潮感ex:ガンダムX全話感想-11~20話

■第11話 何も考えずに走れ!

 ガロードを救うため、自ら囚われの身となるティファ。健気……!

 再戦を期して準備を整えるフリーデンクルーとメカニック達。一方で、エニルがベルディゴのことを知っているシーン、フロスト兄弟がアイムザット総括官と面会して実は新連邦の手先として動いていることなどが明らかになるAパート。

 ガロードは沈み込んで台詞無し。

 Bパートに入ってキッドが根性を見せてDXDV完成。

 ジャミルが落ち込んだガロードに喝を入れるシーン。「俺には特別な力なんて無いし……」前回ジャミルが言った通り、ガロードはNTという存在に対して大きなコンプレックスを抱いている。それは圧倒的な力の差であると同時に、好きな女の子と同じではないというコンプレックスでもある。

 氷の湖に投げ捨てられたGコンを取って来る……王道なんだけど、まさに今のガロードに必要な処置だったんだよね。「俺、走るよ! 考えないで走る!」帰りついたガロードの笑顔と、応じるジャミルの笑顔がまた最高に良い笑顔。

 同時進行でキッドが漢を見せるシーン。腿にドライバー突き刺しながらも調整を続けるキッドはメカマンの鑑である。「俺、プロのメカマンだから」という台詞には、誇りと責任とが混在している。

 今回の殺陣はエアマスター&レオパルド対フロスト兄弟。兄弟に比べるとやはりウィッツとロアビィは格が落ちるって感じだろうか。「キレキレついでに人生の幕切れってか」とゆー台詞はロアビィっぽくて好きだなあ。


■第12話 私の最高傑作です

 OPの絵が一部変更。殺陣のシーンが入ってぐっとカッコよくなった! ……てか、1クールもあの動かないOPでよく通したものです。アバンからのOPなんでそんなには気にならなかったけどね。ガチャガチャ動くヴァサーゴの腕がかなりお気に入り。

 Aパート。ディバイダー装備GXでフロスト兄弟を圧倒するガロード。特別な力はない、と自嘲するガロードだが、ジャミルの見立てではMSの操縦センス、順応性は天才的なものがある、とのこと。 

 撤退を決めたフロスト兄弟だったが、ここでオルバが独断特攻。「負けたと思われたくないんだ!」と、年齢相応に感情的なところを見せる。一方のシャギアはオルバをかばってハモニカ砲の直撃を受ける、と兄らしい側面。

 ビット攻撃への対応訓練がうまくいかずに歯がゆい思いをしているガロード。このとき叫んだ「力が欲しい!」が重い。

 ティファの情報が手に入り、いてもたってもいられなくなるガロード。しかし、自分の限界を知っているから、と偵察を許可するジャミル。「私は懐疑的だ。15なんて、半分子供だ」「だが、半分は大人だ」テクス先生とジャミルの会話はいつもいつでも含蓄がある。

 市内ではエニルがノモア市長に面会。いよいよエニルが宇宙革命軍将官の娘であるという過去が明らかになる。

 市庁舎に潜入していたガロードは、二人の会話を盗み聞きし、カリスの出生の秘密と真の目的を知る。見つかり、逃亡しつつもティファを救おうとするガロードだったが、その動きは既にカリスに察知されていた。出生の秘密を伝えてカリスを説得しようとするガロードだったが、カリスは自らの意志で人工NTになったことを告げる。しかし、ティファが天然NTであることを知って初めて動揺する。

 一方、フリーデンへは兄の雪辱に燃えるオルバが襲撃をしかけていた……というところで次回へコンティニュー。

 てなわけで、色々と視聴者に向けた情報が明らかになってきた11~12話。


■第13話 愚かな僕を撃て

 う……駄目だ、タイトル出てきただけで涙出てきた;ω;

 エニルに銃口を向けられて絶体絶命のピンチ! しかしそこでウィッツ&ロアビィvsアシュタロンの戦闘が街にまで影響。爆発が起こってどさくさで逃げ出すガロード達。咄嗟に抱きついてガロードを庇うティファが可愛い。

 逃げる直前、カリスに「来い! 俺と一緒に!」と叫ぶガロード。この辺りの心情は後で言葉になってる。言われてきょとんとするカリスの表情が今までになく柔らかくて可愛い。

 DVinジャミル出撃! ガロードには悪いんだけどw、このシーンの戦闘は映像の気合も入っていてマジかっこいい! ビット攻撃に対するノウハウは、戦時中に培われていたにしても、NT能力を使うことなく次々に撃ち落としていく姿は優雅と言っても良い。カリスが困惑していたことを差っ引いても凄いよね!

