは顔を見合わせる。
……手出ししない。

『真の芸術など誰も望まんのだ… 欲しいのはわかりやすい「ブランド」だけ…! ワシだって被害者なんだよ…! そうだろう? ええ!?』
「言い訳かよ…」
『美術界は所詮、カネの世界…カネなしではのし上がれない… なあ祐介、お前ならわかるだろう! カネのない画家は惨めだぞう…? もう戻りたくなかっただけなんだよぉ!』

静かに見つめる。
…“俺”に存在するはずのない記憶。開示されるはずのない記憶。

「外道が芸術の世界を語るなっ!」

……!
フォックスがマダラメの胸ぐらを掴む!
思わず、踏み出しそうになった足をこらえる。

「お前は、もう終わりだ。このおぞましい世界と共にな!」
『ひぃぃ! 助けてくれ! 命だけは! 命、だけは……!』

━━ドサッ!
石畳に叩きつけるように、フォックスはその手を離した。うぅ、うううう……、と、老人が泣きむせぶのが聞こえる。

「現実の自分に還って、これまでの罪を告白しろ、全てだ!」

…………、……祐介……!

『こ、殺さんのか…?』
「約束しろッ!」
『ひいッ、わかった…わかったから!』

咆哮。言葉の刃が、確実にその首元に突きつけられていた。
地に伏せた老人が、こわごわと俺たちを見上げ、見比べる。

『あ、あやつは、来ないのか…? あの、黒い仮面の…』
「ん……?」

 ━━━!
しっかりしろ。脳内阿波踊りしてる場合じゃない。
口元をゴシゴシとこする。

「誰のことだ?」
「黒い…仮面? え、誰…?」
「まさか、パレスにワガハイたち以外の侵入者がいたってのか…!?」

 ……ズズズズズ!
パンサーたちと顔を見合わせる間もない! オタカラを奪われ、主の心が失われたパレスが…崩壊を始める……!

「ダメだ、急げ!」

モルガナが一歩離れ、跳ねる。どん、と着地する。モルガナカー!

「乗れ!」

2人が駆け込む。俺は後ろを振り返る。
フォックスが『サユリ』を抱え、悠然とこちらに歩き出そうとしている。

「祐介! 早く━━」
『…なぁ、祐介? ワシぁ、どうしたら…なぁ?』

老体が、その足に縋り付いていた。

「有終の美くらい…せめて自分の作品で飾れ」

フォックスは老人を見下ろす。ぐっ、と掴まれた足を踏み出そうとする。「祐介!」とまた呼びかけられて、踏み出そうとした足が今度こそ、一歩になる。力の弱い老人は、簡単に、解かれた。その場に膝を向いたまま、老人は項垂れる…。

『おい待ってくれ! なぁ! 祐介! 待ってくれぇぇぇぇ!』

祐介が、まるで焦る様子もなく、こちら側に戻ってきた。モルガナカーを少し物珍しそうに見たが、特にためらいもなくドアを開ける。
それが、オタカラ…?
絵の具のにおいと…、これは、……ミルクの…いや、違う……?

「おわっ、おいジョーカー! お前は後部座席じゃなくて運転席!」

スカルの大声で我に帰る。
ハンドル側に回る。ニャータリーエンジン全開。
バックミラーを見る。そこの老人と、目が合った気がした。彼は泣いている。笑っている。笑って……? その笑顔は、嘲笑でないにしても、安堵で…しかし、殺されるのを放棄されたという理由では…
だめだ。
『消える』かどうか、確かめている暇がない━━。




 ………… …………

 ………… …………。


『 目的地が消去されました 』


「みんな無事でおかえりーーーー!!!」
「だから抱き着くなって!」
「無事! 閉幕! ちゃんと体がある!!」
「ワガハイまた潰れれれれ……」
「これが女御に密着される感k」
「ホラッ!変態が増えるから離した離したッ!」

 住宅街のど真ん中で3人+@にハグをぶちかます女雨宮蓮。
良かった。
今回も誰も損じることなく帰ってこれた。
杏に押しのけられ、仕方なく皆を解放する。
そして次の着眼点は、持ち帰った『オタカラ』の変じた姿だ。変じた…、いや、大して変わっていなかった。豪奢な額縁が消えたくらい……。