 一方、激情にかられたアシュタロンはジャミルにあしらわれ、ウッィツ&ロアビィにも土をつけられるなど踏んだり蹴ったり。

 フロスト兄弟は圧倒的に強い敵役じゃない。前回もガロードに押されていたし、後には圧倒されるシーンもある。ライバルとして物足りない、という意見もあるかも知れないが、僕としては主人公の成長に焦ったり、そのためにボロが出たり、逆になりふり構わなくなったりする人間味のある仇役の方が好きだなあ。顕著なのはダイ大のハドラー。

 帰還したガロードを迎えるウィッツとロアビィがすっかり良いお兄ちゃんになっててちょっとウケる。

 ガロードが仕入れた情報をみんなに報告するシーン。おちゃらけたロアビィが可愛い。あと何気にサラの隣にティファがいて、関係が改善されてるんだなーって解って嬉しい。

 「誰だって、人を超えた力が欲しいって思うこと、あるだろ? 俺だってあったもん。あいつも同じだ。それの何処が悪いんだ?」

 カリスとの対話で、カリスの力を求める気持ちに共感するガロード。何せ、彼自身がカリスに勝つために前回力を求めたばっかりであるからして。脱出の際、「一緒に来い!」と言えたのは、今まで「利用されるティファを守りたい」という気持ちから、一歩進んだ「利用されるNTを守りたい」というところまで昇華したからなんじゃなかろか。その意味で、ガロードはもう、ジャミルの共感者になりつつある。

 カリスとの再戦。ジャミルの手本もあって、ビット攻撃を見切り、次々に撃ち落としていくガロード。何度も何度も何度も負けて、凹まされるガロードだけど、一歩一歩確実に強くなっていく。その過程をきっちり描いていることがGXの他のガンダムにはない魅力だと思うの。ジャミルやテクス、後に出てくるカトックなど、周りの大人や仲間達から色々なことを学び、吸収していく過程がきっちりと描かれているからこそ、ガロードの強さに納得がいき、共感し、応援したくなるんだなあ。

 そして、敗れたカリスの独白――「人工NTの僕が、普通の人間に力の限り戦って敗れる。これで、僕を作るために犠牲になった多くの人は救われる」――カリスは、フォートセバーンを、ひいては世界を救うことを純粋に信じていた。そのために人工NTになることは必要なことだと。拠り所にしていた全てが欺瞞であったと気づいたカリスが自棄になるのもやむなしだろう。

 しかし、これまでずっとノモア市長と過ごしてきたカリスがその真意にさっぱり気づけなかった、というのも良く考えるとおかしな話。敢えて勝手に妄想するなら、「カリスの能力はビット操作に特化していて、精神感応力はさほど強くなかった」「天然NTであるティファと感応したために能力が強まった」「その結果、ノモア市長の心を読むこともできるようになってしまった」というところなのではないのだろうか。ティファとはいきなり精神感応で対話できたけど、普通の人間の思考を感じ取れるほどではなかった、ってことでどうか?

 それにしても、だ。

 「僕は本当は弱い人間だから――君に手伝ってもらうよ」と言う台詞が切ない。弾倉を抜いた銃を突きつけることでガロードに撃たせるという手段が切ない。カリスは多分、誰よりも自分の弱さを自覚していたからこそ人工NTになる道を選んだのだろう。

 そして、戦後に生きてきたガロードは、救いたいと思っていても反射的に撃ってしまう人間なのである。自身がやられる寸前になっても「撃てませ~ん!」と叫んだUCのバナージが人間らしくて僕は結構好きなんだけど、それとは逆の方向でやっぱりガロードも人間らしくて好きだ。撃ってしまって、そして悔いて涙を流すガロードが、凄く凄く大好きだ。……と、それは次のお話ですね。

 映像もお話もキャラクターの描き方もGX屈指の出来栄えの第13話でした。


■第14話 俺の声が聞こえるか!

 なんとか一命を取り留めたカリスだが、自棄になっており、傷を押して脱出。ガロードに叱咤される。

 「甘ったれんな! 自分で望んだんだろ、自分で望んで手に入れた力だろ? 死んで全部チャラになると思ったら大間違いだ!」という台詞は確かにカリスの心情を明らかにしているけど、この時点でカリスはそこまで心情を吐露してなかったんじゃなかろかって気がしないでもw 「ティファにはちょっかい出すなよ」と釘を差すガロードに、微笑んで応じるカリス。微笑ましい。

 GXはこのオハナシに限らず、最初から最後まですれ違いと和解が主軸になっていて、エピソード一つとっても観た後気持ちが良くなるよね。

 ……と、ほっこりしたのも束の間、エニルにカリスを奪取されて泣きが入るガロード。そして間もなくパトゥーリアが起動。ガンダムシリーズ屈指の巨大兵器の登場で急転直下。

 それにしても、パトゥーリア起動したは良いけど、その後の補給とか戦略目標とかどうなってんの? フォートセバーンは壊滅したけど、まったく先の見通しのない暴走と言わざるを得ない。

 「敗北主義者め!」「敵前逃亡に軍法会議は要らん!」などの台詞からしてもう完全にノモア市長はイっちゃってるんだけど、この狂いっぷりは結構好き。脈絡の無い狂い方ではなくて、理性を残しつつも感情の歯止めが効かなくなったという市長の狂い方は割と「理解できる狂い方」。まあ、理解不能なくらいエキセントリックな狂い方が良い、という意見も否定はしないけど。

 パトゥーリア戦は基本的には有線ビットとの戦いなので、派手なんだけど意外と抑揚が少ない。それよりは戦いながらカリスに語りかけるガロードとティファが見所かな。あ、でもエアマスターとレオパルドはOPの新規画像も含まれていてなかなか良い動き。

 カリスを奪い返され、絶望した市長の自殺、という形でわりかしあっさりと決着がついてしまう対パトゥーリア戦。エニルはしっかり逃げ出し、遠めから見つめるフロスト兄弟の台詞によって新たな展開への期待が広がる。

 そして、全ての罪を受け入れて壊滅したフォートセバーンへと帰っていくカリス。

 「俺の中にもあいつがいる、誰の中にもあいつがいるんだ!」というガロードの叫びは凄く切ない。だけど、これまでのガンダムシリーズの強化人間の類いが辿ってきた末路を考えると、苦しみを背負いながらも、人間性を失うことなく、生き続ける道を選んだカリスの行く末には、ティファではないけれど「希望はあります」。

 いやはや、フォートセバーンは5話もかけただけあって盛りだくさんでしたなー。……と、ここでEDが日本語verに。英語verが物凄く良いだけに、初聴時はザンネンに感じたけど、3回目位でこっちはこっちでええやんけ、となってたな。結構優しい歌詞なんだよね。まあ、そんな感じで次回へコンティニュー。


■第15話 天国なんてあるのかな

 「これ、なんて書いてあると思う?」「天国と地獄だったりして」とゆー掛け合いから始まるウィッツとロアビィの帰郷話。

 過去の女に薔薇を配って回るロアビィ。途中で台詞も表情もガラっと変えて実は相手も変わってます、という演出が笑える。「自分の好きになったコには幸せでいて欲しいじゃない?」って台詞は意外と本心が混じっている気がする。軽くてクールでお調子者で刹那的、と現実にいたら割と接点が出来無そうなタイプのロアビィだけど、こういうところ、嫌いになれない。女たらしもここまでポリシーもってやってるなら見事、という感じですね。

 「おねしょの癖は治ったかあ?」

 ウィッツはほんとに家族を大事にしてて好感が持てる。コルトルとサエリアは9歳だそうですが、うちの姪っ子は7歳(当時)ですが、とても2歳差には思えません。GXのキャラの年齢設定は基本的におかしい。サラが19歳とかフロスト兄弟19歳とかないわー。ま、それはともかく、弟も妹もみんな良い子で可愛い。

 全然関係ないけど、お母さんの声の横尾さんは私の中ではエルチなのよね。荒廃した世界モノの先駆けでやっぱり大好きなザブングルのオマージュだったりするのかしらん?