「まったく…、不審に思われたら面倒なことになるんだぜ。早くここから離れようぜ…ハァ……」
「祐介、行くぞ」
「ああ……」

…祐介がキャンバスを見つめる。

「さようなら、先生」



 駅内通路まで歩いてきた。
みな思い思いに体を休めている。

「作戦は、一応成功か。後は改心が起こるか…だな。つか苦えし…なんでブラック?」

竜司が口元をひん曲げて、飲んでいたコーヒー缶から口を離す。買ってこいと言ったのはお前だろ、まあ、お前の甘党知ってて止めなかったけど。

「『サユリ』…」
「母さん!とかって、こんな場所で泣き出すんじゃねーぞ?」

ちょっとだけ竜司の頭を鷲掴みにした。あ、モシャモシャする。

「斑目の歪んだ欲望の正体が、この絵だったなんてな。これを描いた母さんが知る由もないのが、せめてもの救いだ…」
「アトリエにあるホントの本物は、塗り潰されちまってるワケだもんな…。皮肉だが、今やこっちが、『真実の自画像』ってわけだ」

モナがカバンの中から、キャンバスを見上げる。
塗り潰され、か。
現代科学で、昔の絵に赤外線など当てて上塗りした絵の下を映し出すなんて技術があったな、と思い出したが…祐介には、必要ないだろう。真実をこの目に写したのだから。

「…すっごくいい絵だね。それに、時間はかかっちゃったけど…ちゃんと祐介に届いた」

杏が感慨深そうに、キャンバスを覗き込む。

「感謝している。だけど、今更この絵が認められる事は世間的にも有り得ない……」

竜司の頭から手を離して、杏越しに絵を覗き込む。
『神秘』から「『赤子』を覗き込む」という答えを提示してしまった『サユリ』は、評論家からすれば後ろ指ものだろうけれど。

「きっと、お母さんは満足している」
「そうかもな…。この母の表情…名声など、欲していたはずもないか」

それに、真実が伝わらなければ鬼子母神が…なんでもない。祐介は熱心に、絵を見つめている。

「これが、母さん…。顔なんて、ハッキリとは覚えてないはずなんだが…、…この絵を見た時の衝動、…間違いじゃなかった」

祐介が本当に、嬉しそうに微笑んだ。
 カツカツ…、 ん?
 あ、すごい着色料の炭酸飲料。

「げーっふ」
「やめろっつの!」
「品性がないぜ、リュージは」

……お前なあ。
伸ばした手がかわされた。あッ、ワシャワシャ。

「つか、これからどうすんだ? 俺らは、これからも大物狙ってくけど?」
「…なぜ、そんなことを?」
「クソみてえな大人とか…社会? それを見返すためだ。大人の身勝手に苦しんでいるヤツらをさ、勇気づけてもやりてえし」
「勇気、か…与えてどうする? 抗う勇気ってことだろう? それがあれば…幸せになれるのか?」

 真剣で、厳しい表情で、根本を問う。冷徹な目から、俺たちの志の真贋を、問われている。

「…確かにそれは、言う通りかもしれない」
「…まあな。全員がいい結果になるかはわかんねえよ。けど、やってみなくちゃわかんねえ」
「己次第…ということか」

与えられた方が選ぶ。
誰かに、その選択肢を増やすことが…できる。

「なら、今の俺と同じだな。俺も、大人の身勝手に苦しんだ1人だ」

……! 祐介の顔が柔らかくなった…、

「それにパレスとやらの探索をすれば、着想の幅が広がるかもしれない」
「ホント、絵のことばっかだな。すげえよ、お前」
「美しくない計画には乗らないぞ?」

そんなことを言われて、くす、と少し笑う。杏がぱちんとウインクをする。

「大丈夫! 私がいるし! それにターゲットは必ず、全会一致で選ぶのが決まりだから」
「どうだ、ジョーカー? ユースケがいれば、予告状もハッタリが効いたのになるぜ?」

見栄ぶつけんな。俺たちはいつも本気だろう。それに今さら、どんな理由で採用なんて俺たちと彼の間にもういらない。

「ああ、心強い」

 にこ、と笑って大きく頷く。

「期待には応えてみせる」

祐介の方も、強く頷いてくれた。

「……しかし、気になるな。『ワガハイたち以外の侵入者』か…」
「黒い仮面ってだけじゃ、個人とも限んないよね?」
「けどもう、確かめらんねえよな。パレスなくなっちまったし」
「斑目を探ってみよう。何か、わかるかもしれん」
「平気? その…」
「何かあれば連絡する」
「じゃあ、みんなと連絡先、交換しといた方がいいよね?」

 ナイス、杏!
今までものすごいもどかしかった!
スマホを取り出す。
チャットアプリを起動… 連絡先を共有… 送受信…完了。ルームに喜多川祐介を招待します。

「画家と怪盗の、二足のわらじか…。一度きりの人生だ、それもいいだろう。しかし、侵入者の件は、少し気になるな…」





☆★ To be continued!! ★☆

 合計収録時間(セーブ→次のセーブまで)は5時間でした。かかりすぎィ

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