 この時点で謎の男が画面にちょくちょく登場。家族と深い関係にあることを示唆している。「お兄ちゃんには内緒にするのね」とな。

 しばらくは隠しているものの、次第にボロが出て、仲たがいしてしまう母と子。新しい父親、ってのは、設定年齢17歳で、父親をすっごく大事に思っているのがみてとれるウィッツにしてみればやっぱ一大事なワケで。でも、新しい父親のバーテンと話した結果、自分の過ちにも気付いて、でも、やっぱりMS乗りになった自分と新しい生活を始めた家族との間に生まれてしまった溝を埋めることはできなくて、でもやっぱり家族のことが大事で……年相応に悩むウィッツが凄く人間味があって好きになった瞬間だった。

 一方のロアビィも一番大事な人を失って故郷への未練を失くしていた。いつもと変わらない冗談めいた口調の中に、ぼそりと本音が漏れていて切ない。ウィッツが戦闘している間、ロアビィのモノローグという演出が凄くうまい。

 ついでながら、今回は二人がガンダムを手に入れた経緯を説明する台詞が挟まれていたりして興味深い。

 いずれにしても、脇役の二人にスポットを当てたこの回もまた、GXを象徴する名エピソードだったと思う。二人の過去と、故郷と、その決別を、未だ復興しきっていないAWの世界の状況説明と同時に展開してくれたことで、この世界が人が生きる世界なんだ、みんな頑張って生きてるんだ、辛いことや苦しいことを抱えて生きてるんだ、多くの人の死を乗り越えて生きてるんだ、ってことが物凄く強く実感できる。こういう背景世界を身近に感じる演出をしてくれたことが、僕がGXに惹かれ、未だに大好きでいる理由の一つなのである。


■第16話 私も人間だから

 アバンは前回に引き続き新規映像。今シリーズのスタートとして神秘的な雰囲気のティファの夢から。

 ドートレスの引き渡しをしつつ世界の状況が変化しつつあることを解説。朝食シーンではガロードがみんなに挨拶していて、クルーの一員として認められていることが見てとれて微笑ましい。

 ウィッツとロアビィは前回のオハナシを引き摺っていて、ちょっとアンニュイ。何気ないシーンだけど、脇役達もきちんと成長していることを感じて、GXらしいシーンだなあ、って思う。ついていけずに「なんなの?この空気?」と、トニヤは相変わらず可愛い。ティファとの関係をからかわれて赤くなるガロードも、「グッドモーニング」と元気なキッドも、「朝の挨拶はおはようだ」と説教癖が染みついてるテクス先生も、みんなみんな可愛い! これだからGXの日常シーンは見逃せないんですよ。

 ティファの絵を元に次の目的地を探す一方、ジャミルはサラに心情を吐露する。ジャミルの迷いながらも前に進もうとしている心情が言葉になって視聴者としてすっきりすると同時に、これまでお局っぽいシーンが多くてジャミルへの想いも空回りしていたサラがちょっぴり報われて、返事や態度が凄く可愛いのが印象深い。このシーンをきっかけにふっきれたというか、サラの言動に厳しさだけじゃなくて優しさみたいなものが見られるようになったと思うのだが如何か。

 サラとトニヤの水着はサービスかな? ウィッツの「本当に良いよなあ」は迂闊過ぎ。一方、NTの気配を感じ取ったティファは一心不乱にボートを飛ばすが、誰にも相談しないで独断暴走しちゃったのはイケないな。心を完全には開いていないって言っても、そろそろジャミルかガロードを自然に頼っても良い気がしないでもないけど。NTの思念を強く感じ過ぎちゃったからなのかな? まあそういうことにしておこう。

 そんなこんなでカナヅチで飛べないレオパルドは留守番で、GXとエアマスターが出撃。水中ではビームの力は半減してしまうとか、例によって苦戦する。しかし、前にも言ったけど、こういう地形毎のメカ表現が細かいのもGXを好きな理由の一つだなあ。都合の良い正義のロボってだけじゃない、道具としてのロボの魅力ってゆーのかね。今回のラストでディバイダーとビームマシンガンを拾いに行くとことかも生活感があって好きよ。

 イルカの助けで何とか窮地を脱したガロード。ティファを確保してまずは一段落。それはそうと、ドーザ=バロイ役の飛田さんはウルベ少佐とか演技巧いよなあ。

 そしてティファとイルカの対話シーン。私ゃ捕鯨反対するほどアホではないが、確かに鯨やイルカには神秘的な雰囲気がある。このシーンもティファの裸体と相まって大変神秘的。そして、そもそもヒトの革新であるところのNT能力をイルカに持たせたということが物凄く皮肉というか、では人のあるべき姿とはイルカのそれなのか? とかそういう極論まで内包している問題提起であるように思う。

 いよいよMWが降りてきてゾンダーエプタ編への伏線になるわけだけど、それまで結構間あるよね。ま、そんなこんなで次回へ。


■第17話 あなた自身が確かめて

 ティファと白イルカのシーンの続きから。

 人間を憎む白イルカと感応したことで、「心を閉ざされることは哀しいことだから……」と、自身の態度を振り返るティファ。こうやって少しずつ、心を開いていく過程が丁寧で良いと思うの。

 シーバルチャーのおっさんはヘンケン艦長そっくりだな。

 前回から単語は登場していたDナビの正体が明らかに。GXの世界は結構生体部品を扱った話が多い。

 今回の殺陣はなかなか迫力。Dナビの索敵能力と水によるビーム減退効果を活かしてGXとエアマスターを追い詰めるドーザ一家。水面でスラスターを吹かして水しぶきをあげて上昇するエアマスターなど芸が細かい。殺陣の時間も長め。突貫工事でレオパルドを水中用に換装しちゃうフリーデンのメカニッククルーは優秀。一方で、「いっつもこれだ」「ちゃんと時間かけたいよなあ」とメカニックの心情も吐露していたりして良いよね。顔アリ声アリのクルーはそんなに多くないけど、きちんと各班の役割を果たしている感があってサ。

 ヒトの心を理解した白イルカの精神攻撃でDナビが壊され、一気に形勢は逆転! ドーザさん2話ぽっきりの登場でした。サヨーナラー。

 ガロードはカリスの一件以降、ティファを守るだけじゃなくて、NTを保護する義務的なものを感じ始めている感がある。それは、「特別な力がある」からではなく、特別な力を「狙われている」から。優しい子や。

 ガロードが全部見てました!とぶっちゃけたときにティファがハッとしたのは、裸を見られちゃったから・じゃなくて、ガロードの口から「白イルカとティファは同じ」という点を突かれたからなんだろう。多分。

 「朝ごはん、届けてくれなくて良い。……私が行くから」

 少しずつ、人と関わる努力を始めるティファ。可愛い。そんなティファの手を握ろうとしてできないガロードも可愛い。機動新世紀ニヤニヤX。


■第18話 Lolereiの海

 アバンにてLシステムの経緯。海編の2話構成のオハナシはテンポが良くて見やすい感じ。

 Aパート。潜水艦オルクのマーカスさん。そういやあんたいたっけ的な。GXの主要登場人物は大体憶えてるんだけどあんただけ忘れてたわ。ギガンティックシザースで生身の人間挟みこんで仕事を依頼するオルバさん超技術にしてマジ鬼畜。

 ティファが仕事を手伝いにくるシーンは素晴らしいね! ティファ可愛いし、先生の配慮が心憎い。「値の張る薬だからな。落としたらただじゃおかんぞ」「大切に想うことと大切にすることは似ているようで違う。こと、女性に関してはな」名台詞キター! ローレライの海の情報を教えてくれるシーバルチャーの人、「可愛いお嬢ちゃんだねえ」ってロリコンかおのれは。

 詩の朗読シーンはGX屈指のニヤニヤシーンですね! キッドGJ! ロアビィに抱きついとるウィッツが可愛い。ガロードに抱きつかれてちょっと嬉しそうなティファがちょー可愛い! 照れまくってるガロードも可愛い! サラの表情や態度がこの辺りになると凄く柔らかくなっていて「不愉快だわ」の頃を思うとなんだかちょっと嬉しくなるね。「詩の続き、憶えていなかったんだ」って先生、あんたは誰を萌え殺す気なんですか? シーンは切れるが、ティファのことをサラから話を聞いて満足げなジャミルも良い大人。

 Lシステム回収シーンは、Gビットが主目的でLシステムは偶然だったのね。どーでもいいけど中身スッカスカやな。Lシステム。

 ルチルの存在を感じてローレライの海へ向かう一行。甲板を雨がぽつぽつと濡らしていくシーンが何だか実在感があって良いな。

 「俺達オルクにとっちゃ、またとない獲物なんだが……回収作業中だが、やってもいいか?」ああ、憶えてるわこのシーン。マーカスさん、忘れたなんて言ってスマンかった。こういう台詞と心情は海賊っぽくてええわー。MS出し過ぎだけどな。何体入ってたんだよw

 新装備で水中戦に挑むガロード達。何気に一射目から命中させててすげえ。掴まれた後、ビームサーベルの柄を敵に充ててから使うのが目から鱗。「水中のビームサーベルも使いようだってね」ウム、ガロードの順応性は天才的、というジャミルの言は正しいよ。毎回状況にあわせてメカニックもパイロットも工夫しながら戦ってる感があるのがGXの良さなんだけど、わっかるかなー? わっかんねーだろなー?

 アシュタロンに捕まってピンチ!の2回目。今回もGXを倒すよりも、恨みを晴らすためにGXを捕縛しつつフリーデンを攻撃するのが目的で、別にビーム撃つ理由はない。でもアシュタロンってシザースとビーム以外で攻撃してるとこあんま見ないな。ヴァサーゴのほうがサーベル、クロー、ソニック砲と動き豊富な気がス。

 髪を解いたティファ=ルチル。Lシステム発動で横顔→正面を向くカットはなんだか魔法少女っぽい。「思い出したよ、詩の続き……」テクス先生の台詞は今言う必要あんの?って気がしなくもないが、抒情的でいいよねw

 動けなくなったあとの「どうした!?動け!動けアシュタロン!」というオルバの台詞がなんか凄く良かった。

■第19話 まるで夢を見ているみたい

 マーカスさんの潜水艦乗り魂をすげなく却下するオルバさんマジ鬼畜。

 今回は映像的にやや表情がカタい。

 いよいよLシステムの正体が明らかになり、ティファの体を借りたルチルはジャミルに助けを求める。

 「言葉にはしたくない想いもある・。言葉にすると、すべてが消えてしまうような……」

 重い過去を背負ったジャミルにも、人並みの恋や思慕の気持ちがあった。自ずと前回のガロティファの微笑ましいシーンと対比される。

 遊戯室にいることをサラに注意されて思わず激昂するロアビィ。普段と違う顔が仄見える良いシーンです。ロアビィは、序盤にも言っていたように戦争や思想めいたことのために戦う気持ちはないけれど、恋や愛のために戦うことには共感できる模様。15話の経緯があったことも大きいね。きちんと物語がつながってるんだなあ、ってところがGXの良いところ。良いところばっか上げてる私は120%贔屓し倒しのGX狂信者。

 ジャミルにGコンを渡すガロードは空気読める子になってるなあ。

 水面スレスレを走るジャミルのGXはかっけえなー。しかし、敵に新連邦軍が合流、フロスト兄弟も現れて大ピンチ! Lシステムは増幅装置を外されてもう使えない……どうするどうする? というところで、敵の回収したGビットを使うという荒技!

 編隊組んで狙い撃つだけで、映像的にはちょっと残念。空中を縦横無尽に飛び回りながら敵を撃墜していくGビット×12を観れたら俺神様信じるんだけどなあ……。ビルドファイターズにも出てきたけどジャミル似のカトーさんはあっさり負けちゃったしなあ……。

 ルチルさんは最期の力を使い、ジャミルにお別れを告げて死んでしまった。結果的にであるが、つまり、新連邦にLシステムが奪われていたとしても、作動させることはできなかったのだなあ。無論、研究のためとかいって死体をいじくりまわしたりするのだろうから、それを防ぎ、安らかに眠らせることができた、というだけでも万々歳なのだろう。そう思うしかない。

■第20話 また会えたわね……

 アバン。テスト中のエスペランザに熱い眼差しを向けるのは……エニル・エル。

 初回視聴時、エニルというキャラクターは正直それほど好きになれんキャラクターだな、と想いながら観ていた憶えがある。

 エキセントリックな言動と主人公に対する異様な執着。その生き方に共感をおぼえることができなかった。少なくとも、フォートセバーン編までは。

 十何回目の見直しだと思うが、やはりこの第20話に辿り着くまでのエニル・エルの描写には、あまり共感をおぼえることができずにいる。それは制作側の意図通りなのか、はたまた……?

 それはそれとしてオカマのシーバルチャーが良い味出してるね。

 Aパート。ボートを操る姿も颯爽としてかっけえなあ、などと思ってしまうのはエニルを既に好きになっているからかな。マイルズはいかにもなおぼっちゃんで頼りにならなそう。……なんだけど、トニヤとのやり取りで脇の甘いところをみせてくれるので印象は悪くない。普通に真面目な奴である。でも決してキャラクターの価値を貶める意ではなく、本当に普通に、どこにでも当たり前にいそう、と思える実在感を持っているという意。脇役を含むキャラクターの実在感は、やはりガンダムXの特筆すべき美点。は抜きんでていると思うの。

 紙幣を知らないトニヤ。こんなところでもAWの荒廃具合が見られる。登場人物がたくましいからつい忘れがちだけど、この世界は悲惨な戦争の後の世界なんだよね。

 駆け引き上手なロアビィはさすがといったところ。ガロードとキッドのやり取りは何度見ても微笑ましいなあ。ティファもにこにこしていて可愛い!

 サラをけしかけるトニヤはやっぱり好い子。そこへ、ウキウキと入って来るテクス先生が可愛過ぎる。大人だって可愛いものは可愛いのである。

 トニヤとエニルの出会い。如何にもトニヤらしいというか、生き生きしているというか。エニルの険がとれてていいなっていうか。

 呑気にショッピング中のガロティファが微笑ましい一方で、エニルとトニヤは意気投合。この二人のコンビって凄く噛み合わせが良い。……というか、トニヤというキャラクターはほぼ全てのキャラクターと相性が良い。さすがにシリアス担当のジャミルとは噛み合わせが悪いのか、あまり絡みがないけど。トニヤの存在は、実は作劇上物凄く重要なのでは、と気づいたのは、少なくとも3、4回目の視聴時だと思う。トニヤは登場人物の中で恐らく最も過去や周囲とのしがらみがなく、あっけらかんと自分の本能のままに生きていてる。重苦しく哀しい過去の上に成り立つAWという世界で明るく前向きに生きる人々の象徴ともいえ、彼女と触れあうことであらゆるキャラクターが陽性を帯びる。

 エニル・エルはその最も顕著な例であり、この話に至るまで、狂気を帯びた執着と憎悪の過去しか見せてくれなかったエニルが、初めてそうではない内面を吐露し、それによって彼女の執着と憎悪が何に起因するものなのかをはっきりと認識できるようになり、そしてこれから後、彼女がそれを乗り越えて行く過程が凄く納得できる。

 ダラダラと書き殴ってしまったが、とにかく、この第20話はエニル・エルというキャラクターのターニングポイントであり、この話を挿入してくれたお陰でGXの重要な登場人物が形成されたのだと思うと、スタッフに感謝してもしきれない。

 それはそうと、前回の作画がちょっと残念だった反動というかお陰というか、今回は物凄く作画に気合が入っていて良いですね。

 Bパート。

 キッドは子供であり、日常シーンではそれをアピールすることもあるけど、基本的にはオトナのキャラクターだ。ちょっかいかけたりからかったりしても、きちんと空気を読めちゃう子なのです。

 ところで、ガンダムの声優はどのシリーズも凄い実力派が多いけど、GXは特に脇役の巧さが光るね。特にトニヤとキッドの演技はどの場面を見ても物凄く巧い。

 「女の過去は、言わなきゃないのと一緒よ」相談持ちかけられて、ズバッと本質をついちゃうトニヤ。前にも書いたけど、トニヤの言葉は物凄く力がある。あまり考えずに、その場のノリで言ったように聞こえるけど、いや、だからこそ物凄く的確に本質を突いているんだろうなあ。

 「また会えたわね」そう呟いたエニルの表情が物凄く切ない。

 ……思うに、エニルという女性は、革命軍の父を持ち、殺されたという過去故に、地球に居場所を見つけられずにいたのではなかろうか。宇宙生まれである故に地球人とは絶対に相容れない一線があり、それ故に本当の意味での友人を得られなかった。だから彼女は憎み、奪い、屈服させることにしか喜びを見出すことができなかったのだろう。ガロードに目をつけたのもその延長で、「ガンダムを操るような男の子」を自分のものにしたい、という言わば軽い征服欲だったのではないだろうか。彼女は自分の魅力と力の使い方を良く知っていて、その美貌と力に従わない者は今までにいなかったはず。ガロードに拒否された、という事実は、彼女にとっては初めて思いのままにできなかった存在で、だから逆にガロードに異常な憎悪と執着をすることになったのだろう。

 エニルがガロードに言った「一人ぼっちは寂しいものよ」という言葉は、エニルの本音だったのだろう。彼女もまた、自分を認め、満たしてくれる存在を求めていた。だが、彼女はどうすればそれを手に入れることができるか解らなかった。この話で、全てではないにせよ自分自身を晒したエニルを、それでも受け入れてくれたトニヤは、エニルにとって初めての、そしてずっと求めていた「寂しさを満たしてくれる存在」だったはずだ。マイルズでさえ、彼女自身が語ったように自身の全てを明かせる相手ではなかった。

 だが、エニルが変わらずMS乗りをして執拗にフリーデンを追う敵役のままだったら、彼女はトニヤと打ち解けることはできなかっただろう。セインズアイランドに流れ着き、本性を隠し、普通の生活を送り、マイルズと出会い、自らを省み、他者を受け容れる土壌ができていたからこそ、エニルはトニヤと打ち解けることができたのだと思う。また、逆に少し出会いが遅れ、何もかもを捨ててマイルズと所帯を持っていたとしたら、全てを捨ててMS乗りに戻っていたら、やはりトニヤと出会う機会は無く、彼女が本当に必要なものに気づくことも、手に入れることもできなかっただろう。

 エニルとトニヤの出会いは、本当に、本当に素晴らしい偶然だった。

 もしこれが宇宙世紀作品なら、ジェリド=メサやハマーン=カーンがそうだったように強い執着の行き着く先は哀れな末路だったろうが、GXは違う。敵として登場したキャラクターもその多くがすれ違いを経て和解する。カリス、エニル、後に出てくるカトック、ランスロー、地味なところではニコラなども。そして、そうやって互いを理解し合おう、歩み寄ろうと努力することが本当に大切なこと、という結論が、本作の最後に提示されるのである。

 第20話は、エニルというキャラクターを通してその大テーマを描く、GXでも非常に重要な一話だと思うのである。

 ところで、今回はガロードもティファもチョイ役だったけど、二人ともすっげ仲良しになってて可愛かったなあ。今回も起動新世紀ニヤニヤX。

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